こんにちは、ばしです。
このところ買い控えに取り組んでいる私。
「買い控えている私」ではない。「買い控えようと一所懸命取り組んでいる私」なので、「買い控えに取り組んでいる私」となる。で、結構頑張れているのではないかと自画自賛中です。
意識していることはふたつ。
(その1)迷ったら買わない
(その2)気に入ってもその場では買わない
一つ目について、
「そりゃぁ迷ったら買わんやろ」との声が聞こえてきそうです。ええ、まあ、そうおっしゃりたい気持ちは分からないでもない。ですが、その昔には「二千円以下は迷ったら持ち帰る」というマイルールを定めていた私です。それを思いますと隔世の感があります。相当な進歩といえるでしょう。
二つ目について、
「その場では買わない」というのは文字通り、買わずに一旦店を去る、ということです。後ろ髪を引かれることもありますがそこはじっと我慢の子です。で、何日か後に再度足を運んでみて、本当に欲しいのかどうか自問するようにしてます。
ただ、すでに売れてしまっていることも少なくない。おお、そんな時はちょっぴり残念なわけですが、それはすなわち私のモノを見る目が正しかったことの証左であり、そして何より、靴にとって大変目出度いことです。新たな持ち主に出会えて良かったねと、心の中で呟きつつ店を去る。
売れずにいた場合はどうか。やっぱり欲しい、残っててよかったとレジに向かうこともあれば、再度買わずに立ち去ることも。どちらかと言えば後者の方が多い。迷ってる場合は結論を無理には出さない。次にもう一度足を運んだ時には値段が下がってるかも、という期待を胸に店を去る。
2度3度とそんなことを繰り返してますと、そのうち熱が冷めてくる。4度目の訪問時に売れてしまっていても悔しくはない。しっかり見極めてフォアボールを得た気分。なんだけど、たまに4度目で拾ってくることもある。
すみません、前置きが長くなりました。今回は4度目で拾ってきたレディス靴です。
こいつ。
R.U.(アールユーシューズ)
なぜ4度目まで引っ張ったかと申しますと、このところ娘にと拾ってきた靴はことごとくNGを食らっているから。スタイルが好みで無かったり、気に入ったモノはサイズが合わなかったり。今回はそんなレディス靴であり、かつ、そんな風に過去に一度空振りを食らってるシューメイカーのペアでもあり、なかなか決心できなかった。
ソックシートに手書き文字で「R.U.」とあります。2000年に神戸で始まったハンドメイドのレザーシューズブランド、それが「R.U.」。
1足目はこんなのでした。
茶色の綺麗なPTB。
こいつ、新品で税込み5万円ほど。
けっこうな高級品です。
雨でも大丈夫なようにとわざわざBONTAさんでハーフラバーまで施した上で娘にプレゼントしたのですが、数度履いただけ、気にってもらえず。理由は様々ですが、外羽根のこいつは中敷き入れても少しサイズが緩かったようです。
ところで、
1足目の茶のソックシートのロゴは東欧靴ライクなエンブレムでした。これはこれで大変カッコよかった。
ピントあってませんが、今回は手書き文字。先ほどのエンブレムも素敵でしたが、こちらもなんだか素敵です。エンツォボナフェなどのクラシコイタリアっぽい。
内側に縫い目が。マッケイです。レディス靴はサイズが小さいからでしょうか、マッケイ製法の靴が多いように思えます。履き慣らすまで時間のかかる堅くて頑丈なグッドイヤー製法は、一般的に男性よりも体重の軽い女性向けではないのかもしれない。
サイズは前回同様に「37」。
なんだけど、今回は内羽根だし色も黒だし、イケなくもないのではないか。何より、万一駄目でもまた転がせばよい。このブランドのペアは中古でも結構いい値で流通してます。1足目は7200円で旅立ちました。その額でも相場よりは安いくらいです。今回のこいつは税別500円で拾ってきましたので、まあ、間違いなく利益は出るでしょう。なぜなら、素晴らしい造りのペアだから。
なんだけれども、
薄汚れてしまってます。
ツリーなんて入れてもらったことない感じでヘタってるし、爪先にもキズが。薄いレザーソールのコバもみすぼらしいです。加えて、手書きの文字は読みづらくてどこの何者か分かりづらい。そんなだから500円なんて値札をつけられちゃうんでしょうね。
