Crockett & Jones “GILLIE” for Paul Smith(前編)

こんにちは、ばしです。

 

先週日曜は朝から晩までビン靴三昧でした。

朝9時前からメンテに着手し昼過ぎまでに4足。その後はパソコンに向かってブログ記事をがっつりと。前の週からの仕掛品を仕上げつつ、メンテに出品にと大忙し笑。他にも放置したままのペアは転がっているのですが、それはまあいつものことです。順次手を入れて行きます。

で、今回はそんな中の1足。今回と次回の2回に渡りまして、2週に渡ってがっつり手を入れたやつのご紹介です。8月に安くゲットした本格派。出番はきっともうすぐ、ほんとすぐ、なやつ。

 

 

Crockett & Jones “GILLIE” for Paul Smith

ポールスミスとクロケットのダブルネーム。

前々からギリーシューズは1足欲しいと思っておりまして、できればこの「ポールスミス別注のクロケット製」が良いなと思っておりました。

理由はこの「タン」。

ギリーシューズには本来はタンはない。なのですが、ポールスミス別注品にはタンが付いている、というのを二十歳のときに雑誌で読みました。ポールスミスもクロケットも今では皆が知るブランドなわけですが、その関係は当時かなり密だったようです。

ポールスミスの日本初出店は1984年。

南青山の直営店を皮切りに、その後、日本のバブルの好景気と重なった1980s後半にはポールスミスが日本での出店と認知を飛躍的に高めていったようです。折しもちょうどその頃の日本は英国靴ブームで、そんな折に、ポールスミスの本格靴を作っているブランドとしてクロケットの存在を知りました。

 

件(くだん)の「BRUTUS」1989年11月号。

久々に引っぱり出してきました。本格靴好き界隈では伝説となりつつある感のこの号の中に、当時のポールスミスとクロケットの様子が記事になっています。

当時のポール・スミス氏。1946年生まれということらしいので、このとき御年43歳。おお、流石に洒脱な雰囲気がカッコいい。で、

<クロケット&ジョーンズ>と、
ポール・スミス・タッチの複合靴。

の最たるものがこれかと。

上がクロケットのオリジナルで、下がポールスミス別注の「スクエアキャップ・ブローグ」。鋭角なUウイング、てな感じです。で、こんな意匠、発注かけた方もなんですが、作った方もよくもまあこんな無茶ぶりを引き受けたもんですね。まあ、今あらためて見てみて、欲しいですけどね、これ。

そんなことが見開きで記事になっております。
で、左下。

出ました!ポールスミス別注のギリー!

ソックシートのロゴは「Paul Smith」のみ。今回のダブルネームのペアは年代的にはこのずっとあとなのかも。なんだけれど、「ギリーシューズ」なるものの存在と「本来はタンがない」ということをこの記事で初めて知った私。当時はまだ学生でしたので「何に合わせてどう履くか」なんてことは想像すらできなかったわけですが、この独特な意匠と存在感に魅了されたのでありました。

 

あれから三十五年。

ようやく手にしたポールスミス別注のクロケット・ギリー。

まあね、別に三十五年も待たずとも新品買えばよかったやん、なんて話もあるわけですが、ユーズド専門な私です。そう、ユーズドでマイサイズに出会うことに価値があるのです。たぶん。

で、このタンのついたモデルが今も継続しているのかどうかは知りませんが、ようやく念願叶いました。当時との違いは、私がすっかり社会人のヴェテランになった、ということくらいで、靴のスタイルはメダリオンのデザイン含めほとんど変化がないように思える。

で、やはり、仕事で履くことを思えばタンがあった方が良いかな、と。タンのない本来のスタイルは「靴下で遊べる」ことも魅力らしいですが、そうすると靴下も沢山必要になりそうです。遊ぶどころか遊ばれてしまいそうです。もうね、そんなあれやこれや要らない。

