こんにちは、ばしです。
これまでも何度かご紹介しております通り、
若い頃の私にとって、本格靴とは英国靴のことなのでした。革靴に興味を持ち始めた二十歳の頃、憧れの靴は雑誌BRUTUSで見知った「ポールセンスコーン」。四半世紀ほど経って手に入れたときの嬉しさは格別でした。
(過去記事「僕の革靴人生の始まり」)
そんな私がビンテージ靴に出会ったのが10年近く前のこと。以降、アレンやフローシャイムなどの米国靴はもちろん、カナダにドイツにそれ以外と様々なビンテージを楽しませてもらっておりますが、そんな中で特に嵌ったスタイルが「Uウイング」。
ウイングチップの「W」の切り返しが「U」に変わっただけなのですが、いやあ、これがまた似て非なるものです。その独特な趣はしばしば「ウォーズマン」と呼ばれることの多いUウイングですが、流通量はそれほど多くはない。むしろ、希少な部類のデザインといってよいかと思います。
そんな風に、「ポールセンスコーン」に憧れ、「Uウイング」に嵌った私が、こんなやつに出会ってしまいました。おお、これは見逃せない、やり過ごせるはずがありません。今回は先月10月に買った3足目。
こいつ。
U-Wing Tip by Poulsen Skone
「ポールセンスコーン」✕「Uウイング」です。そのまんま、です。かなりレアだと思われます。他の人に取られては一大事と反射的にぽちっといかせて頂きました。
英国靴らしい佇まいです。
内側には手書き文字。
「8598」は品番でしょうか。サイズは「7 1/2D」。UK7.5です。ラストは「248」。そう、こいつ、クロケット製です。クロケット製のポールセンスコーンは1足持ってます。
こいつ。
マイファースト・ポールセンスコーン。
冒頭の「嬉しさ格別」だったやつです。
こいつも内側に手書き文字。サイズは同じくUK7.5。ラストは「160」。ソックシートのロゴも異なります。
向かって右、今回の「PS」のロゴは、BEAMSさん別注の1990年前後のもののようです。向かって左、「J.GANE OF EATON」のロゴはかなり旧くて、1960sとなります。
ちなみに、流通している中古のポールセンスコーンのペアの中で、一番多いのは下のこのタイプのロゴではないかな。
1972年に「NEW&LINGWOOD」に買収された以降のものです。ロゴも両社のダブルネーム。ロゴは手書きではないですが、これもクロケット製です。こいつ、すでに転がしたペア(過去記事)のものですが、冒頭で触れた雑誌「BRUTUS(1989年11月号)」の表紙ペアもこのロゴです。
英国の老舗のシューメイカーやファクトリーは今も昔も英国内製造がほとんどです。米国のそれのように、新しいものほど海外製造となり品質も・・・、ということは少ないのがありがたい。
まあね、よくよく比べて見れば、アッパーの革の品質などは良くも悪くも時の経過とともに変化しているのかもしれませんが、これまでのところ不具合や劣化を感じたことははありませんし、そこまでの目利きでもない私です。
今回に関しても、クオリティ的には何も問題はなしです。で、今回はそんなことより何より、「Uウイング」であることが最大の売りです。あ、いや、売りはしませんが笑。
ソールにもサイズ表記。「7 1/2」の「4」=「D」。マイサイズなUウイングなポールセンスコーンは当然自分用です。手放すことは99.9999%ないやつです。
ウエルカム!
ポールセンスコーン✕Uウイング!!
儀式です。いつも通りまずは左から。
ステインリムーバー
ワックス、まあそれなり。
LEXOL
だいぶ落ちましたでしょうか。
デリケートクリームもどき
もどきでなやつ、そろそろ買わねば。
リッチモイスチャー
お、いい感じ。
TAPIR レダーオイル
油分補給&保革。
さて、オイル入れましたので15分ほど浸透させましょう。いつもならその間にソール周りのケアなのですが、
今回のやつ、アッパーの状態に反しまして、ソールは結構傷んでます。というか、思ったよりも履きこまれている模様。元々はヒドゥンチャネルなのですが出し縫い糸が革を覗かせているうえに、
シングルソールは少しばかり薄くなってます。指で押すと凹みます。凹む程度に薄くなってます。このまま履くのは少々つらいかも。まあね、この手のことは想定内です。
こいつ、シューツリーつきで靴袋つきで13千円ほどでした。あ、靴袋の大きさが左右で違う笑。まあ、そんなこともありますわな。で、購入を決める前の時点で、ソールやヒールは場合によってはリペアが必要かな、なんて思っておりましたので、まあ、予想通りです。メンテしたらBONTAさんに持ち込む予定です。
あれこれリペアして、費用は5~6千円でしょうか。それを含めると2万円弱。決して安くはないけれど、高いとも言えない。U-WINGという希少性を加味すれば、まあ、妥当な価格かなと。
さて、そんなこんなで、仕上げましょう。
コロニル1909(ニュートラル)
お、いいのではないでしょうか。
右も同じ手順で仕上げてメンテ完了です。
【BEFORE】
【AFTER】
そもそも、きちんと手入れが行き届いたペアかと思います。前の持ち主からの引継ぎもスムーズな感じではないかと。
【BEFORE】
【AFTER】
うん、黒さも引き締まりました。
よろしいのではないでしょうか。
さて、サイズ確認、なのですが、足入れるの忘れました。で、そもそも、UK7.5はマイサイズです。多分いけるはず。
年代の異なるクロケット製ポールセンスコーン。どちらも7.5、ですので、全長はほぼ同じです。ウイズは茶が「E」で黒が「D」。確かに、黒の方がやや細身です。が、それほど極端ではない。茶がややゆとり感じる程度のサイズ感ですので、まあ、問題ないでしょう。
ポールセンスコーンのペアはこれで2足。で、
クロケット製の靴は3足になりました。
左が1960sのポールセンスコーン。
右はエドワードマイヤー。
どちらも茶色。
で、今回のペアは黒。
「クロ、ゲット」。
なんちゃって。
で、Uウイングもこれで3足になりました。
左がDack’s。カナダ靴です。
右はALDEN。コードバンです。
こうして比べますと、やはり今回のペアは英国らしさが漂ってますね。同じUウイングスタイルでもそれぞれ雰囲気が異なります。
ちなみに、もう1足。
チャーチのシャンガイ2を持ってましたが、転がしてしまいました。うーん、少し後悔。まあ、しょうがないです。
そんなこんなで、5足で記念撮影です。
おお、いいですね。大変グッドです。
12月のお手製カレンダーはこの写真にしよう。
メリークリスマス!
あ、まだちょっと早いね。ですが、
沢山たくさん素敵な靴と出会えて、
毎月がクリスマスみたいな私です。
こいつへのプレゼントは、
ハーフラバーとトップリフトにしよう。
(おしまい)