こんにちは、ばしです。
5月にゲットした靴のメンテナンスが未だ手付かずなのですが、今回は少しばかりスキップしまして6月にゲットしたペアのご紹介です。
雑多な靴コーナーで、自分では履けない小さめサイズの英国製キャップトゥに遭遇。手入れすればきちんと整いそうな本格靴が、アンノウンブランド扱いということでお安く転がってました。
放っておいても誰かが買うかもしれないし、私が世話を焼く必要があるのかないのか。ただ折角の春夏向けの明るい色目ということもあり、きれいにメンテして転がして早々に出番を作ってやろう(&少しだけ儲けてやろう)ということで、持ち帰ってまいりました。
ということで、今回は「Mコロ」の第4弾。週末にメンテして早々に転がしましたのでご紹介です。
(参考「Mコロ」記事一覧)
UNITED ARROWS
MADE IN NORTHAMPTON
ソックシートにくっきりはっきり。
こいつ、ユナイテッドアローズさんがノーザンプトンのファクトリーに発注をかけたペアのようです。
小窓に手書き文字。
英国靴好きな人はこの仕様をみただけでワクワクするのではないか。ちなみに、読みづらいですが「5 1/2」「E」とあります。UK5.5Eウイズということのようです。一番下段の「19974」が何なのかは意味不明です。
分厚いダブルソールのキャップトゥ。トップリフトは楔形。積み上げヒールには化粧釘を打った見るからに本格派。そんなやつが2千円ほどの値札とともに安く転がされている理由は、この明るい色目の所為ではないかな。
タンカラーというには明るめで色ムラのあるアッパー。そんな色目自体は珍しくもないのですが、少しばかり黄色が強すぎるかも。加えて、この手の色で「内羽根のキャップトゥ」というのはあまりお目にかかりません。
スーツに合わせるには色が明るすぎるし、カジュアルには履くには内羽根は少し堅すぎる。要は、どっちつかずの中途半端な感じが安くしても売れない理由なのではないかと推察する次第です。
モノは間違いないんですよね。
この刻印。
こいつ、英国はCHEANEYチーニー製です。今でこそ単独のシューブランドとして名が通っていますが、1990s以前はOEMメイカーとして名を伏せられたものの流通量のほうが多かったように見受けられます。
この刻印のあるチーニーOEMの靴は割と結構な頻度で目にします。少しばかりご紹介しますと、
カナダの「HARTT」名義のチーニー。
ソックシート中央付近に刻印が。
次もカナダブランド名義。
同じ刻印。
お次は店頭のやつ。
職場から車で15分セカスト生野巽店でずっと売れずにいるこいつ。
ポールスミス名義です。で、同じ刻印。
そういえば、
5、6年前に転がしたポールスミスのブローグブーツ。
こいつもチーニー製でした。ポールスミスの英国製本格靴は、クロケット製とチーニー製が多いみたいですね。
で、そもそも、チーニー名義の靴はどうなのか確認です。
ソックシートにはCHEANEYのロゴと、
中央付近に刻印。
ソックシート中央やや爪先寄りにこの位置にこの刻印があればそれば、おそらく十中八九チーニー・メイド。そんなときはラッキー♬、と、スキップしたくなります。
今回はマイサイズではないし店内には他にお客さんも多かったのでスキップはなし。ええ、月1~2回の頻度でパトロールするセカストで拾ってきました。
まあ、靴を見れば英国製であることは分かるのですが、UAが名もない英国のファクトリーに発注掛けたペア、と思われても癪なんで、少し色目を調整して、氏素性をはっきりと明示したうえで出品しよう。
で、「こいつが欲しい」と思ってくれる方の足元に届けることといたしましょう。
まずはメンテです。
いつも通りまずは左足から。
LEXOL
いつもの手順でまずは汚れ落とし。
あまり変化なし。薄い色目のペアって水分を吸うと色濃くなることが少なくない。この時点で変化がない、ということは、アッパーには落とせてないだけでワックスなどがまだまだ残っている、という可能性もありますね。であるならば、