とはいえ、このくらい履きこまれますと、靴紐による擦れの跡がハッキリわかる。これはこれで困ったもんです。

そう、こいつ、かなり履きこまれてます。

ソールは指で押すと凹む程度にまで摩耗している。

アッパーのくたびれ感と色褪せ感はかなり酷いレベルです。まあ、5千円ちょっととかなり安かったし、しょうがないです。とはいえ、目立つ傷やクラックがあるかというとそうでもない。かなり酷使はされたものの、都度きちんと手入れされつつ履かれてきたペア、なのかもしれない。アッパーはね。

問題は、このソールとヒールをどうするか。

まあ、履いたらすり減ります。自然なことであり、こればかりはどうしようもない。底の対応はまた後で考えるとして、とりあえずはへたったアッパーを綺麗に元気にしてみることにしました。

まずは紐を外す、そのためにタッセルを外す。

そのために、結び目をほどきます。

ほどいた。
よし、これで後でまたこの紐を使って、、、。

いや、やめとこう。

結局ハサミでぶっちぎりました。あらためて、アッパーに取り掛かろう。いつも通り、まずは左足から。

 

LEXOL

汚いトゥ。まあ、トゥだけではないのですが、

歯ブラシでガシガシと行ってみた。

水分を吸って色が濃くなりました。

内側も綺麗に拭いといた。
で、見ての通り品番は「8053」で、サイズは「7.5E」です。クロケット製の7.5は大体いつもドンピシャです。今回もマイサイズなはず。

次。

 

 

RenoMat リムーバー

強力リムーバー登場。

ワックスはさほどでもないようでしたが、染みついた薄汚れをしっかり除去できたのではないかな。

 

 

デリケートクリームもどき

百均のヒト用クリーム。

グリセリンと水が主成分のこいつで再度全体を潤す。

全体ということで、爪先側も内側からしっかりと塗り込む。

まあ、やらんよりやった方がいいでしょう。

さて、もういっちょ。

 

 

クリストフポーニー・レザーセラム

がっつりフルメンテの際はこれです。

スポイトで直接オイルを垂らして、

指で塗り広げる。

普段は隠れて見えないタンも今回はアッパー同様にきっちりとケアします。

結構しっかり塗り込みました。

見てる間に吸い込んでいく。

 

 

クリストフポーニー・レザークリーム

メンタムぽいこいつで「追いオイル」しといた。

朝日を浴びるとこんな感じ。

色は全く入れてはいなくともかなり発色も蘇ってくる。まあ、時間が立てばまた変化していくわけですが、水分油分を補給することで草臥れたアッパーもある程度は復活してくれる。その様子はこれを見れば顕著です。

羽根の間隔、向かって右、左足の方が広くなってます。

靴紐で長年抑えられていた羽根。ハリを取り戻してくると「ピンっ」と立ち上がってくる。ビンテージに限ったことではないのでしょうが、旧い靴をメンテナンスしていて楽しさを覚える瞬間のひとつでもあります。

左も同じ手順で進め、

左右とも、最後にレザークリームを二度塗りしました。

見た目はそれほどでもありませんが、触ったらかなりギトギトしてます。このまま1週間ほど寝かせて浸透を待ちましょう。購入してからすでに3ヶ月経ってます。今更1週間なんて、たかが知れてます。

いい感じに浸透しますようにzzzz。

 

(次回につづく)

2件のコメント

  1.    ばしさん

    お疲れ様です。
    なるほど、本来民族靴なのを、ポール・スミスが都会的にアレンジしてるのがクロケット製のギリーなのですね。
    昔、not fashion but styleというブログがあったんですけど、そこのブルックスブラザーズのクロケット製ギリーがすごくかっこよかったんですよ。今回それを思い出しました。雰囲気ありますね。続きも楽しみにしています。ではでは失礼します。

    1. しんのすけさん
      こんばんはお疲れ様です。
      ブルックスで英国靴といえばチャーチEGサージェント製しか知りませんでしたが、クロケット製なんてのもあるんですね。それがギリーということは、ギリーといえばクロケット、ということ?まあ、各社作ってるみたいですしそういうわけではないでしょうが、逆にクロケットといえばギリー、という面もあるんでしょうかね。色々と奥が深いですね。英国は歴史がある分だけそれを紐解くのも用意でははさそうですね。

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