アンノウン・Uチップ

こんにちは、ばしです。

 

今回もアンノウンです。

思えば、社会人になって以降で「アンノウン」という言葉を久しぶりに聞いたのは、子供たちと一緒に観ていたポケモンの映画でした。確か、「?」とか「!」のマークのぺらっとしたやつ。ポケモンのは「アンノーン」、「-」と伸ばすらしい。もう、10年ちょっと前のことです。

最近自分でもよく使うことば、「アンノウン」。リサイクルショップなんかで、どこの何者かわからなくて、「アンノウン・ブランド」の品として扱われているやつです。そんな靴ばかりを漁っているわけではないのですが、最近ほんとよく出くわします。

ブランド不詳ですので、安いです。安い靴なので、雑多な靴コーナーに出現します。で、玉石混交なのですが、偶に「玉」に当たります。そんなやつはクオリティも結構よかったりするので、見かけたときは「?」「!」ってなります笑。

今回もそんなやつ。

こいつ。

 

 

スキンステッチ・Uチップ

いつものリユースショップで遭遇したSoGoodなこいつ。爪先はスキンステッチ。超絶職人技巧なステッチです。ぱっと見、エドワード・グリーンのDOVERみたい。持ってないけど。

ですが、ブランド名はおろか、サイズ表記もなく、そもそも文字の類が一切ない、真正「アンノウン」です。ソールにも、文字の類は全くもってなんにもなし。どこもかしこも、「のっぺり」「つるりん」としてます。

 

何者か?? よくわかりませんが、革質も良さそうな上に傷ひとつありません。ソールの仕立てを見ても、只者でないことは一目瞭然の税別3900円。足を入れてみたところ、なんと奇跡のジャストサイズ! もう、これは神様が私に用紙してくれたモノに違いない。

持ち帰って、早速メンテです。
いつも通り、まずは左から。

 

ステインリムーバー

まあまあ、ワックスついてました。

 

LEXOL

コバ部分を念入りに。

 

デリケートクリームもどき

100均のヒト用クリームです。

 

TAPIR LEDER PFRAGE

さらにマット調になりました。

 

コロニル1909

まあ、そんな古くない靴なので、差異は小さいですね。

くすみが減って少し明るくなったかな。

メンテがどう、というより、素晴らしい革質です。どんな種類の革なのでしょう? スムーズレザーかグレインレザーかエキゾチックか、くらいの判別しかできない私です笑。

右も同様の手順で仕上げ。
ビフォーアフター。

【BEFORE】

【AFTER】

露出がなんか変わったみたい。実際は写真ほど色目に変化はありません。
ただ、靴ひもは明るめの茶色に交換しました。

 

【BEFORE】

【AFTER】

うん、美しい。爪先にはスチールついてます。ラッキーです。嬉しいです。

分厚いソール。ハーフミッドソールです。前半分だけがダブルソールになってます。個人的には、シングルよりもダブルの方が好きなんで、これもまた嬉しいポイントです。

 

バックシャン。ドッグテール、犬のしっぽみたいなやつ。カッコいいですね。

スキンステッチ。Uチップのモカ縫いは「ライトアングルステッチ」とも呼ばれるらしい。検索すれば詳しい情報が出てきますので詳細はそちらで。ちなみに、大塚製靴公式オンラインショップに詳しいと思われる記事(こちら)を見つけましたのでご参考まで。

 

さてさて、手入れしてみて、いろいろ触ってみて、革質・造作・職人技、このペアが素晴らしいのはよくわかりました。残る問題は、こいつが何者か?ということです。

何者かわからないペアと出会った場合、そのリサーチ方法としましては、ネットで検索してヒントを探し紬ぎ繋いでいく、地道な作業となります。大体いつもは、靴の中や底にある文字を手掛かりにするのですが、今回は手掛かりとなりうる文字の類が皆無です。手掛かりとなる特徴は、

◎スキンステッチのUチップであること
◎ハーフミッドソールであること
◎ドッグテールであること

大きくは以上の3点です。ビンテージスチールは後付けかもしれませんし、トップリフトも交換されたものかもしれません。革の種類もよくわかりません。

ということで、まずやるべきことは、「スキンステッチ Uチップ」でひたすら画像と記事を検索です。出てきた同じような顔立ちのペアの中から、ハーフミッドなドックテールな同仕様のやつを探しだすだけです。だけです、なんて簡単にいっちゃってますが、なかなか見つかりません。

だめです。
同仕様のものがみつからない。
どうしよう。



近しいものは見つかります。
というか、本家・大元は、こいつです。

 

【EDWARD GREEN DOVER】

UチップといえばDOVER。
グリーンといえばDOVERです。
写真はトレーディングポストさんのサイトから拝借させていただきました。土踏まずから前部分がダブルソール=ハーフミッドソールなのもDOVERの代名詞でしょうか。

スキンステッチのUチップは、どれもみなこのペアのオマージュと言って間違いないでしょう。今回の私のペアもDOVERそっくりです。1点を除いて。

DOVERのお尻周り。名称を何と呼ぶのかわかりませんが、ドッグテールではありません。どうせなら全コピでも構わないと思うのですが、あえてそうしなかった訳があるのでしょうか?

