こんにちは、ばしです。
早いもので11月も半ば。秋もすっかり深まってきましたね。
先週の大阪は天候不順で、朝夕は雨、日中は降ったりやんだり。週が明け天候は回復するも気温はあまり上がらず。朝晩はそろそろコートが必要かな、そんな季節になりました。
夏の間、休日には靴下を履きません。まあ、夏が終わってもしばらくは素足のままです。ロングウイングもスリッポンも基本的に素足。ですが、流石にこの季節は靴下履かないと寒い。5年ほど前のことのですが、踝(くるぶし)を冷たい風にさらしていて、足元から冷えて風邪を引いたことがあります。それ以来、若者の真似はやめました。
そんなこの季節は、基本的にスリッポンは履きません。なぜなら、手持ちのスリッポンやローファーは素足で履くことを前提にサイズを選んだものばかり。素足でちょうどなやつばかりなので、靴下を履くと窮屈で履けない。
で、
思うわけです。たまには、コートの季節にスリッポンを履きたい。で、どうせなら、オンオフ兼用で履けるやつがいいな。
おお!グッドアイデア!
それ、乗った!
ぽちっ。
Allen Edmonds Grayson 8287
インスタグラムを見ていて、仕事の足元にタッセルスリッポン、てなスタイルをチラホラ見かけます。うーん、確かに、カッコいい。私もやってみたい。と常々思っていて、ずっと探してたんですよね。
で、実は、夏の終わりに別のが1足届いたのですが、、、。
こいつ、フローシャイム30030。探していたのはこんなカジュアルなのではなかったんですけどね。まあ、なりゆきで。で、7.5Dでジャストサイズと思ったら、素足でもかなりピタピタです涙。スリッポン=ローファー=ハーフサイズ小さめでOK、と、思っていたのですが、グッドイヤーなやつは通常のサイズ感でいいみたい。
今回のアレン。なぜだか小さすぎるサイズのツリーがおまけでついてきました。靴のサイズは「8C」です。靴下履く前提ですから、サイズは8でOK。ウイズは幅広よりは細身の方がいいでしょう。Cウイズだときついかもしれないが、そんときゃ広げよう。で、仕事でも履く一足です。他にも候補はあったのですが、どうせならとコードバンのこいつに決めたのでした。
どれどれ、ウイズ、行けるかな、入るかな。と足を入れてみましたところ、
ウォー、なんということでしょう、厚手の靴下履いてもぶかぶかです。かかとも抜けそうです。Cウイズなはずなのに、Eくらいな印象です。なぜ?どうして? ですが、爪先の方はそれほど広くはない。恐らく、踵のごっつい野郎に履かれて、すっかり伸びてしまったものと思われます。
おー、なんていうことやろう。うーん、これは参った。折角楽しみにしていたアレンのコードバンのタッセルです。正直かなりショックです。サイズが合わない場合、通常であれば右から左で転がすのですが、こいつはだめです。なぜって、
サイズ表記8Cですが、実際のサイズ感は8Eです
なぁんてコメントの靴が売れるはずありません。
うーん。困りました。ですが、これはもう、しょうがないです。転がすにしても自分で履くにしても、表記通りの「8C」サイズにせねばなりますまい。幸いにも、つい1ヵ月ほど前にもコードバンのペアを縮めたばかりです。
そうそう、こいつ。ドイツのセレクトショップ別注のオールデンです。割といい感じに縮みましたし、コードバンのアッパーもそれなりに蘇りました。きっと今回のアレンも良い感じに仕上がってくれることでしょう。
さて、期待を込めて、あらためて縮める手順はこうです。
(1)ぬるま湯にしっかり浸ける
(2)洗濯機で脱水し水気をとる
(3)ツリーを入れて乾燥させる
(4)状態に応じて手入れを施す
やってみました。
(1)ぬるま湯にしっかり浸ける
風呂場で作業します。シャワーを躊躇なくかけます。
で、あれれ? 見慣れぬタッセルがもう1足。
こいつ、長らく売りに出していたジョンマーの初期クラウンです。
サイズ表記は7.5E、なのですが、こいつも表記よりかなり大きくて、素足だとぶかぶかです。靴下履いたら自分で履けそうですが、厚手の靴下でもまだゆとりがある。ということで、一緒に縮ませてこの秋冬に自分で履くことにしたのでした。
15分ほど放置しました。しっかりと浸透してきました。湿り方にムラがあると、縮む際にもムラに縮みかねない、なので、しっかり漬け込むことにしています。これまではノートラブルですが、今回もうまくいくという保障はどこにもない。祈るばかりです。
(2)洗濯機で脱水し水気をとる
