こんにちは、ばしです。
今回はジャパン・ビンテージをご紹介。
10月半ばに滋賀県のセカストで遭遇したデッドなやつです。え?滋賀県?なんでまた滋賀と思われるかも。実はここ最近ちょこちょこと滋賀のセカストに足を運んでます。今春から社会人となった息子が一人暮らししているその場所が滋賀県なのであります。
自宅のある大阪府八尾市から息子宅までは電車で2時間、クルマだと1時間。さほど遠くもないため、彼は月に1、2度、家に帰ってきます。彼女とデートなどもあるのでしょうが、10月の三連休はコート類や布団・毛布などを持ち帰る目的でした。
それら大荷物を電車で持ち帰ることは大変なわけで、そんなときは滋賀まで車で荷物とともに送り届けるわけですが、実は息子の部屋からクルマで5分の場所にセカストがあるんですよね。なもんで、帰り道ではその店をパトロールすることにしております。これまで何かを買ったことは一度もなかったのですが、先月初めて掘り出し物をゲットした次第です。
こいつ。
madras EXTRAのスプリットトゥ
旧いマドラスのペアです。
マドラスのペアはこれで3足目。「EXTRA」ラインは2足目となりますが、どれもなかなかに素晴らしいペアです。今回のペアもこれまでの2足に違わず素晴らしいやつ。何が素晴らしいって、
このスタイル。
曲線で構成されたスプリットトゥの切り返し。アールヌーヴォーな雰囲気漂うこいつは、先月旅立たせた「MATSUBA」のペアと非常によく似た一枚革袋縫いで仕立てられたスタイルです。
ね。似てますでしょ?
恐らくは、昭和の頃の職人の手によるものではないかと。MATSUBAは残念ながら小さくて履けなかったわけですが、今回は大丈夫、マイサイズです。ただし、一点だけ問題が。それは、
なんと、未使用品なのであります!
そんなやつが税込み千円。
もう、持ち帰るしかないわけですが、ご存知の通り、私はデッドを履き下ろすのが大変苦手なのです。デッドストックも1度履けばただの中古です。そう考えるともったいなくては履けない。ですが今回は、こいつは履き下ろそうと思う。履きたくて、そして履き心地を確かめたくて、そのために持ち帰ってきたのであります。
箱にでも押し込まれていたのか、アデレートの羽根部分が内側に織り込まれてしまってます。いや、だからシューツリー入れましょうって言っているのである。
また、アッパーは部分的に白くなっています。カビ、でしょうか。ジメジメした押し入れや靴棚の奥に押し込まれていたのかもしれない。
いつ頃の品か。
製造年代は判別出来てませんが、漂う雰囲気からは1980-90s前半頃の品ではないかと思う。長らくの眠りから目覚めさせて、私が履き下ろすことにいたします。てなことで、儀式です。先週末より昨日までの1週間でプレメンテを行った次第です。まあ、未使用品なんでやることあんまりないんですけど、日数だけは掛けてみた。
いつも通りまずは左足から。
LEXOL
おお、ツリー入れたら本来のアドレードが復活です。
とても美しい竪琴なわけですが、羽根の下のタンはと言いますと、
やはりカビていた。だけでなく、羽根の裏側にはサインペンで数字が。「8000-」って、8000円っていうこと?何それ?直接書くなよ。
なんとタンの裏にも!
「コヤリ」とあります。コヤリ、って人のペアでしょうか。購入後ご自身で書いたものでしょうか。あるいはこいつはオーダーの品か何かで職人さんが書いた?いや、それはないな。ご自身で書かれたものでしょうね。
コヤリさん。
「小槍」?「小鑓」?「小夜里」?