だって、検索して出てくるDOVERライクなペアは、ヒールカップもDOVERと同仕様です。

 

【RAYMAR レイマー】

コスパ抜群と何かと話題のレイマーのスキンステッチUチップ。踵の仕様もDOVERライクです。ヤフオクのRAYMAR販売ページからスクショ拝借しました。いつも発売と同時にすぐに売り切れになるらしい。

 

【宮城興業 FUJIBANA】

宮城興業さんのFUJIBANA。WFGさんのインスタから写真拝借させて頂きました。2017年にいったんラインナップから消えたそうですが、再度との声が多かったらしく、現在は「Ⅱ」として復活しているらしい。で、左の踵内側の通り、このモデルもドッグテールではありません。うーん、これも違います。最後にもう1足。

 

【三陽山長・勘三郎/KANZABURO】

三陽山長のスキンステッチUチップ・勘三郎。同社のオンラインショップの写真をスクショさせて頂きました。これも素晴らしいペアですね。値段も一流です。で、見ての通り、このペアもドッグテールではありません。

 

日本メーカーの手によるスキンステッチのUチップ。以上3つが代表的なペアのようです。で、3足ともドッグテールではありません。いやはや、ヒールカップが有力な手掛かりのはずが、同仕様のものがない。どうしよう・・・。

なんて言ってる場合ではありません。こうなれば、スキンステッチのUチップ画像を片っ端からチェックしていくしかりません。ドッグテールのスキンステッチのUチップ。現物が1足あるわけですから、同じ仕様のものがきっとあるはず。

で、ネットサーフィンすること小一時間。
ありました。みつけました。

 

神奈川県藤沢市のコンフォートシューズ&オーダーシューズの【モードハヤマ】さんのブログに、今回のペアとほぼ同仕様のペアを見つけました。

青丸部分。見えづらいですが、ドッグテールです。ついに見つけました!
このペアは、「和創良靴 ES14 栄 Uチップダービー」とのこと。
そして、「和創良靴」とは、先ほどのFUJIBANAの「宮城興業」さんのカスタムメードラインなのだそうです。

あらかじめ準備された100通り以上のサンプルから自分の足に近いモデルを選び、それにさらに「のせ甲」と呼ばれる微調整を行うことによりベストフィッティングを目指す、というものだそう。製造は宮城興業さんですが、日本全国の提携店からオーダーできるというシステムだそう。

宮城興業さんホームページ

様々なオプションが用意されていて、ベースの仕様に付加することでオリジナルのペアをオーダーできるらしい。先ほどの上の写真はシングルソールっぽいですが、ハーフミッドソールもチョイスできるらしい。

で、そんなオプションもりもりでオーダーされたと思われる写真を発見しました。

存じ上げない方のインスタなので、一部マスキング。宮城興業さんの和創良靴で、オプションもりもりでオーダーされたもののようです。

「アノネイ社カーフ」に「スキンステッチ」。「スペードソール」というのはハーフミッドソールのことです。日本の誂え靴の世界では、古くからハーフミッドソールのことを「スペードソール」と呼ぶことがあるらしい。で、初めて聞きますが、「ウエルトダブル巻き」。「シングル」は出し縫い糸が踵の途中までで、「ダブル」は360度ぐるりと出し縫い糸が見える仕様のことだそうです(こちら(「Life in Technicolor」)の詳しい記事拝見しました)。

で、かかと部分、インスタにあえて明記はありませんが、見ての通り、ドッグテールです。内側のライナーが黒っぽいことを除けば、ほぼ同一の仕様です。

 

まあ、オーダーの品であることは当初から予想してましたのでさもありなん、といった感想です。が、オーダーの品、とはいえ、シューメイカーのロゴ入りのインソックくらいありそうなもんですが、今回のペアにはほんとに文字の類がありません。そういうオーダーなのでしょうか?

せっかくオーダーしたペアを手放すに至った経緯はわかりませんが、引き継いでしまったものはしょうがない。大切に履きましょう。早速履いてみましょう。

昨日履き下ろしました。

素晴らしいペアです。見た目の美しさや職人技はもちろんですが、なんてったって、奇跡のジャストマイサイズだったりします。歩き心地も申し分ありません。靴紐、先に挙げた写真とおんなじに、パラレルの方が良かったかな。まあ、そのうち通しなおそう。

で、今回調べてみた限りでは、宮城興業さんの手によるペアである可能性がかなり高そうです。ドーバー仕様のドッグテール、見つかったのはここだけです。まあ、100%とは言い切れません。もっと小さな工房みたいなところでオーダーしたものかもしれませんし。

このところ中古靴ばかりの私ですが、新品をオーダーしたいとの願望は結構あったりします。人生初のオーダーは、最近よくその名を目にする金沢のKOKONさんで、なんて思ってましたが、宮城興業さんもいいかも。今回のペアの色違い、黒にして、フィット感などの違いを体感してみたい。で、その際に、この靴を履いていこう。で、見てもらって、比べてみよう。作ったところなら、自社のものかどうかわかるかも。

まあ、そうだとしても、もう少し先のことになりそうです。
なぜって、軍資金が必要です。古靴転がして捻出しましょう。
よし、こいつも転がそう!

 

あ、いや、このペアは転がさない。

 

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