バスタオルで片方ずつしっかりとくるんで洗濯槽にINです。遠心力で外へと水が飛びますので、ソールを中心方向に、履き口を外側に向けて置くようにしてます。まあ、回転中に動いてしまったらもう、どうしようもないんですけどね。使い古したバスタオルは捨てずに、脱水する用に保管しておくとなかなかに便利です。1枚あれば数年はもつことでしょう。
(3)ツリーを入れて乾燥させる
洗濯機から出すと大抵の場合、ムンクの叫びみたいに靴がひん曲がってます。手で形をしっかり整え、さらに、ワンサイズ小さめくらいのツリーを入れた状態で乾燥させます。このところ、時間短縮の目的もあり、浴室乾燥で温度を上げた状態で5時間ほど乾燥させ、その後ツリーを外して自然乾燥、という手順です。
なんとなく、温度が高い方がより大きい割合で縮むような気がして。なのですが、実際のところどうなんでしょうね。温度の高低は縮む割合に影響を及ぼすのだろうか。ということで、同じ長さの革2枚で実験してみることにしました。
どちらも17.5センチです。
2枚ともしっかりぬるま湯に浸して水気をとり、1枚は浴室へ、もう1枚は自然乾燥させます。写真の色目が異なりますが、明るいほうは水に濡らす前の状態です。どちらもしっかり濡らした上で、片方だけ温度の上がった浴室へ。後ほど、最終的な差異の有無と程度を検証してみましょう。
(4)状態に応じて手入れを施す
1週間後。
すっかり乾燥しました。縮んだ程度は定かではありませんが、アレンについては見た目にも履き口の弛みがなくなったように思えます。いい感じに引き締まった予感。
さて、よくも悪くもすっかり乾燥しましたので、もろもろ手を入れましょう。
まず、ジョンマーのクラウン。
触った感じ、かなり硬くなってます。アッパーはヌバック?スエード?よくわかりませんが、起毛系です。クリームは入れたくないので、以前にもやったやり方で。
じゃーん、グリセリンです。濃度30%のグリセリン水をふりかけて乾燥させるだけにします。
スプレーで吹きかけます。以前もにたようなことやりました。それなりにしなやかさが戻ったと記憶しています。今回は、、、まあ、やらんよりはましでしょう。
さて、本題のアレンです。
見た目には細くなったような。
まあ、確かに、Cウィズっぽい雰囲気にはなってます。ロゴは大文字で横書きですので、ざっくり1980s前半のペアです。
ソールの写真、丸洗いする前のものですが「FR」とあります。このペア、実はフランス製です。いや、嘘です笑。「Factory Reject」ということかと思います。ようはB品です。今ならアウトレットなんかに流れるやつです。
けどまあ、そもそも中古です。ダメージはないものの、アッパーは結構傷などが見られます。元がリジェクト品だろうがなんだろうがどうでもいいです。
丸洗いしたけど、右外側の黒ずみもまったく改善してません。うーん、しょうがないですね。今回はそんなつもりはなかったのですが、脱皮させましょう。
先ほどのオールデンの時と同様、サンドペーパーの#800、その後#2000のツーステップでがっつりいきましょう。
いつも通り、まずは左から。
#800
ひゃー。なんていいながら、サンドペーパーが足らない。買いに行くのも面倒です、今ある分で賄いましょう。
#2000
ほー。まあ、いいんだか悪いんだか。
ブートブラックリッチモイスチャー
水分補給&栄養補給。
クリストフポーニーレザークリーム
おー、いい感じです。コードバンクリームは匂いが苦手なので、クリストフを塗布してみました。汚れ落とし&油分補給&保革。やはりコードバンには油分補給は欠かせないですね。一気に艶感が戻ってきます。
ソールとコバにもクリーム
クリストフは塗布後15分くらい時間を置いた方がよいとのことで、その間にソールをメンテ。ソールトニック・パレードグロス・コロニル、のスリーステップ。コバ周りは焦げ茶のクリーム。
コロニル1909ニュートラルのいつものやつ
仕上げです。今回のアレンは、前回のオールデンのときよりも表面のガサガサ感は少なかったですので、かっさ棒はなし。クリームを多めに指に直接取って塗り込み、ウエスで磨いてブラッシングしました。
サンドペーパーでしっかり擦れたところはしっかりヌルリと光ります。気が向いたらも一度ガッツリ脱皮させよう。
右も同様に800→2000の後、同様の手順で仕上げました。
おおー。まずまず良さげです。ですが、もう少し削ってもいいかも。次回は#600からスタートしてみよう。
