MATSUBAのスエードスリッポン

こんにちは、ばしです。

 

日曜日に色々とメンテの予定、だったのですが、大阪八尾では夕方前から天気崩れてきまして、メンテ作業は外でやる派の私は相も変わらずなかなか作業が進まない今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

先月買った靴のうちの2足、チャーチとルーディックライターはメンテがまだです。だけでなく、6月の自分への誕プレのアレンもまだ弄れてない。ほかにも、2月に拾ってきたオフホワイトのワークブーツと、未メンテ・未紹介なのがありまして、そのうちの1~2足をメンテの予定だったのですが、順延です。

(参考「ゆくくる修理」記事一覧

おお、困った、ブログのネタがない。いや、ネタはあるけど記事が書けない。なもんで、順番前後しますが、今回は9月に拾ってきた1足目、ほぼメンテの要らないやつをご紹介です。

こいつ。

 

 

MATSUBA マツバ

「マツバ」の靴です。

「HAND MADE BY ARTISAN」。ARTISANとは職人のことですね。日本の職人の手による1足のようです。近所のセカストで拾ってきました。持ち帰ってきた理由は、

千円でお釣りと安かったから。
ま、それが誘因ではありましたがそれだけではなくて、

相当に個性的かつ繊細なペアです。
かつ、ベリーミントコンディションです。
特に、このアッパー。

スエードかと思うのですが、こんな肌理の細かなスエード、初めて見ました。一瞬、不織布などの人工のモノかと思ったくらい、細かくて均一でダメージ等も一切ない。

ステッチも細やかで正確です。まさに職人の技かと。

ソールの状態も良好そうです。
数度履き程度ではないかな。

カラス仕上げ。

サイズ表記は「5と1/2」。
US5.5インチ?UK? 25.5センチ? 
サイズ表記はこの1か所のみで、内側にも他にも文字の類はなし。レディメイド?誂え?よく分かりません。

トップリフトは「HYZEX」です。

なあんて、知ったかぶりはやめましょう。あまり見たことないです。いつ頃まで作られていたものでしょう。調べてみたところ、すでに廃盤になっているモノのようなのですが、今もストック分をラインナップしている修理屋さんもあるようで、製造年代判定の手掛かりにはないそうにない。

お尻は大変グラマラスです。

釣りこんだ穴がありますが極めて小さい。
ほとんど分からないくらいです。

内側。

底に縫い目が見えます。
マッケイ製法のようです。
オールレザーライナー。
甲の部分の赤いのはゴムです。

センターエラスティック。
なんだけれど、とても手の込んだ仕様に思えるのですが、どうなんでしょうね。

手入れするほどではないのですが、
ホコリがちらちらついてます。
儀式です!
いつも通りまずは左足から。

 

粘着シート

コロコロするやつです。

コロコロしてみました。

綺麗になったかと思いきや、

茶色の粉が。
で、粉が大変細かいです。これは革?なのかな?
どうなんでしょうね、そうなんでしょうね。

とりあえず左右ともに綺麗になりました。
いやあ、しかし、あれですね。

タイガース、優勝しましたね。
いや、その話ではなく、この顔の個性的なことよ。
なんて呼べばいいのでしょう?

ムーミンがサングラスかけてるみたい。
ムーミンはこんな茶色くないって?
日焼けしたんでしょ、きっと。
もしくは日焼けしたウルトラセブンか。

ところで、

「MATSUBA」って初めて聞く名前です。
調べてみてもよくわからなったのですが、仲間の靴ブロガーのしんのすけさんより情報頂きました。日本における伝説的靴職人である「関信義」氏がマツバに在籍していたことがあるらしい。曰く、

 

竹川圭 著 『至高の靴職人 : 関信義』などによると、渡り職人だった関さんは、以下のような流れで、メーカーの仕事を手掛けていた模様。
・三和製靴→ミツワ製靴→城南製靴→マツバ→三田製靴→関製靴(開業)→その後はオークニジャパン、三越、エトスクラブ、などなど→最後は、靴のハシモトさんがメインだった模様……。 

しんのすけさんのブログ記事より引用させていただきました。

天才と評された関氏(1937~2020年)は、ほかにも三陽山長前身の山長印靴本舗のオーダーメイドの製作を依頼されていたらしい。・・・と聞いても、すみません、凄いことは分かっても日本メイカーのことは不勉強すぎて、なかなかピンとこない私ですが、まあ、凄いことだけは分かります。

 

