おんぼろハンドソーンのメンテ(Mコロ⑥前編)

こんにちは、ばしです。

 

長かったお盆休み。

カレンダーの巡りも良く、今年は大手企業以外でも9連休となったところが少なくなかったようですね。私は途中1日仕事でしたが、それでも3連休+5連休と例年より長い休みとなりました。

いつもより長い夏休み。

だからと言って特別なことは何もなくて、休み中にしたことと言えば、ゴルフに映画に墓参りに靴磨き。あとは増えた体重を減らすべく近所の神社へジョギングしつつ夜はビールで喉を潤すマッチポンプ。まあ、いつも通りの盆休みの過ごし方です。

なのですが、

やることはあれやこれやとあって、日数が長い割には古靴と戯れる時間はあまり多くなく。メンテしないといけないやつらは山積みな中、とりあえず2足だけメンテしました。今回はそのうちの1足。オンボロのを拾ってきて、お盆休み前半の3連休に3日掛かりでメンテしました。

いつもと趣向を変えて、まずはビフォーアフターからご紹介。

 

 

【BEFORE①】

【AFTER①】

元がぼろかったんで、私のスキルではこのくらいが限度です。まあ、ぼろいといっても酷いのは見た目だけなのですが。

 

【BEFORE②】

【AFTER②】

もう少し劇的に蘇らせたかったのですが・・・、まあ、なんとか見られるようにはなったかなと。

 

いつもの通り、セカストの雑多な靴コーナーに鎮座していたのですが、兎にも角にも見た目に酷い。こんなやつ誰も買わない。そんなやつを拾ってきた理由は、

毎度のごとくタダみたいに安い値札が不憫だったことと、

まだまだ履けそうで勿体なく思えた。手を掛けてみる価値があるように思えたからであります。その理由は、

ソックシートに多数の釘穴が。そう、こいつ、ハンドソーン・ウエルティッドな品なのです。ソックシートにもそのように記載があります。

 

HAND SEWN WELTED
BENCH MADE

とあります。ご存知の通りベンチメイドとは、一人の職人が全ての工程を最初から最後まで手作業で行うことを指します。その上にある文字は「SUIT STYLIST Salon」。調べてみましたところ、代官山にあるスーツとシャツのオーダーのお店で、定期的に靴のオーダー会を催しているらしい。

恐らくは国内の靴職人に製造を委託しているのでしょう。東京のお店ですから製造も東京なのでしょうね。で、ぼろくとも、そんな高度な技術と手間を要する職人の手によるペアです。どんな経緯でここまでみすぼらしくなったのかは知りませんが、まだ履けそうな気がする。

 

例えば、

履き口にもライニングにもダメージはないし、

トップリフトもハーフラバーも、修理されて以降はさほど履かれていないように思える。問題なのは、

ピンボケでも十分わかる通り色ムラが酷いことと、

踵が型崩れしていること。革靴でこんな踵は初めてです。触るとフニャフニャしていて柔らかい。履かれてこうなったのか、最初からこのような仕様なのか。ワカラナイ。

で、気づいたのですが、

積み上げのヒール。強烈なリペアが施されています。おお、店頭ではここまで細かくチェックしてなかったな。しかしまあ、折角のオーダーの品をこんなになるまで修理もせずそのまま履き続けるなんてどうかしている。

で、ようよう見てみたら、

爪先も削れたようで足されています。

うーむ。

どういう経緯があるやつなのでしょう。勝手に推理を試みますと、こいつをオーダーした最初の持ち主は恐らく大切に履いていた(はず)。で、その後何らかの理由で手放され、二人目の持ち主が踵が派手に削れるほどに履き倒した。ぼろくなったからもういいやと手放したところ、次の持ち主の手に渡った時点で踵と爪先の修理とハーフラバーを施された。数度履いたけれども、3人目の持ち主もさほど履きこむことなく手放した。

つまり、それを拾って来た私は「4人目の持ち主」なのかも知れない。いや、厳密には持ち主ではない。私には小さくて履けません。そう、今回は「Mコロ」です。

参考:「Mコロ」記事一覧

 

私はこいつを履ける程度にきれいにするだけで、すぐに5人目となる持ち主の足元に届けようと思う。まあ、すでに3人目の持ち主が私と同じ考えでリペアなど取り組まれてますので、このまま引退させても良かったようにも思うのですが、折角の職人の気持ちの籠ったペアです。

加えて、

with love

とあります。

おお。愛です。
愛が籠ってます。
そんな靴はそうそうは無い。
もう一花咲かせてやろうと思う。

 

 



 

 

【お知らせ】

唐突ですが、しばらく更新頻度減らします。

現状「火・水・金・土の週4回」ですが、当面は「火・金の週2回」とさせていただきます。理由ですが、高齢で独り暮らし中の母を老人ホームに入れることになりそれに向けて施設の選定やら何やらとバタバタし始めておりまして。

靴も人間も同じで、ビンテージとなりますとあれやこれやとケアが必要となるわけでありまして、当面は人間のケアにシフトいたします。まあね、実のところ私にできることはあまりなくて、プロにお任せするわけですが。

古靴メンテ&ブログは今では私のライフワークとなり、これからも自身がビンテージになるまで続けるつもりです。まあ、所詮趣味なわけですが「継続は力なり」です。で、続ける上では必要以上の無理はしないことも大切かと。今回は無理はやめときます。

秋が深まる頃には元のペースに戻せるかな。
その頃には体重も元に戻ってたら嬉しい。

 

(次週火曜日につづく)

2件のコメント

  1. こんばんは!
    靴は、手放さないで持っておきます。

    介護、大変ですね。
    私は母子家庭で、祖父母の介護の為に、35歳で、会社を辞めて7年間在宅で、介護に専念して、祖父母が他界した後、仕事を再度探して、リスタートの4年目です(^^;
    介護期間中にレザークラフトをしていました。
    お陰様で良い出会いがあり、今の会社には最後までお世話になる予定です。
    今は大型免許の取得中で、やっと仮免です。
    少しパトロールは減ってしまいましたが、充実した毎日です。
    ばしさんも無理をせず、楽しいブログを続けてくださいませ〜!

    1. としさん
      こんにちは。7年間もほんとにお疲れ様でした。月並みですが、世界一幸せなお爺さんお婆さんでらっしゃったと思います。母はまだ要介護「1」なので大したサポートも不要なのですが、一人暮らしでどうしても籠りがちにもなりますし人と接する機会もあまりないので、まだ動けるうちに多少は賑やかで栄養管理もしっかりできる所が良いだろうとのことで施設に入るべく準備中です。もともと運動も苦手で足腰の弱い母を見てますと、人間やはりカラダが資本と思う今日この頃。ということで、私も今から運動不足せず鍛えておかねばと思う次第です。足腰強化のため、来年あたりちょっといい自転車でも買って、遠方へもパトロールはチャリで、なんてことも検討中です。そんときは自転車ブログも始めようかな笑。

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