【BEFORE】
【AFTER】
うん、まあまあ、コードバンらしさが蘇りました。コバ周りも綺麗にすっきりして見違えたかな。
【BEFORE】
えーと、繰り返しになりますが、左のアレンが8Cで、右のJ&Mが7.5Eです。どう見ても右のほうが大きいね。
【AFTER】
撮影時の角度も並び順も異なりますが、アレンの履き口は明らかにタイトになりました。ジョンマーもほんの少し細身になったように思えます。
いいね、いいですね。どちらも見た感じではまずまず良さげに仕上がりました。さて、最後に、足を入れてみましょう。これが今回のメーンエベント(メインイベント)です。
まずはジョンマー。
【BEFORE】
【AFTER】
履き口付近の甲のあたりが少し狭まったように見えます。同じ靴下履いてますが、明らかにフィット感が増しました。程よい感じに縮まりました。こいつ、ヴァンプが割と長く深いので、少しくらい余裕があっても足が抜けることはなさそうですが、まあ、そんな心配もなさそうです。
ついでアレン。
【BEFORE】
【AFTER】
おおー、思ったよりもいい感じに仕上がりました。こちらも同じ靴下です。ジョンマーと比べてヴァンプが浅いので、踵が緩いと抜けちゃいそうで心配しておりましたが、良い感じにタイトになりました。履いてるうちに多少伸びるでしょうし、この白の靴下は少し厚手ですから、現時点ではきつめが良い。もし緩く感じるようなら、靴下の厚さで調整するのが良さそうです。
どちらも適度にタイトになりました。さて、実験台はどんな感じか、確認してみましょう。
【BEFORE】
【AFTER】
縮みました。175ミリだったものが170ミリに。5ミリ、率にして2.85%縮みました。二本とも同じ長さです。浴室乾燥の方が当初の縮むスピードは速かったのですが、最終的には同じ長さに仕上がりました。温度は縮む割合ではなく、縮むスピードにのみ影響があるようです。
で、同じ割合で縮むと仮定しますと、アッパーの全長が280ミリの場合、8ミリ減で272ミリになる計算です。
まあ、爪先付近が履き口と同様の割合で縮むわけではないでしょうから、そんな単純なことではないのでしょうが、ハーフサイズ、もしくはウイズが一つ分くらいはダウンすると思って間違いないようです。まあ、実感値通りといって差し支えないでしょう。
これって、結構使えるかも。
中古の靴を買う場合、これまではでかめのやつは中敷きで調整、というのが常でしたが、サイズダウンしてくれた方がフィット感はきっと良いはず。もしくは、縮めた上で中敷き、とのことも可能であれば、サイズの選択肢も今まで以上に広がります。
また、私の場合は両足とも縮めるわけですが、別に片方でも良いはずです。私は両足がほぼ同じサイズなのですが、世の中には左右で結構異なるサイズの方もおられるようです。小さいほうだけ中敷きでサイズ調整、だと、幅や長さは調整出来ても、調整の必要のない高さ(=底の厚さ)まで変わってしまう。
片方のアッパーだけを縮めることができれば、これまでの悩みが解消する方も少なからずおられるのではないでしょうか。縮みすぎたりする懸念もあるでしょうが、その場合はまた引き伸ばせばよい。
新品の靴をいきなり縮める、ということに若干の抵抗はあるかもしれませんが、中古の靴なら思い切りやすいのではないか。新品はそもそも履くうちに革が伸びて緩くなりますが、すでに伸びた中古は縮むことはあってもそれ以上にはそれほど伸びない。
シューケアの新たなメニューに加えたら、以外と喜んでもらえるサービスになるかもしれません。あるいは、中古靴を売る際のプレメンテのメニューとして、なんてのはどうでしょう。必要とする方も少なからずいるかも。
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さてさて、今回2足、あらためて再掲。
ジョンマーの色ムラは、先ほどのスプレーがまだ乾ききってないせいです。まあ、こいつはオフの日専用ですから、多少の色ムラは気にしない。
アレンはオンオフ両面で履いてみよう。
どちらもこれからの季節に活躍してくれそうです。
で、なぜだか二足とも茶色。どうせなら黒も欲しくなりますね。できればサイズ調整不要なやつを所望です。
まあ、それはまた別の機会にしましょう。とりあえずこいつら履き倒さねば。どのくらい登板機会あるかなあ。
まあ、それはいつものごとく、私次第なんですけどね。
(おしまい)