どんな字でしょう。調べてみますと、「小鑓」という苗字の方が滋賀県の大津市に多いらしい。当該店舗は大津市に隣接したエリアですので、「小鑓さん」が購入されたペア、ということで間違いなさそうです。ていうか、マジックで直接書くなよ。2回も言うてもうたわ。
リッチデリケートクリーム
栄養補給。
乾燥してはいない。と、思うのですが、まあ、念のため。
プロペト保湿
最近のマイブーム、プロペトで油分補給。
乾燥はなくとも油分は不足しているかも。
ということで、左右ともにしっかりと塗り込む。
うう、美しい。
デッドだし、アッパーもソールもダメージはありませんので、あとは浸透を待ってその後仕上げるだけ。ここまでが先週末、【10/26 SUN】のことです。1週間寝かしてみる。
【10/27 MON】
翌日の夜。
すっかり染み込みました。
思ったより早いな。
【10/29 WED】
さらに2日後。
変化ないですね。追いプロペトしたいところですが、そもそもデッドだし、日曜日にしっかりたっぷり塗り込んだし、このまま週末まで乾燥させよう。
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【11/01 SAT】
丸1週間経過した昨日。
アッパーの見た目の変化は無し。内側に織り込まれて癖付けされてた羽根周りはと言いますと、
だいぶましになったかな。で、思いますに、そもそもツリー突っ込んだ状態でも羽根とツリーの間に隙間ができます。幅広ではありませんがかなり甲高なのかもね。内羽根で甲高=羽根がぴっちり閉じる、それはすなわち私好みということです。
おお、これは楽しみです。
さくっと仕上げましょう。
コロニル1909ムショク
左足にいつものクリーム入れてみる。
いい艶感です。初めてプロペトを使ったヴェルトショーンの靴もいい感じで艶めきました。プロペトとコロニルはやはり相性が良いのかもしれないな。さて、仕上げはこれにて終了。紐を通し直したらメンテ完了です。
ドンっ。
美しい。素晴らしい。
【BEFORE】
【AFTER】
整って艶めいて少し茶の色目も濃くなった。
【BEFORE】
【AFTER】
アッパーが生き生きと蘇ったように思える。
【BEFORE】
【AFTER】
おお、いい感じに整いました。
やはりこのサイドビューが最高にかっこいい。
素敵なジャパンビンテージをゲット出来て嬉しい。
今回が3足目のビンテージマドラスです。
並べて記念撮影。
左は「Adult madras」。
アンラインドのスリッポンで主に夏用です。右の黒いキャップトゥは茶と同様に「マドラス・エキストラ」なペア。
2足ともロゴも綺麗で嬉しい。
黒はサイズ「7.5」。ジャストサイズなので「UK7.5」と思われます。今回の茶は「8」。少しい大きめですが、トゥが細身ですのでおそらくkジャストではないかと思われる。サイズ感は見立て通りであろうか?
足を入れてみよう。
ぐぅおおお。
ジャストです。カジュアルなソックスは少し厚手ですが、いつもの仕事用でも全く問題なさそう。特に、
土踏まず辺りのフィット感がやばい。
アデレート部分のサイズ感はこの上ないくらいジャストフィットなのですが、土踏まずの下からの突き上げも素晴らしい。
と思って内側を確認してみると、ちょうど踏まず当たり、とても立体的な作りになっています。隙間なく、かといって決して窮屈でなく足をホールドしてくれる。たまたま出会った靴が誂えたようで、なんとラッキーなことよ。
で、爪先側に目を転じますと縫い目が走っています。日本におけるマッケイ製法の雄ともいえるマドラスのそれです。
アウトソールに目を転じますと、縫い目はありません。こいつ、ヒドゥン仕上げです。薄いシングルソールのマッケイのヒドゥン。昔の職人の技が垣間見える。素晴らしい。なおかつ、
未使用であります。
未使用なんだけれども、そんなのを履き下ろす勇気に乏しい僕ではありますが、早速今週履いてみようと思う。必ずや、
履き下ろそう。
履き下ろしたい。
履き下ろさねば。
履き下ろすべきだ。
履き下ろしてみせる。
感想はインスタにてご報告します。
(おしまい)












































