ガルジョンマー(中古のリーガルその38)

こんにちは、ばしです。

 

 

今回&次回はこのペアのご紹介です。

 

 

写真は平日のある日のお昼休みの風景。

職場近くのすき屋で牛丼を食べ、ついでにすぐ近くのセカストパトロールに寄った際のワンショットです。この日の足元は茶のハノーバー・コードバンを履き下ろし。何もなさげに立ってますが、実はサイズが少し小さくて、足が少しばかり痛いのを我慢しております。

で、類は友を呼ぶとはよく言ったもんですが、そんな窮屈なコードバン履いて出かけたら今度はジャストサイズのコードバンに遭遇してしまったのでした。

 

 

お値段3900円+税。

コードバンがこの値段です。極端なダメージがなければ「格安」といってよいかと思います。けどまあ、リユースショップではよくある話です。クロコダイルなどエキゾチックレザーは一目でそうと分かりますが、磨かれていないコードバンって、見慣れた人でないとスムーズレザーと見分けがつかないこともある。今回もスムーズレザー扱い、かと思われます。

 

なんだけれども、

値札には「JOHNSTON&MURPHY」の文字。

ジョンマーがこの値段は少し安すぎるように思えるのですが、どうなんでしょうね。ジョンマーの相場ってこんなもんなのかな。

まあ、この状態ならこんなものかもしれませんね。かかと腰裏にリペアが施されてます。リペア痕がある靴はユーズドの中でも値段は低くなりがちです。

その点、こいつはオールソールも施されているみたいです。「かなり履きこまれた上にリペアされた靴」だから安い、ということなのでしょう。へえそうですか。きちんとリペアされてるなら全然構わないと思うんですけどね。むしろ安く買えてラッキー、なんて思うのですが、世の中的には私の考えの方がむしろ少数派なのかもしれない。

 

そりゃまあ確かに、

見た目にはお世辞にも綺麗とは言えない。

側面には引っ掻き傷もあるし、

履き口はあまり美しくはない。

糸もぴょんぴょん出てます。

左右ともに擦れて破けそうではある。

とりあえず、

炙っといた。

 

で、擦れたソックシートではありますが、何やらロゴの痕跡発見。

遠目では全く分からないのにね。
お店の方、よく気づかれたと思います。
こいつの正体は、

 

 

Johnston & Murphy Signature

ジョンストンアンドマーフィー。

通称ジョンマーの「シグネチャー」というラインです。で、側面に刻印があるとおり、このペアはMADE IN JAPAN、日本製のジョンマーです。ジョンマーの靴は米国以外の国でもライセンス製造されており、よく見かけるのはイタリア製と日本製かと。で、日本製のジョンマーは当初がリーガル(チヨダ)、その後は、大塚製靴が製造を手掛けていたようです。

今回はガルジョンマー。

リーガル製のジョンマーはそのように呼ばれているそうな。不勉強で知りませんでした。初・ガルジョンマーです。私はこれまで、リーガル製・大塚製を問わず、日本製のジョンマーはスルーしてきました。品質的には問題なし、というかむしろ、品質が劣化した1990s以降の米国製よりも日本製の方がはるかに素晴らしい、という話はずっと耳にしておりました。

とはいえ、米国ビン靴フリークとしましては「どうせ買うなら米国製」となる。あえて日本製を買う意味を見出せなかった。お陰で相当数の日本製ジョンマーをスルーしてきました。

よく見かけたこの刻印のスタイルはリーガル製。大塚製は確か黒いライニングに銀の文字、だったような。それぞれ見た目に明らかに異なる仕様です。どちらも同じくらい見かけてはスルーしてきました。まあね、そのことに後悔はありません。まったく。なぜなら、他に素敵な靴に沢山出会いかつゲットしてきたから。そんな私が今回に限ってなぜ、といいますと、それは、

「コードバンだから」ということに尽きる。

ジョンマーの靴は過去何度も買っては転がしてきました。今も何足かは手元に置いて定期的に登板させてます。ですが、コードバンは初めてだし、思えば、日本製か米国製を問わず、久しぶりのジョンマーです。ライセンスモノも含め、ジョンマーの時系列の経緯を簡単に確認しておこうと思います。

 

 

