U-WING derby shoes by John McHale

こんにちは、ばしです。

 

先月カナダからデッドなやつが届きました。

箱付きで、それも2足。これまで何度もお世話になっているカナダのセラーが箱付きデッドを100足ほど一気に売りに出した。昨年11月に「箱付きデッドなカナダ靴が100足ほど一気に売りに出される件」で記事にした例の件です。あのとき、結局私は比較的値の張らないやつを2足購入したのですが、いやあ、これがまた、どちらもサイコーなのです。

「デッドをなかなか履き下ろせない病」の私ではありますが、今回の2足のうち1足は履き下ろす前提で購入しました。なもんで、どんなペアなのかすぐにでも紹介したいところなのですが、いかんせん、その前にやるべきことがひとつありまして。

実は、昨年10月末に1足、カナダからカナダ靴が届いていたのでした。これは先ほどとは別のセラーから購入したものなのですが、その後メンテもせず飾って眺めておりました。なんといいますか、食事の際に一番好きなおかずを最後まで残しておくような感覚。ですが、さすがにそろそろ食べ頃です。履き下ろすべく、週初めの月曜&火曜でようやくメンテいたしました。

お披露目。

 

 

 

U-WING derby shoes by JoHn McHale

カナダビン靴界の雄、マクヘイルのペアです。

今年1&2月のお手製オリジナルカレンダーの顔にしました。インスタにもアップしたのでご記憶ある方もおられるかも。

 

そんな今回のカナダ靴。

カナダ靴らしいガンボートスタイルのUウイング。一目惚れしてぽちったのが昨年の9月下旬のことですから、おおよそ4か月掛かりでいよいよ出番となります。

1909年カナダのオンタリオ州ロンドンで創業したマクヘイル。「ジョン」名義のものと「スコット」名義のものがあります。両方持ってますが、「ジョン」名義のモノの方が一般的のようです。私もスコット名義は1足だけ、ほか2足はジョン名義です(参考:マクヘイルの記事一覧)。

 

今回は私にとって4足目となるマクヘイルのペアです。

今回のUウイング。
実は大きな特徴があります。

お判りでしょうか。

切り返しがありません。このパーフォレーションとステッチ、なんとイミテーションなのです! 要はプレーントゥにこのような加工を施したもの、であります。時折この手のペアを見かけます。なかなか贅沢かつ手間のかかった造作です。

爪先から続くパーフォレーションは羽根の下を過ぎ履き口にさしかかる辺りで鋭角に曲がってソール方向へ。革靴って、ストレートチップの一文字を除いて曲線がほとんどかと思うのですが、そんな中で結構思い切ったデザインのように思えます。

踵周りはプレーンな感じ。
内側の印字がちらりと見えてます。
アップにしてみよう。

【E 71/2】

とあります。7.5E。マイサイズです。米国靴の表記は「サイズが先で次いでウイズ」との順ですが、カナダ靴はその逆、先にウイズでそのあとにサイズ表記となります。海外製と思しきビン靴の内側にこのスタイルの表記があれば、そのペアは十中八九カナダ製と思って間違いない。余談でした。

今回のこれと同じロゴ・仕様のソックシートのペアを1足持ってます。1970s前半の製造と思われるキャラバンコレクションなるWater Bisonのペアです。おそらく今回も同様に1970s前半製の可能性が高そうです。

 

 

半世紀前の革靴なわけですが、コンディションは極めて良好です。

ロゴが誇らしげなトップリフト。
削れは僅かです。

アウトソール全体はこんな感じ。

ビン靴のソールにしばしばみられる縞々。どんな目的のなんていう名称か知りませんが、どことなく誇らしげに見える。

内側はこんな感じ。つま先までレザーライナー。前の持ち主のフットプリントが見えますが、さほど強烈なわけでもないみたい。

さて、ディテールのご紹介は一旦このくらいにして、いよいよ弄っていきます。儀式です。いつも通りまずは左足から。

 

 

LEXOL

出し縫い糸付近の埃を掻き出す。

パーフォレーションもごしごし。
その後、全体をぬぐう。

色のついたワックスなど皆無でした。

 

 

デリケートクリームもどき

指で塗り込む。

ライナーにもたっぷりと。

しっかり保湿。

 

 

クリストフポーニー・レザークリーム

油分補給。

ギラギラしてきた。

右足も同じ手順でギラギラさせたてみた。

あれま。

右足をメンテしてる間に、先に施した左足の甲はすっかりしみ込んだみたい。

左右ともに二度塗り。

一度目は押し込むように、二度目は厚めに塗布しました。ここまでが月曜夜の作業です。24時間浸透させます。

 




 

翌火曜日夜。

だいぶ浸みたみたい。

ところどころ浮いたように見えるのが浸透しきらなかったクリームです。もうこれでお腹いっぱいでしょう。

 

さて、仕上げていきましょう。

余分なクリームをLEXOLで除去したら、

 

 

コロニル1909(無色)

たっぷり塗りこんでウエスで磨く。

うん、いい艶感です。最近はワックスも使うことが多いのですが、折角のビンテージです、このまま自然な風合いのままにしとこう。

ソールもしっかりと磨いて、
紐を通したらメンテ完了です。

 

どんっ。

おお、いい感じ。

 

【BEFORE】

【AFTER】

元から状態が良かったので劇的な変化はありませんが、まあ、整ったのではないか。

 

【BEFORE】

【AFTER】

しっとりと肌理が整いました。

バックシャン。

細身かつグラマラス。

ソールもピカピカ。

分厚いダブルソール。コバインク入れました。

カナダ靴らしいとてもがっちりしたつくりです。

右のトゥに傷がありますが、そんなことも物ともしない迫力。とてもとても私好みです。ああ、早く履きたい。4か月も放置してたのにね。

 

さっそく履いてみよう。

昨日履き下ろしてみた。

感想としては、大変グッドな履き心地です。底の形状に特徴があります。ちょうど土踏まずあたりに内側から外側まで均等の高さで小さな「かまぼこ」「枕」を敷いたような感じ。下からの突き上げがあり、しっかりとフィット&サポートしてくれて、靴の中で足は遊ばないけれどきつくもない。

見た目にもとても安定感と安心感のあるペアかと思います。ただ、残念なことも。そんな履き心地であることはもちろん、カナダ靴であることも、半世紀も前の品であることも、周りの人には気づこれることもなくて、ちと寂しいな。

けどまあ、趣味というものはそんなものでしょう。興味ない人にとってはどうでもよい。それにそもそも、だいたいいつもそう、だいたいいつもそんな靴ばかり履いてます。わかって欲しいなんて思ってないけど、わかる人が見ればわかる。わかってくれる。それでよい。

 

ただ、今回のこの顔は関心がない人でも興味持つかも。

久々のUウイングはとても個性的なやつです。
買ってよかった。

カナダ靴、サイコー!
Uウイング、サイコー!

もしあるならば黒も欲しいな。

(おしまい)

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