よし、氏素性の良さに見合った状態に整えよう。
儀式です。
メンテです。
いつも通りまずは左足から。
LEXOL
いつものステインリムーバーは割愛です。ワックス塗られたレディス靴に出会ったことがないから。それに、
黒のようで黒ではない。所謂「茶芯」に似た雰囲気のアッパーです。ワックスは間違いなく入ってない、と思ったらその通りでした。
デリケートクリームもどき
いつものヒト用クリームで保湿。
靴紐が革紐です。で、端が結んであります。抜いたら通しづらそうなんで、今回は抜かずにそのままの状態でメンテです。
リッチモイスチャー
もちもちになるやつ投入。
ナチュラルな風合いが素敵です。
革も柔らかで心地よさそう。
いつもならこの後TAPIR レダーオイルで油分補給なわけですが、ビン靴ではないし、アッパーの風合いもあまり変えたくないので、今回はオイルは入れないでおきます。
ソール周りのケア
仕上げの前にソールケア。レザーソールリキッド投入。アンメルツヨコヨコみたいな容器がチャームポイントです。最近はコロニルのソールトニックより廉価なこいつです。
次いで、モゥブレイ。トラディショナルワックス(ニュートラル)をしっかり塗り込んで、ブラシで擦って押し込む。適切なメンテ方法か否かは分かりませんが、レザーソールは光ってる方が好みなんでこのやり方で。
さて、仕上げましょう。
コロニル1909(ニュートラル)
仕上げはいつもの無色のクリームで。
スレ傷が目立っていたのですが、色を入れなくとも目立たなくなってくれました。荒れていたコバ周りは濃茶のインクも投入しました。すっきりしました。この後、右も同様の手順で仕上げてメンテ完了です。
【BEFORE】
【AFTER】
シューツリーの所為もあり、見違えました。
【BEFORE】
【AFTER】
やはり革靴はコバ周りが命、ですね。
革紐はおそらくアッパーと同じ材質と思われます。ナチュラルな風合いを損なわない、大変素晴らしいアイデアと意匠ではないかな。メンズでもこんなのあったら嬉しいのにな。
小さいけどグラマラスなお尻。外側に傾いてます。踝が当たることはない。合わせ目の両サイドにもステッチが施されていて、大変丁寧な造りかと思います。
内羽根ということもあり、細身ですっきりした印象です。
なんだけど、トゥはしっかりぽってりしていてキュートです。色目も絶妙に素晴らしい。スーツからデニムまで、どんなスタイルにもマッチしそう。思えば、1足目を拾ってきた2年前、娘はまだ学生でした。社会人になった今であれば、彼女の靴へのニーズも活躍の場も広がっているはず。気に入ってくれるのではないか。
メンテを終えた日曜の午後。
外出中の娘の部屋に忍び込むの図。
だ、だって、ドア開けっぱなしだったし。
よし、仕掛けは上々。
あとは娘からの連絡を待つのみ。
今回の首尾や、如何に。
☆
★
☆
その夜のこと。
娘から嬉しい知らせが。
今回は「(サイズ)いけそう。履く。」とのこと。
おお!やったね。グッジョブ、俺!
ただ、
シングルに通された革紐がかなり緩めづらいみたい。確かに、普通の靴紐より太いん分だけ滑りが悪いんですよね。よし、一旦抜いてパラレルに通し直そう。シングルよりはやりやすくなるだろう。
気になっていたサイズ感も1足目よりもいい感じにタイトらしい。やはり内羽根と外羽根ではサイズ感も変わるんですね。やはり見立ては正しかったみたい。なんにしても、ようござんした。
めでたし、めでたし。
(おしまい)
こんにちは!
靴紐もレザーで、しかもステッチがあると言う事は、縫われているんですね。
何と手が掛かっているシューズ!!!
ばしさんの努力、報われましたね!
深い〜話、ご馳走様でした!
としさん
こんにちは、そうなんです、縫われてるんです。
手間暇かかってますが、このペアでその選択をされたことが素晴らしいというか、作り手さんの心意気を感じます。
日本の靴メイカーさんも頑張ってますよね。ほんと、これでまたNG食らったら辛いところでしたが、報われて良かった笑。
またまた、いい靴ですね!かわいい!
そして、ばしさんの字もかわいいw
娘さんに遠慮がちなメモもかわいいww
ばたさん
娘とはシビアなものです笑。
あと、60歳越えたら習字を始める予定です。
習字と弓道。それまでにビン靴を極めねばなりません笑。