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Alden 2020 U-Wing Tip(コードバンの脱皮その3)

こんにちは、ばしです。

 

放置していたことに特に理由はないのですが、
7月に届いた靴をようやくメンテしました。

こいつ。

 

 

Alden 2020 Cordovan U-Wing Tip

コードバンのオールデンです。

海外から購入。サイズは私には若干大きめと思われましたが、私の大好きなU-WINGスタイルです。こんなオールデン、見たことない。かつ、コードバンにしては安い。オールデンとしても安い。コードバンのオールデンにしては相当に安い。価格が高騰する一方のコードバンです。お買い得なのを見つけたら今のうちに確保しておく、というのがマイルールです。

ていうほど買ってはいないんですけどね。

内側。あまりきれいでなくて恐縮です。
サイズは8.5Eウイズ。8Dがマイサイズです。どのくらい大きいでしょうかね。中敷きINして履く前提で「ぽちっ」と行きました。

「1F10」とあります。「1F」が製造年月を表すらしい。「1」が製造年の下一桁を、「F」が月を(A=1月、B=2月…)を表すので、こいつは1981or1991or2001or2011年のいずれかの6月製、ということになる。

他の要素を手掛かりに年代判別も可能らしいですが、オールデンは詳しくありません。で、このペアはどこかのショップの別注品のようですが、擦れて読めません。品番の「2020」で検索してもヒットしない。まあ、いつの年代でも、どこのショップ向けでもかまわん。あまりこのあたりのことにこだわりはありません。

送料込みで2万円ちょっとでした。安い理由はおそらく、これ。

左甲にクラック。写真では程度が分からず不安でしたが、実物は使用には問題のない程度で、まずはひと安心。ただ、見た目あまりよろしくない。コードバンのアッパーもガサガサです。

安いぼろいコードバン。

脱皮させることにしました。

 

 

コードバンの脱皮

 

コードバンはそもそも、馬の臀部の革の表面を削ってコードバン層を取り出しているらしい。けば立ってしまった表面を全体的に削り、新しいコードバン層を表出させる。それがコードバンの脱皮です。

 

古い木の柱の表面をカンナで薄く削るイメージ、ですかね。革なのでカンナではなく耐水のサンドペーパーを使用します。今回は#800、次いで#2000で仕上げました。間に#1000や#1200をはさんでも構いませんが、粗さは#800よりは下げないのがお勧めです。以前#400で削って削り過ぎたことがあります。

サンドペーパーの替わりにメラミンスポンジの「劇落ちくん」を使用するやり方もあるらしい。まあ、今回はストックがあったのでこの2枚で。普段はステインリムーバーで汚れ落とし、から始めるのですが、どうせ汚れごと削ることになりますので割愛です。

いつも通り、まずは左から。

 

#800

とりあえず踵部分、行ってみました。

サンドペーパーは耐水のものを水を付けずに使用します。こんな感じになります。

内側に左手を入れて挟むようにしてしっかりこする。凹んだ皺部分はサンドペーパーを軽く折った角で、面に沿わせて削りムラを残さぬよう。

クラック部分も入念に。完全にはなくならないでしょうが、少しでも目立たなくなれば嬉しい。

タン。

紐の跡のくぼみが擦りづらい。

つまんで擦ってきれいになりました。

#800、完了。

おおー、痛々しい。

クラック。改善したかしてないか、良くわからない。

擦り残した箇所もなく、まんべんなくやすれるようです。次に進みましょう。

 

#2000

先ほどと同様踵周りから。
上の写真がビフォー、下がアフター。

つるん、と光沢が出てきました。

爪先も。

コバとの境目は二つ折りして差し込むように擦ります。#800と同じくらい時間をかけて、細かなところもくまなくペーパーをかけて、#2000、終了です。

なんともかんとも。

皺部分もきちんとまんべんなくかかってるかな、と。

コードバンらしい艶感が垣間見れます。

何も塗らずにブラッシングだけしてみました。

おおー、一気にコードバン感が増してきます。届いて早々にいきなり脱皮させる必要あるのかな、なんて風に思わなくもなかったのですが、まあ、やってよかった。

クラックはあまり変化なし。まあ、しょうがない。あまり気にしない性質です。

輝きの程度は今一つですが、「ガサガサ」した感じはずいぶん改善したような。

さて、クリームなど入れていきましょう。

 

