Florsheim 31714 “The Laurel”

こんにちは、ばしです。

 

前回記事「ゆくくる4月」でも触れました通り、

このところ原点回帰しまして米国ビン靴に注力中であります。アレンとフローシャイムのビンテージ靴をメインとしていくつもりで、4月も3足購入しました。王道ビンテージ靴はやはり素晴らしい。そんな思いからの原点回帰であります。

4月の3足の購入先は「メルカリ」「セカスト」「ebay」。私の主要なパトロール先それぞれから偏りなく購入しました。注力したくともモノがなければどうしようもないわけですが、枯渇する一方のビン靴とはいえ、幸いにも国内外ともまだ出会いには恵まれているようです。

今回はその中の1足。メルカリでゲットしたフローシャイムをご紹介です。

 

 

Florsheim 31714 “The Laurel”

言わずと知れたフローシャイムの3アイレットのエプロンフロントダービー、それが「ザ・ローレル」。このタイプのUチップは、最近の革靴市場ではあまり見かけないスタイルですが、米国ビンテージ靴を代表するスタイルであり、ビンテージ・フローシャイムを代表する1足、といっても良いかと思います。

europeanblendさんクロマメさんといった先達のビン靴ブロガーたちが十年も前から取り上げられておられたこのモデル。私もようやくようやく手にすることができました。十年も時間がかかった理由は、程好い状態とサイズのモノとの出会いが少なかったことと、何より、スタイルが「イマドキでない」ということに尽きる。

ダサくはないけど、どうすればカッコよく履けるのかがよくワカラナイ。私にとってはそんなモデルであり、後回しになっておりました。今回の個体はそうではなさそう、意外といけるかも。そう感じた理由は後ほどにしまして、今しばらく今回のローレルについてご紹介。

フローシャイムといえばアッパーラインの「インペリアル」が人気なわけですが、このモデルは青窓=レギュラーラインのペアです。

薄れてますが、ソックシートのロゴもレギュラーラインのそれです。で、「MADE IN AMERICA」とのシールが左右ともに貼られています。珍しいです、初めて見ますが、わざわざそんなのを貼付するということは海外向けの輸出用なのでしょうか?シールは日本で貼られた?よくワカラナイ。

アッパーラインではない。

とはいえ、旧い年代のモノはなかなかどうして、品質はそれなりに素晴らしいものが多い。では、品質の良い時代の旧いモノというのはいつ頃までのモノなのかといいますと、具体的には、1970s以降アメリカの景気に陰りが見え始め、高級品が売れないとのことでコストダウンが図られていくその前、ということになる。

具体的には、オイルショックの起こった【1973年】頃を境にアッパーの品質の低下や様々にデチューンされた様子が見受けられ、その前後で品質の差異が顕著に見受けられているようです。

 

 

今回の私のローレルの製造年代はと言いますと、

アルファベット二文字は「GD」。

「G」は製造された月が7月であることを表します。Aが1月、Bが2月・・・といった具合です。「D」は製造年の下一桁の数字を意味します。A=0年、B=1年・・・で、Dは「3年」であることを意味する。

つまり、「GD」とは「19X3年7月製」ということになるわけです。また、印字のインクの色は年代とともに変遷するようで、黒→青→白の順に年代は新しくなるらしい。今回は黒なので、それなりに旧い個体のようです。

ついで、トップリフト。

「釘穴あり」です。

これは1960年代に見かけられるものですが、1970年代初頭のモノでも一部散見されているらしい。これらを加味しますと「1963年7月製」もしくは「1973年7月製」のいずれか、となる。

フローシャイムの年代方法は様々なブログで紹介されてますが、今回はなおけんたさんのブログ記事「フローシャイムの年代判定法、新たな絞り込みの基準」を参考にさせて頂きました。

 

で、今回のペアは中敷きの形状などを考慮しますと、こいつはまさにオイルショックが始まった年である【1973年7月製】と推察されます。

いやあ、惜しかったですね。

1960s製だと品質の高さも申し分なかったろうに。しかしながら、過去の歴史をあらためて調べてみましたところ、オイルショックは1973年【10月】からみたいだし、スタグフレーションに陥った米国の景気後退期は同年【11月】から1975年3月までの16ヶ月間だったらしいので、1973年【7月】製のこいつには直接にはその影響はないようにも思える。

実際、アッパーの革質については、見た感じにはさほど悪いようには思えません。アウトソールもかっちりしていて、旧い年代でよく見かける中まで高密度で高品質な感じがする。そのほかに関しても、見る限り特段品質に劣るとは思えないんですよね。

 

なのですが、調べてみたら確かに。

この踵の仕様。

1960年代のものはドッグテールに処理されていたようです。なので、これなどはまさに手間を削減した痕跡といえます。オイルショックは景気悪化の決定的なトリガーになったのでしょうが、それ以前からベトナム戦争の長期化や日本を含めた新興国の経済的な台頭により、アメリカの経済は徐々に疲弊し、革靴の品質にも徐々に影響があった、ということなんですかね。すみません、歴史とか経済とか若いころから得意でなくて笑。

 

ちなみに、クロマメさんのローレルのお尻はこんならしい。スクショ拝借いたします。

クロマメさんのブログより)

 

この個体は1970年製だそうですが、1960年代と同様にきちんとドッグテール仕様です。それもダブルステッチ。1960sからこの頃までは従前の品質でモノづくりがなされていた、ということのようですが、他はどうなのだろう?

1960年代のペアと並べて見比べみたら、他にも違いが感じられるのだろうか?仮にそうだとしても、時代が新しくなるほど品質が低下するとはいうものの、今回のものは1973年です。見た目にもそうとわかる1980年代まで時代が新しいわけでもないわけで、コストダウン後といいながらも品質の劣化はまださほど顕著ではないのではないか。

と、

希望的観測を抱きつつ、週末にメンテナンスを行った次第です。

いつも通りまずは左足から。

 

(次回につづく)

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