Brocktonian のローファー

こんにちは、ばしです。

 

(ごあいさつ)

お蔭様で拙ブログも丸7年を過ぎ、本日の更新を持ちまして目出度く8年目に突入いたしました。これもひとえに、これまで下らん駄洒落交じりの記事にお付き合い頂いた皆様のお陰と感謝感激雨あられであります。誠にありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

(以下本文)

唐突ですが、私、

日々の仕事での移動はクルマがほとんどです。得意先・仕入れ先・加工所へと、時には高速をかっ飛ばして西へ東へ。で、通り道にリユースショップがありますと、ええ、やり過ごすことはできない。靴コーナーだけパトロールです。厳密には仕事中なわけですが、まあ、通りすがりだし、たまにしか来ない店だし、ものの5分ほどだし、ライフワークだし。

今月前半、そんな感じで奈良へと車を飛ばした際のことです。道が思いのほか空いていて約束の時間よりも早く到着し過ぎた。で、目的地のすぐ近くにセカストを発見。時間つぶしにと覗いてみましたところ、こんなやつに遭遇してしまいまして、嬉々として持ち帰った次第です。

 

 

Brocktonian のローファー

「Brocktonian」とあります。

初めて聞くブランド名です。「Brockton(ブロックトン)」なら聞いたことあります。マサチューセッツ州にブロックトンという街があるそうな。

Stetson/Stacyadams/Knap/WalkOver

どれもブロックトン発祥のメイカーです。以前、「カナダ靴の世界」記事にてアメリカとカナダのシューメイカーについて調べたことがあるのですが、マサチューセッツ州は上記以外にも多数の米国靴ブランド発祥の地でもあります。

錚々たる顔ぶれです。

「Alden」もマサチューセッツ州。「Bostonian」の創業の地はBonstonではない。同じロジックで言えば、今回の「Brocktonian」の創業の地もBrocktonではないかもしれませんが、同じロジックで言えばマサチューセッツ州発のシューメイカーもしくはブランド、である可能性は高そうです。

ただ、それ以外のことはよくワカラナイ。

ソールには「Genuine Handsawn」との文言はあるけれどレザーソールではなさそう。硬化ゴムなどの人工のモノか。高級品ではないのかも。なんだけど、出し縫い糸が収まったチャネル(溝)はしっかりと深い。丁寧に作られているとの印象です。

内側のステッチも丁寧な印象。残念ながらソックシートは紛失していて情報は得られず。

 

なんだけど、

アンラインドの内側には印字がしっかりと残っています。

 

8D 321644 18
      36   12800

 

と読めます。サイズはUS8Dのようです。靴下履いてマイサイズです。ラッキー。ほかはどのような意味なのかは分からない。

古ぼけてはおりますが、ほぼデットなミントコンディションです。そんなやつが税別1300円。うーむ、どういった経緯で奈良の雑多な靴コーナーへと辿り着いたのでしょうね。

よし、これはきっと運命だな。

マイサイズだし、デッドだけれどもこれなら僕でも履き下ろせそうです。靴下履かないとでかそうだし、この秋冬モノとして活躍の場を与えることにしよう。てなことで、メンテです。2週にわたりがっつり手を入れました。

いつも通りまずは左足から。

 

 

デリケートクリームもどき

百均のヒト用クリームで保湿です。

グングン吸い込みました。

見た感じ、かなり乾いてそうな雰囲気ですので履き口は特に入念にしといた。

なんだけれども、時すでに遅し、この箇所だけ裂けてました。どこで裂けたのだろう。店で誰かが足を突っ込んだ際にこうなった、のかも。セカストのビン靴あるあるですな(笑)。いや、そこは(泣)だろう。

涙に濡れながら、とはいえ水分補給はもうこれでいいでしょう。がっつり油分入れとこう。

 

クリストフポーニーレザーセラム &
クリストフポーニーレザークリーム

奥のガラス容器のが「セラム」。
手前のジャー容器が「クリーム」です。

アンティーク家具職人のクリストフポーニー氏がレザーのソファなどのケア用に自身で調合したのがこのオイルなのだそう。ええ、そんな安くないやつです。

高いから良いモノとは限りませんが、この2つは大変素晴らしいと思います。日常使いは「クリーム」、スペシャルケア時には「セラム」なのですが、セラムをグングン吸い込むもんで、粘度のある「クリーム」で「追いオイル」してみた。

右も同じ手順でがっつりいっときました。

いい感じでギトギトしてます。
このまま1週間寝かせましょう。

 

 

☆★☆★☆★☆★☆

 

 

1週間後の一昨日日曜日。

ギラギラ感がすっかりなくなった。
かなり落ち着きました。

しっとりしてる。ただ、相当塗り込みましたので、ところどころ浸透しきらずに残っている、かもしれない。しっかりと除去した上で仕上げていきましょう。まずは左足から。

 

 

LEXOL

全体を拭いました。

浸み切らないで残ってたオイルはほぼなし。すっかりがっつり浸透していようです。いい感じの飴色に変化しました。

あ、いや、モカ部分、革の裏面が少しばかり顔を覗かせてます。目立つのはイヤだな。補色しよう。

 

コロニル1909(ブラウン)

コロニルの茶を歯ブラシの先で塗ってみた。

うん、まあこれで目立たないでしょう。

ついでに「ぴょんぴょこぴょん」としてる糸をジリジリと炙っとこう。

さて、仕上げていこう。今回は色を入れてみた。

 

サフィールクレム ライトブラウン

折角なんで、使ってみよう。

ペネトレイトブラシで甲もサイドも履き口も、薄く何度も塗り込む。

どうだっ。

おお、いい艶感です。

オイル入れただけでかなり変化したと思いましたが、クレム入れたらまた変化しました。いい雰囲気になったのではないかな。右も同様の手順で仕上げたら完了です。

 

