こんにちは、ばしです。
今回はレディス靴です。
我が家では娘も家内もUK4=23.5cm相当なので、たぶん二人とも履けない小さめサイズ。なんだけれども、とても素敵な本格派でかつ手入れしたら蘇りそう。そんなやつが雑に扱われているのが不憫に思え拾ってきました。
こんなやつ。
綺麗なフォルムの黒いUチップ。
パラブーツのアヴィニョンみたい。
甲のステッチは三連。
コバがあまりきれいではない。
踵はドッグテール。
出し縫い糸が見えます。ぐるりと360度、縫われている? あるいは縫い目っぽいフェイクで実はセメント製法とか? どうなのでしょう?
アウトソールはこんな感じ。レザーソールの上からハーフラバー貼られてますが、レザーの部分を見る限りちゃんと縫われてるっぽいです。
サイズは22.5センチ。かなり小さい。こんな小さいサイズだけど、ちゃんとグッドイヤー製法なのでしょうかね? そうだとしたら凄いな。
こいつ、どこの何者かと言いますと、
Message
PRODUCED BY MESSAGE CO.LTD
とあります。調べてみたところ、「株式会社メッセージ」というアパレル企業が存在したらしい。「ラストシーン」というレディスのブランドを展開する中堅アパレルSPAだったようですが、2007年にサマンサタバタに買収されたようです。
ブランドが今も継続しているのかどうかは定かではないですが、社名同様の「MESSAGE」名義のペアですので、こいつは2007年以前の品ということのようです。ビンテージというにはまだ早いですが、20年近く前とまあまあ旧い。あと10年したらビンテージの仲間入りでしょうか。恐らく日本製ではないかと。
右足は酷い。爪先にキズ、コバも色が剥げてます。ですが、その他はそんな悪い状態ではなさそう。また、眺めてみますに、全体的に丁寧に作られているとの印象です。
履き口周りや内側にもダメージはなし。ソックシートはレザーっぽいですがケミカル素材なのかも。変色して表面が一部はがれているようですが、爪先側はレザーでかつフットプリントもないみたい。見た目の印象ほどには履かれてはいなさそう。
きちんと手入れされていなくて、見た目にはみすぼらしいですが、手をかければきちんと本来の姿を取り戻せそう。そうすれば、結構魅力的なペアとなり、誰か履きたい人が現れるのではないか。
税別500円。
お安くて遊び相手にはグッドです。こんなやつを見かけるといつもの習性が顔を出す。メンテしたい、キレイにしたい。てなことで持ち帰ったのが先月のこと。1ヶ月ほど経っちゃいましたが、一昨日夜にサクッと弄りました。
まずはコバ周りから。
お世辞にも整っているとはいえない。
LEXOLで汚れを掻き出して、
サンドペーパーで削って、
コバインクを塗り込む。
乾いたらビーズワックスを塗り込んで磨く。
左右とも完了。
さて、アッパーにうつります。
LEXOL
埃落とし。
ワックス等は皆無。レディス靴って、メンズのようにワックスやクリームが塗り込まれてるケースは滅多にない。
今回も予想通りでした。ただ、長らく履かれていなかったようで、結構乾いてます。で、羽根の淵が気になる。
三層になっているようです。切り口を黒くしたいけど、履き口まで色を付けると靴下が黒く汚れるかもしれない。このまま触らないことにします。
デリケートクリームもどき
いつもの百均のヒト用クリームで保湿です。まずは内側ライナー。爪先までオールレザーライナーです。
かかと内側だけでなくつま先まで万遍なくたっぷりかつ入念に塗り込んどいた。
ついでアッパー。
結構吸い込みます。
これだけで結構綺麗に蘇った。
次いで油分補給。
クリストフポーニー・レザークリーム
TAPIRレダーオイルを切らしてまして、最近はメンタムに似た香りのこいつで油分補給することが多い。
うっすらと塗り込んで、しばし時間を置いて浸透させる。
その間に右足も同様の手順で。
さて、仕上げましょう。
コロニル1909(無色)
まずはいつものクリーム投入。
あまり変化はなし。
よし、爪先だけ光らせよう。
サフィール・ビーズワックス(黒)
鏡面まではしない(できない)。
2度ほどぬりこんでみた。
うーむ、まあまあかな。このあと、右足も同様の手順で仕上げたらメンテ完了です。
どうだ!
