こんにちは、ばしです。
先月11月は急に冷え込んだりと季節が動いた。
そのせいか、リユースショップで「遺品整理」と思しき古靴を見かけることが多かったような気がします。同じブランドや同じ系統の同サイズの靴がまとまった数で一気に店頭に並んだ場合は、多分同じ持ち主のモノでご家族が持ち込んだ、のではないか。
まあ、遺品整理とは限らず生前整理でご本人が持ち込む場合もあるのでしょうが、気温差が大きくなる季節の変わり目に「旧い革靴」が並ぶ場合は前者のケースが多いのではないかと勝手に思ってます。
で、そうやってわざわざリユースショップに持ち込まれる靴は手入れの行き届いたペアが少なくない。そのような場面に頻繁に遭遇して感じますことは、「革靴」は他の衣料品と比べて持ち主の思い入れの強いアイテムなのだろうということ。
まあね、「仕立ての良いウールのコートやジャケット」なんてのも思い入れのあるモノなのかもしれませんが、買った後に自分でこまめに手入れしながら「育てていく」、そのようなアイテムは靴以外にはぱっと思い浮かばない。
時間の経過と伴に履き育つ靴は、その分、愛着もひとしおです。だとするならば、結果として手放さざるを得なくなったとはいえ、そんな気持ちも含めてきちんと引き継いでいくことが元の持ち主への供養にもなるのではないかと。あ、生前整理で御存命であればすみませんね、失敬失敬。けどまあ、思いは同じでしょう。
ただね、大変失礼で申し訳ないのですが、高齢の爺さんの靴って、高級で値段も高かったと思しきものでも、困ったことにそのまま履くには今の時代少々古臭いデザインになってしまってるものも少なくないんですよね。そんなやつが結構多い。で、そんなやつをどう料理するか。
今回はそんなお話。
MORESCHI モレスキー
タグにはしばしば見かけるロゴ。モレスキーです。ちょこちょこ聞く名前ですが、イタリア製ということ以外詳しいことはよく知りません。初見のシューメイカーです。調べてみました。要約しますと、
モレスキーはイタリア北部・ジェバノに本社を置くイタリア有数の革製品の高級ブランド。1946年創業以来、全工程を熟達した職人が手作りで生産するといったこだわりを持ち続けているらしい。生産量は1日あたり約1000足で、ヨーロッパを中心におよそ70ヶ国に輸出している。
とのこと。なるほど確かに、セカストやメルカリなどでちょこちょこ見かけます。今回のペアも、先月セカストで拾ってきたものです。
確かに、トゥと甲で異素材を使用した「高級イタ靴」といった趣です。ええ、確かにそうではあるのでしょうが、やはりこのまま履くには世代が少々、もとい、世代がかなり上の方向けのデザインのように思える。モノは確かなのでしょうけれども、このままでは履けない。多くの人がそう思ったのでしょう。
その結果、
なんと、税別250円となっちまった。
ただ、値付けに関係なく、上質そうなペアではある。かつ、この手の年配~お年寄りの方が履いていたと思しき靴に小さめサイズなモノが多い中、今回は幸いにも十分履けるサイズ感です。
ちなみに、
似たような雰囲気の旧い靴がほかに3足。これは全てBALLY。で、先日紹介した黒い布タグのMARIO VALENTINO も同じお店で同じサイズです。ミドル丈のヴァレンチノを除き、このBALLYの3足も今回のMORESCHIも、使用により履き口が大きく広くなった様も全く同じ雰囲気です。
こいつら、全員同じ持ち主のモノではないだろうか。で、写真のBALLY3足はどれも6~7千円の値札が付いてましたので、私は5足中の一番安い2足をゲットした、ということであります。
で、税別250円と、雑多な靴コーナーに並ぶ中でも最安値と思われるペアなわけですが、状態はさほど悪くはない。
履き口にも腰裏にもダメージはなし。そもそも布タグも擦り切れてませんので、滅茶苦茶履きこまれたわけでもなさそう。
ライナーはつま先までオールレザー。マッケイ製法のステッチが綺麗に並んでいます。
レザーソールはカラス仕上げ。ハーフラバーは後付けでしょうか。縫い目がないのでヒドゥン仕上げと思われます。確かにきちんと作られている。で、中央に「7」の数字。
こいつ、サイズはUK7のようです。
その割にはデカい。
デカ足の爺さんが履いて、履き口など伸びたのかもしれない。
ダメージもないし、ステッチも細やかで上質な雰囲気ではあるものの、このデザインがイマドキではない。どのように表現したらよい?
タッセルビットローファー?
ホースビット・タッセルスリッポン?
いや、名称に関わらずこのデザインのペアを履く勇気はまだ持てていない私であります。
ただ、ただね、
もしも装飾がないとしたらどうだろう?
名称からも物理的にも全部取っ払ってしまって、ただの「ウイングチップ・スリッポン」になれば、それであればそれなりにカッコよく履けたりしないだろうか。そう思って持ち帰って来たのでありました。
いざ!
当初の予定どおりリメイクです。
いつも通りまずは左足から。
左右の金具。
太い針金を楕円に変形してあるだけで、伸ばせば外れるのではないか?
ビンゴ!予想通り外れました!
取っ払った。それで良かったのかどうか、は別にして、別の靴になったみたい。
右足も取っ払う。
このままで良い?
針金で留めていた箇所。
ここに円柱はなくていい。いや、むしろ、
何かの名残を感じさせてしまう。
ない方がいいな。
切除しよう。
スパッ。
なんともかんとも。
せめて切り口を整えよう。
遠目だと分からないかな。
せめてもと角を丸く削ったけど、それ以前の問題としてこのデザイン、不自然といえばそうかもね。けれども、元からこうと言えばそんな感じもしないでもなかったりして。ええ、そうなんです、こんなデザインなのです。ま、そういうことにしとこう。
さて、いつもの手順に戻ります。
LEXOL
汚れ落とし。
汚れもワックスもなし。
ただ、甲の柔らかでマットな質感に比べてトゥが光り過ぎていてチープに感じられる。
RenoMat リムーバー
ワックスか、ガラスレザーか。いずれにしても光加減を抑えたい。
だいぶ収まった。
もう、このままでいいかな?
【BEFORE】
【AFTER】
うん。
見た目にはいいのではないでしょうか。
ピカピカ光ってないけどこのままでもいいよな。
問題はサイズ感です。
左足、素足で余裕あり。
右足、厚手の靴下でちょうどな感じ。
普段の仕事用の靴下だと、大きすぎる、ということはないまでも薄手の中敷き入れるなどの微調整は必要そうです。中敷き入れる? いや、そのほかにも打ち手はある。
縮めよう。
(次回続編に続く)