 

どんっ。

左の方がいい艶感ですが、まあいいや。

 

【BEFORE】

【AFTER】

 

【BEFORE】

【AFTER】

だいぶ色が濃くなりました。艶感もアップして、枯れてすかすかしてたのはかなり潤ったのではないかな。

モカ部分も色を入れておいて正解でした。

炙ったはずがまだ少し糸が出てますが、まあ誰もそこまで気にして見てはいないでしょう。

ダブルステッチで丁寧に縫われた履き口。

この裂け、履けばワカラナイわけではあるのですが、うーむ、どうせならノーダメージが良かったな。惜しい。まあ、あまり気にしない性質ではあるんですけどね。

さて、そんな履き口のリペアは近々取り組むとしまして、こいつ、一体全体どこから来たどんな縁(ゆかり)のやつなのでしょう。

ebayやVcleat.comなどの海外サイトを漁ってみたものの手掛かりはなし。SUPER8SHOESさんでも扱いはないみたい。うーむ、手詰まりか。と思ったら、灯台下暗し。

 

メルカリでヒットしました!

GUILDMASTER by BROUWER’S

 

とあります。説明文にも「BROCKTONIAN」は出てこない。なぜどのようにたどり着いたのか、自分でも分からない(メルカリの当該アイテムページこちら)。

左足にだけこのソックシートが残っていたようです。調べてみましたところ、ヒットしました。

画僧をクリックするとサイトへ飛びます。

写真の旧い店が「R.BROUWER CITY BOOT &SHOE STORE」なのだそう。ざっと目を通した感じでは、同店は20世紀初頭に1号店がオープンしたミルウォーキー州~ウイスコンシン州に展開した靴店だった、ようです。

内側の印字も全く同じですのでまさにこの個体のようです。一般の人ではなくメルカリショップさんより2ヶ月ほど前に出品されていたもののようです。

出品時点では履き口の裂けはありません。

ダメージは購入者の足元で出来たのか、はたまたセカストの店で出来たものなのかわかりませんが、デッドストックな靴を購入して右から左でセカストへ、という状況から推察しますに、試着したけれどサイズが小さかった、で、その際に裂けた、のち、セカストへ持ち込まれた、という可能性が高いのかもしれない。

まあ、それは重要ではない。裂けたものは元には戻りませんし。これもまた個性。そんなことよりも、

「デッドストック 80年代」

 

とあります。

なぜ、どのようにそのように判定したのでしょう。説明文には製造年代の判定に関することは一切書いてないんですよね。ただ、「80年代」と明記するからにはそれなりの根拠があったのだろうと思われる。

ああ、なぜそうなのか、知りたい。

おい、お前、1980sなのか?

レザソールでないことなどを考えますと、確かにそのくらい年代が新しい可能性は高いのかもしれません。それにしても、硬化ゴムのソールの靴を履くはんてどのくらいぶりでしょう。二十代の頃に買ったリーガル以来かな。まあ、たまにはいいかもしれない。で、そもそも、

「BROCKTONIAN」とは一体なんなのか?

まあ、いいや。

何者か分からないまま履き下ろそう。
この件は気長に継続して調べてみます。

とりあえず履き口をどうにかして、
自前のソックシート仕込んで、
年内にはデビュー予定です。
新品を履き下すのって何年ぶりでしょう。

 

おおっ。ドキドキします。

 

(おしまい)

 

4件のコメント

  1. 8年目、おめでとうございます!
    仕事のついでに寄れるなんて、裏山C〜(^^)
    他県のリユースショップって、気になりますよね!
    一期一会の出会い、『ここまで来たから(自分に言い聞かせて)』と買ってしまいますよね(笑)
    町のリユースショップは、良い靴無いですね〜f^_^;
    誰かに買われてしまうのか、はたまた一角千金でフリマ媒体に出品するのか、良い靴に出会う確率の高い、ばしさんは凄いと思います。
    中高生の時期から、古着は好きで今みたいにスマホで調べられる時代って凄いなって思ます。

    1. としさん
      ありがとうございます!
      クルマ移動はこういうとき機動力があって良いですね。
      仰る通り他県や大阪府下でも遠方の店はかなり気になります。
      出会うは高いのか分母が大きいだけなのか、まあ、両方なような気もします。
      「どうせ誰かに買われるのなら”ばし”がいい」と靴に思ってもらえるよう、
      そんな気持ちでメンテは手抜きなくやるようにしてます。
      まだまだ気が抜けないです笑。

  2.   ばしさん

    お疲れ様です。このローファー見かけはシンプルですけど、謎が多くて面白いですね! 僕は見た目はザックリした質実剛健な作り好きですね。

    しかし、ソールのブロックトンニアン、興味ふかい。19世紀の靴の首都は、ボストン近郊のLYNNだったようですのでブロックトンも靴の聖地のような意味合いがあるのでしょう。オールデンもボストン近郊をアビントン→ブロックトン→ミドルバラ(ミドルボロー・現在)というふうに移動していますね。
    以下よろしければ参考に。失礼します。
    https://shinnosukejedi.blog.fc2.com/blog-entry-413.html

    1. しんのすけさん
      お疲れ様です。おっしゃる通り、シンプルなローファーなのですがかなりきちんとしておりまして、特に革質などはほんとに分厚くて柔らかで結構上質な感じです。
      で、なるほど、アメリカの靴産業メッカも時代とともに変遷しているわけですね。わざわざ「ブロックトニアン」なんて書くくらいですから、ピークの頃の品なのかもしれないですね。
      で、それっていつよ??となるわけですね。いやはや、なかなか一筋縄ではいきません笑。

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