こんにちは、ばしです。
今回は「前編」からの続きです。
汚れを落として、内側にグリセリン水をたっぷりスプレーしたところまでが前回、先々週土曜日のこと。翌日曜日、朝から続きの作業です。
翌朝の状態。
内側、ほとんど乾きました。
若干は柔らかくなったような。
で、写真右端の親指のあたり、履き口にキレが1か所あります。これがあったのでがっつり保湿したのでした。とはいえ、このままだと傷口が広がる恐れはなくはないのですが、手当てするほどでもなく、当面このままで。
で、
前日のメンテ、特に、「除光液」のお陰で相当によごれは落ちてスッキリしてます。ですが、傷があまりにも目立つな。
さて、どうしましょう。
汚れはすっきり落ちましたので「傷は気にせずこのまま履く」という選択肢もなくはない・・・、いや、ないな、やはり。デニムやワークブーツなんかは多少ぼろくても良いかもしれないけど、「革靴」「紳士靴」でそれは、ね。
足元見られて、ただの汚いやつになっちゃいます。服装がオシャレでいけてても台無しです。ましてや、アラフィフの私の足元がそんなでは見窄らしいことこの上ない。ということで、
こいつの出番です。
アクリル絵の具ぅ~(ドラえもん風で)
そう、たびたび登場する百均の絵具です。白を白くするには物理的に白を足すのが最も近道です。
ただ、アッパーは真っ白ではない。
オフホワイト?クリーム色?アイボリー?まあ、白に若干の色がプラスされたようなナチュラルな色目です。とりあえずグレーっぽければそれなりになるのではないか。
ということで、
色目のチェンジには靴クリームを使用するのが私流です。ていうか、ちょびっとしか使わないでの都度色んな絵具を買うのはもったいないので。傷部分は顔料が剥がれて革の地が覗いてます。この部分に色を入れて、全体として目立たなくなればそれでよし、というのが今回のゴールです。
なので、傷をパテで埋めてなだらかにしたり、といったことはやりません。二千円でお釣りなやつですし、そこまで手間とコストはかけたくない。
てなわけで、
案ずるより産むが安し。
とりあえず、やってみましょう。
カラになったヒト用クリームの容器をパレット代わりに、使い古しの歯ブラシを筆代わりにやってみました。
白い絵具に黒いコロニルを足してグレーを作る。
うーむ、色目違うけど、
やっちゃえ。
傷に塗り込む。
傷以外に絵の具がついても気にしない。
拭き取ればよい。
おお、色味は若干異なりますが、目立たなくはなりそうです。
引っ搔いたような傷にも。
歯ブラシで傷の奥に押し込むように塗る。
拭きとったらこんな感じ。
しかし、あれですね。アイボリーのアッパー、結構艶やかですね。前日に除光液であれほど強くこすったのに、多少艶感が減じた程度です。塗ったり、拭き取ったり、あれこれ手荒く扱ってもダメージは心配なさそうです。
ただ、グレーはあまりイケてないな。
黄色味が欲しい。
ということで、ミディアムブランを足して塗り込んでみた。
お、さっきより浮いた感じはないな。
踵のキズにも塗り込む。
おお、いいね。
先ほどのグレーと比較してかなりアッパーの色目に馴染んでます。で、注意点としましては、傷以外の箇所についた絵具は、乾いてしまったら布では落ちないです。その際はステインリムーバーで落とす。顔料のある面は落ち、顔料の剥がれた地が剥き出しの部分は絵の具がより浸み込んで落ちづらいです。
そんな感じで、左右ともに、傷の目立つ部分&そうでない部分ともに、全体的に塗って&拭いてを繰り返すこと約5分。
おお、遠目には傷は気にならなくなりました。
塗り切れてない部分もあるけど、まあ、ご愛敬。
廃車寸前のがなんとか下取りはしてもらえる程度には蘇りました。色目での誤魔化しはここまで。最後に、光らせることで傷をより目立たなくすることを目的にワックスを塗り込み、メンテ完了です。
ビフォーアフターで確認です。
【BEFORE】
【AFTER】
整いました。
【BEFORE】
【AFTER】
うん、悪くない。
【BEFORE】
【AFTER】
サドルの境目にも黒を入れました。
紐も石鹸できれい洗ってスッキリです。
右足かかと内側に塗り残し発見。まあ、そんなこともあります。この部分はどうせ色落ちしやすいし、とりあえずこのままで。
まあそもそも、誰も他人の右踵内側の擦れによるダメージの程度なんて確認しないし見てないし。まずは目につく部分が白は白くて黒が黒ければ、きちんと整った足元になるはず。
履いて確認です。
おお、光って傷がほとんど分からんです。
遠目なら尚更。まるで新品みたい!!
まあ、それは言い過ぎとしても、
それなりに見れるようにはなったな。
よし。
グッジョブ、俺。
蘇りました。
死んでた訳ではないけれど。
いずれにせよ、気持ちいいですね。汚いのをキレイにするのって、気持ちいい。服でも靴でも、毎日のように身に着けていると、なかなか見た目の状態の変化に気づけないものです。靴やコートやマフラーなど、思いのほか汚れてたりします。自分ではそんな自覚はないのだけれど、周囲から見れば褒められたものではない、なんて風になりがちです。
で、自分で使い込んだものではないからこそ、ぼろさ加減、汚さ加減が客観的に判る。まあ、別にぼろくても別に構わないと思うんですよね。チャールズパッチではないですが、リペア痕があっても別に構わない。痘痕もえくぼです。けれども、汚いのはダメです。ピカピカに光ってなくとも、汚れは都度落とす。小綺麗な方がよい。
重要なことは「きちんと手入れがなされている」ということかと思います。履きこまれて古びた靴でも、いや、そんな履きこんだ靴だからこそ、きちんと手入れされてさえいれば「愛着があるんだな」「大切にしているんだな」「誠実な人そうだな」などと、周囲の人は勝手に思うものです。
僕が履きこんだわけではないんですけどね。
(おしまい)
(参考記事)アクリル絵の具でのメンテ記録
「ビルケンシュトック・ケント」
「白いロングウイングのメンテナンス」
「オイルヒーターで革靴を縮めてみた」
ばしさん
お疲れ様です。このサドルシューズ、独特なのですぐREGALとわかるやつ、僕も欲しいです。
おっしゃる通り、キチンとメンテして蘇らせて履く、カッコいいと思います。若い人も真似して欲しいですね。←説教くさいと嫌われるのでほどほどにします。
ではでは失礼します。
しんのすけさん
パッと見でリーガル、若いころから一度履いてみたいと思ってたんですよね。オレンジっぽいのもゲットしてみたいかなと。
我々、説教臭くなる年齢ですかね。けどまあ、そんな親父も居ていいのではないか笑。ただ、最近は若い人の間でもビンテージがかなり流行ってるみたいですし、オッサンに言われるまでもない、ていう人も多そうな気がします。情報量の多さの違いなのでしょうか、我々の頃と違って最近の若者はかしこい人多いなあと。