RenoMat リムーバー
強力リムーバー投入。
見た目にはよくワカラナイ。
デリケートクリームもどき
いつものDAISOのヒト用クリームをたっぷりと。
かなり吸い込みます。色も少し濃くなった。水分補給はこれでオーケー。次いで、油分補給です。
クリストフポーニー・レザークリーム
クリームという名のオイリーなやつをしっかりと塗り込む。
おおっ、かなり色が変化してきました。このまましばし浸透させましょう。その間に、アウトソールの手入れです。
ソールトニックそのほかをぶち込んで、コバにはコバインク(茶色)を投入。
オフホワイトの出し縫い糸を汚さぬようしっかりと塗り込みました。乾いたらウエスで磨けばピカリと光ります。
そうこうしているうちにクリームはだいぶ馴染んて来たように見える。トゥの色ムラがややきついこともあり、補色もかねて色を入れてみた。
コロニル1909(ミディアムブラウン)
アッパーの色目よりやや濃いかも。
まあ、このくらいの方が色ムラは軽減できるかもしれない。とのことで、全体的にしっかりと塗り込んでみた。
おお、すっきりしてきました。
すっきりはしてきたけど、赤が強いな。もう少し暗めの茶のほうがいろんな格好に合わせやすいかもしれない。ということで、もう少し色を濃くしてみようと思う。
コロニル1909(ダークブラウン)
同じくコロニルの濃い目の茶色を投入。
ただし、このまま塗り込むには色が濃すぎるかもしれない。色ムラがひどくなっては元も子もありません。ということで、混ぜてみよう。
ミディアムブラウンとダークブラウンを6:4くらいの割合で混ぜてみた。これを薄く何度も塗り重ねることで、いい感じに仕上がるのではないか。
塗ってみた。
おお、どうでしょう。
全体的に色が濃くなりました。まあ、そもそも少しばかり乾いて色が浅くなっていたせいもあるでしょうが、トゥの色ムラも多少は是正されたのではいかな。
個人的にはもう少しダークなブラウンが好みですが、これ以上やっておかしなことになってもなんですし、そもそも自分で履くわけでもないので、これ以上はお節介が過ぎるかもしれません。左足はこれ以上手を入れるのはやめとこう。右足も同じ手順で仕上げてたらメンテ完了です。
どうでしょう。
まあ、まずまず整ったのではないかな。
【BEFORE】
【AFTER】
明るい色目の方が好みの場合は、またレノマットなどで落としてもらえたらと思います。
ソールもきれいにしといた。
【BEFORE】
【AFTER】
靴紐も薄茶に交換しようかと思っていたのですが、サイズの合うものがなくて当初ついてたものをそのままつけてます。ですが、色が濃くなったせいで当初よりは馴染むようになったのではないかな。
加えて、ダブルソールのコバの色と紐が同じですし、紐は傷みもないようですし、このままが良いのかもしれない。
さらに濃くしたい場合は、ご自身でいろいろと弄ってみてください。このくらい明るめ茶色の靴は、いろんな色をいれて育てるのも楽しみの一つです。
なんだけど、うーむ、予想に反して少しばかりアンティーク風になったかも。キャップトゥの色ムラの所為だけでなく、皺の部分に浸みたクリームが思いのほか色濃く仕上がっている?
あ、いや、メンテ直後はそう感じましたが、
2日経ってだいぶ馴染んできました。
この写真は旅立たせる日の朝に確認用に撮影したものです。シューツリーは随分以前にサイズ間違いで購入したもので使い道がなかったのですが、こいつにジャストサイズでした。なもんで、今回はシューツリーつきで送料込みで6500円。
チーニー製の本格靴がツリー付きでその値段ならまあまあお買い得と言えるのではないでしょうか。出品して2日ほどで旅立っていきましたが、ジャストサイズとのことで喜んで頂けたようです。買い主に気に入られて靴も幸せなことでしょう。私も適度にメンテ費用も頂けて、我が家では出番のなかったシューツリーも役立つ時が来た。四方よし、ということで、
めでたし、めでたし。
(おしまい)