【BEFORE】
【AFTER】
すっきりしました。紐の通し方もオーバーラップからパラレルに変更しました。サイズが小さい=羽根周りも小さいので、パラレルの方がすっきりするだろうとの考えなのですが、どうですかね。
【BEFORE】
【AFTER】
コバ周りはやはり大切ですね。ここが整っていると全体が引き締まる。まずまず、きれいになったのではないかな。
つい先日も書いたばかりですが、私の本格靴デビューは二十歳の時に買ったクラークスのUチップでした。トゥとモカの形がまさにこんな感じ。で、そんなこともあって思わず拾ってきた、という面もある。当時のペアはありませんが、似た形状の黒と茶を持ってます。
黒のUチップ2足で記念撮影してみた。
おおっ、いいですね。
こうして比べてみますと、今回の22.5センチの小ささ加減が際立ちます。で、サイズはこんなに小さいのに造りは本格派。素人考えでは、同じ製法で製作する場合サイズが小さいと難易度が上がるように思えるのですがどうなんでしょう。
で、メンズサイズの左のペアはアレンのWalton。たまたまですがこれも紐はパラレル。23.5センチなら娘と靴のペアルックが出来たのにな。ま、それはまた別の機会ということで。
最後にあらためて仕上がりの確認です。
シューツリーで甲も形も整いました。レディスサイズでも本格靴にはシューツリー、ですね。
トゥの傷もかなり目立たなくなりました。
グラマラスなヒールカップ。こんな風にバックシャンが素敵な靴はしっかりとした造りのいい靴が多いとの印象です。
印象どおり、
といってよいのではないかな。
こいつ、元値がいくらなのか知りませんが、いくら中古とはいえこんなのが500円だなんて値決めがおかしい気もしなくもないわけですが、どうやらこれがレディスサイズの中古靴の実態のようです。
そういえば「革靴女子」なる言葉を初めて聞いてから久しいわけですが、その後どうなのでしょうね? コロナ禍のせいでリモートもあったりで、あまり広がっていないような気がする。
そもそも、中古の衣類を身に着けることについて抵抗感を感じる女性の割合は男性のそれよりも多い印象ですが、ここ数年のユーズドブームあり若い人を中心にかなり浸透したように思えます。
ただし、それでも「靴の中古」に関しては他の衣類に比べてまだまだなのかな。よほど名の通ったブランドでない限り相当に安い。なので、メンズの中古靴の価格帯と比べて相当程度に安い。ひとえに需要がまだまだ少ないから、なのでしょうね。
そんな状況だから、
こんな今こそ中古の本格靴を安く手に入れる好機と思うのですが、まだ少し時間がかかりそう。今後、中古品がそこそこの値段で流通するようになれば、それはリセールバリューが上がるこということであり、ひいては新品購入のハードルが今よりも下がるということになる。そうつまり中古靴人気を高めることはひいては日本の経済を回すことにもつながる、かも笑。
そのためには、まずは履いてみてもらう、試してもらうことがその第一歩となるかもしれない。
なので、誰かに履いてもらおう。
誰か履きたい人います?
もしくは奥さんに履かせたい、とか。
このレディス靴はそんな方にプレゼントしたい。
条件が2つほどあります。
①自分もしくは2親等以内の家族用であること
②靴川柳(ごしちご)を添えて応募頂けること
以下備考です。
※インスタグラムのDMより応募ください
※ニックネームと誰が履く用かも記載ください
※応募時点では氏名と送り先住所は不要です
※応募はお一人2口(2句)までとします
※私が最優秀とする詠み手を当選者とします
※締切は1/31(金)、発送は2/中旬の予定です
※クロネコヤマト便で元払いで発送します
※発送先は日本国内に限ります
※シューツリーは付属しません
【1/24FRI17:00追記訂正】
◎「元払い」であります。記事アップ時に
✖「着払い」となってました。
誤記です。修正済です。
着払いのプレゼント企画なんて聞いたことないし。
あいすみません笑。
なお、当選か否かを問わず応募時の川柳は当ブログで公開させて頂きますのであらかじめご了承ください。ちなみに、靴川柳、私も色々詠んでます。参考までこんな感じ。
で、
思えば拙ブログ初めてのプレゼント企画であります。まあね、紳士靴がメインのブログなのにレディスサイズであり、さらに条件付きであり、そもそもが元値が高々550円の品ということで「プレゼント」というには大変心苦しいのですが、まあそれでもプレゼントはプレゼントです。
我こそはと思う方、instagram.com/freek2freek/よりご応募ください。お待ちしております。
たくさん応募があればうれしいな。
応募がない場合はメルカリに出品します。まあ、いずれの場合でも、早く次の持ち主のもとに届けられたら、靴も私も嬉しい限りです。
靴は履いてなんぼです。
(おしまい)