Johnston and Murphy

英国からアメリカに移り住んできた靴職人のウイリアム J.ダドリーは1850年、アメリカのニュージャージー州ニューアークで会社を設立。これがこれが【Johnston & Murphy】の原点。

だそうです。1850年という創業は、主要な米国本格靴メイカーの中でも最古参です。過去記事「カナダ靴の世界」より抜粋再掲いたしますとこんな感じ。

 

 

早々たる名前の中の一番上がジョンマー。しばしばアメリカ大統領の靴とも称されるわけはこの歴史ゆえのことかと思われます。

1850年創業当初の社名は【William J. Dudley Shoe Company】。その後、1980年にビジネスパートナーとしてジェームス・ジョンストンが会社に加わる。翌1881年に創業者であるウイリアム・ダドリーが死去。同社は【The James Johnston Company】と名前を変えて引き継がれます。1884年にジェームス・ジョンストンが著名なビジネスマンであったウイリアム・マーフィーとパートナーシップを形成するに至り、ここで今にその名の続く【Johnston & Murphy】となるようです。

ブランド名として今も続くジョンマーですが、1951年に【Genesco Inc】に買収され、現在でもジェネスコの1ブランドとして存在しています。ちなみに、ジェネスコとはテネシー州ナッシュビルで1924年に創業された【Jarman Shoe Company】が名前を変えた会社です。現在中古で流通しているジョンストン&マーフィーの革靴は完全にジャーマンの子会社としてのブランドで作られている物なのです。

以上、古着屋ガレージセール青山店長のブログより引用・参考に取りまとめさせて頂きました。

 

その後、

ジョンマーは米国内での製造は継続しながらも海外でのライセンスモノも流通し始めるようです。日本では1983年にチヨダシューズがジェネスコ社と契約しジョンマーブランドの靴を製造・販売開始。リーガルショップでチヨダ製のジョンマーが販売される、との状況が発生していた模様。

その後、2000年にチヨダシューズがリーガルコーポレーションの連結子会社となるわけですが、その後もジェネスコ社との契約は引き継がれ2008年まで続いたそうな。つまり、リーガル製のジョンマー=ガルジョンマーは、厳密にはチヨダ時代のものとリーガル時代のものとがある、ということなのだそう。

以上、まめの身づくろいさんのブログ記事「ガルジョンマー考古学」を参照させて頂きました。

 

いやあ、一口にガルジョンマーといっても色々あるんですね。リーガルのあとは大塚製靴がライセンス製造をするらしい。今はもうやってないんですかね。まあ、その辺の詳しいことは大塚メイドのジョンマーを手に入れてから詳しく調べてみよう。

最後に、

「LS 63」

とあります。リーガル製の品番で「LS」はアッパーにコードバン を使用しているとのこと。そして、ローマ字以降の数字が「6」から始まるものは、染料仕上げのコードバンらしいです。リーガルのコードバンには染料仕上げのものと顔料仕上げのものとがあるらしい。

 

そういえば、以前顔料仕上げと思しきリーガルのコードバンを持ってました(過去記事こちら)。

状態は良かったのに、表面が割れというか、剥がれがありました。今思えば、これが顔料仕上げのコードバンだったのかもしれないな。ええ、転がして手元にはもうありません。

今回は染料仕上げのコードバン。

先程の顔料仕上げと比べると、古ぼけてますがとても自然な感じです。

メンテし甲斐がありそうです。
やってみました。

 

(明日につづく)

2件のコメント

  1. 初めまして、いつも楽しくブログを拝見しています。
    ガルジョンマーのコードバンということで思わずコメントいたしました。
    私が所有しているものは顔料仕上げで、アッパーに顔料の剥がれが発生したものを中古で購入しました。
    アセトンで顔料を剥がし、革を染めて無理やり染料仕上げにして履いています。
    現在はばしさんと同じ(?)仕様の靴なので、次回のメンテナンスを楽しみにしています!

    1. TAIさん
      始めてまして。コメントありがとうございます。
      やはり顔料仕上げのコードバンは剥がれが発生するものなんですね。
      その手のもので剥がれの状態のよくないものは安いでしょうから、
      染料仕上げに自分でリニューアルを前提とすればお安くコードバンを入手する方法、
      なのかもしれませんね。私もやってみたい。手に入れねば(笑)

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