そんな関氏が在籍していた「マツバ」。

それって、今もあるのですか?正式名称は何?いろいろと調べておりましたところ、追加情報ゲットいたしました。

「マツバ」とは、

「マツバ製靴」が正式名称なのだそうです。ブログ「日本古靴資料館」のAUTHORであるjapan_shoes_1870さんのインスタよりスクショ拝借いたしました。写真はマツバの靴だそうで、曰く、

マツバ製靴については、マッケイ製法の高級紳士靴を製造していたという事と伝説の靴職人、関信義さんの一番弟子の津久井玲子さんが1997年から2003年の独立まで在籍していたメーカーという事しか現在分かりません。

 

とのこと。

おお、関氏の名前が出てきた。で、その一番弟子である津久井玲子さんが在籍されていたとのこと。津久井さんはといいますと、こんなご経歴の方なのだそう。

 

津久井 玲子 Reiko Tsukui

文化服装学院スタイリスト科卒業後、 職人の手仕事に興味を持つ。
靴職人の道を志す中、 関信義氏と出会い弟子入りをする。

1993年 関信義氏に師事。靴作りの基礎を学ぶ
1995年 三田製靴に底付け師として働く
1997年 マツバ製靴に底付け師として働く
2003年 独立 墨田区に仕事場を構えOEM生産、修理靴を手掛ける
2006年 伊勢丹新宿店での催事がきっかけとなり自身のブランド
    【 REIKO TSUKUI 】をスタート
    ハンドソーンウェルテッド製法での既製品を展開
2010年 自身のブランドを【 LECOTT 】としビスポークシューズ、
    パターンオーダーをスタート
2013年 台東区へ仕事場を移転

 

LECOTTさんのホームページより引用させていただきました。台東区、ということは浅草でしょうかね。やはり今の日本の靴のメッカは浅草なんですね。ところで、マツバ製靴さんは今どうされてるのでしょうね。調べてもヒットしなくて。津久井さんは独立前の2003年まではマツバ製靴に在籍とのことですし、その時点ではまだ存在していたことは確実です。

ソールが立体的でとても美しい。

内側の縫い目を見るまではセメント製法かと思っていたのですが、マツバはマッケイが素晴らしいらしいですから、こいつもマッケイ製法で間違いはないのでしょう。ですが、底に縫い目がないんですよね。

ひょっとしてこれでヒドゥンチャネルとかなのでしょうか。ソールは5ミリくらいと大変薄いです。この薄さもあってセメントかと思ってたのですが、こんな薄くてもヒデゥン仕上げは可能なのでしょうか。おお、もしそうだとしたら神業ですね。

 

こいつ、津久井さんが底付けしたものかも。いや、実は関氏の手によるモノ、だったりして。せめておおよその製造年代だけでもわかれば嬉しいのですが、今のところ手掛かりはなしです。

遠くを眺めるムーミン。

当初凄い違和感を感じたスタイルも、今ではすっかり見慣れてきました。クセのあるやつは大好きです。履いてやりたいところですが、残念ながら私には素足でも少し窮屈なんですよね。サクッと愛でてサクッと転がすつもりだったのですが、年代不明のこいつはひょっとしたら凄い靴なのかもしれない。ということで、売りません、ステイです。

 

相変わらずそんなのばっかり。

 

(おしまい)

 

 

ファッション(古着)ランキング

2件のコメント

  1.   ばしさん

    お疲れ様です。マツバのローファー、とても優雅だと思います。革も通常の牛ではなさそうな。高級ラインですよね。

    関さんの情報は、津久井さんとか橋本さんに直接うかがえば良いのかもしれませんが、勇気出ないですよねー笑。木型から、作ってもらう予算もありませんし。

    だんだん歴史から失われていってると思いますし、ばしさんの記事とても貴重だと思います。ではでは失礼します。

    1. しんのすけさん
      お疲れ様です。米国ビン靴とは異なり、日本の昔の高級靴は、シューメイカーではなく職人さんに紐づく。
      となりますと、時間の経過とともに記録や記憶が薄れ失われてしまう運命なのかもしれないですね。
      私は靴ばかり漁ってますが、他のカテゴリーの品でも同様なものがあるのかもしれない。しかし、
      そのような記録にとどめるべき品が近所のリサイクルショップで手に入る、というのもまた日本らしい。
      モノを大切にする、MOTTAINAI精神ゆえのことなのでしょうね。ともあれ、MATSUBAのペアはほんとに
      クオリティ高いです。ジャパンビンテージ、蒐集にもう少し意欲的にならないといけないですね。
      安いし、私向きです(笑)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です