 

コードバンクリーム

デリケートクリーム等は今回はなし。コードバンクリームで油分補給です。

前半分が黒っぽくて、後ろ側が茶色い。届いた時からこんな色目です。

コードバンぽいです。まあ、コードバンだし。
で、コードバンクリームの「ニートフットオイル」ってやつの匂いが強烈です。ケモノ臭さが苦手で最近は使ってませんでした。今回はまあしょうがない。

ウエスで磨きますと、細かな糸くずがくっついちゃいます。で、なかなか取れない。ブラッシングをがっつりやって、物理的に除去します。

コードバンクリーム、完了。

 

 

コロニル1909 焦げ茶

コードバンのペアに色を入れたことは今まで一度もありません。今回、試してみました。コロニルのダークブラウン。ほかのペアにも使ってますが、実はこのペアに入れるために購入したものです。

ペネトレイトブラシで多めに塗り込んでから、カッサ棒で擦る。削った表面を物理的になだらかにする作業です。

さて、どの程度変化したのかしないのか。

 

【カッサ前(再掲)】

【カッサ後】

コードバンらしい輝きが増したでしょうか。写真の明るさ加減が変化ですが、実は、朝から作業してまして、陽が昇るにつれて玄関先の日当たりが変化しております。さて、最終ステップ。

 

コロニル1909ニュートラル

コードバンに限らず、最後はこいつで仕上げるのが私のルーチンです。

古いコードバンのペアで、羽根のハトメ部分や履き口のパーフォレーションが崩壊しているのをしばしば見かけます。そのあたりの箇所を入念に、コロニルをしつこいくらい塗り込みました。「がんばれ~」「しっかり~」と、念を入れることも忘れない。できることはすべてやるのさ笑。

そのせいかどうかは知りませんが、爪先、「とぅるん」となりました。

光り方には大きな変化なし。ですが、こうして比較手染みますと、左右でキメ細かさはずいぶん変わりました。アップで確認です。

 

 

右足(脱皮前)

左足(脱皮後)

皮革を比較。。。
もとい、光らせるスキルは不足してはいますが、それでも変化は明らかです。まあ、そうでないと、努力が無駄、徒労に終わるようでつらいです笑。

さて、引き続き、作業を勧めましょう。

右足、脱皮前。

右足、脱皮中。#800後、#2000前です。
途中段階での色目の変化は、だいたいいつもこのくらいです。削るとまだらに白っぽくなって一瞬ビビるのですが、クリームやオイルを入れると一瞬で元の色に戻ります。まあ、何も入れなくともブラッシングだけでも結構綺麗になります。他の革だとこうはいかないんでしょうね。試す気はありません。

そんなこんなで完了です!

先に作業した左足の方が丁寧で出来がいいのはいつものことです。
で、羽根にハリが出てピンと立ち上がってきました。油分や栄養分がある程度行き渡ってくれたかな、と思えるサインです。

こいつのために新しい靴紐準備しときました。平紐の71センチ。
東急ハンズで調達しました。

Eウィズ。幅広というよりも甲高なこいつ。外羽根がくっつくくらい閉じます。ということで、短めの紐を準備したのですが、ちょうどよい見立てだったようです。

通し方、いつも悩むんですよね。カジュアル向きなペアのような気がして、パラレルはやめときました。

最終的にクラックはこんな感じです。
ほんの少しましになったような気もしますが、これ以上削るのはやめときましょう。これはこれでこいつのチャームポイントということにします。

 

【BEFORE】

【AFTER】

脱皮前も後も、ザッツ・シェルコードバン、ですね。
そのうち一度、プロにきっちり磨いてもらいましょう。

思えば、持ってるU-WING3足は全部内羽根です。外羽根のU-WINGていうのも珍しいかも。ぱっと見、オールデンとは気づかれないかも。

と、思ったけど、
バックシャンは誰がどう見てもオールデンですね笑。

オールデンはこれまでも結構転がしました。
数えたら6足でした。
日本でのオールデン人気はすごい。
なもんで、万一サイズを間違えてもすぐに放流でき且つちょびっと儲かる。
それがオールデン。

ま、こいつは離さないやつです。
この先ずっとステイだな。
いや、今回はほんとにホントです。
手持ちのシェルコードバンはすべてステイです。
加えて、

 

このスタイルは唯一無二です。

 

 

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