こんにちは、ばしです。
今回も6月に購入した靴の紹介です。
6月は2千円以下の靴しか買わない方針でしたが、オーバーしてしまった靴もあったりはするのですが、比較的大人しく過ごせました。2千円以下でも結構楽しめます。いろんな古靴が転がっていやがる。ただ、
必ずしもマイサイズではないことも多い。
自分には小さくて履けない靴を持ち帰るわけですが、その基準は何かというと、「転がせば儲かりそうか」「資料として貴重か」「眺めるだけでも持ち帰る値打ちがあるか」、といった感じです。
今回のはどうかというと、儲からなさそうですし、それほど貴重でもないかも。眺めるのは、まあ、ありといえばありかな。
なぜなら、
今回のは久々のデッドであります。
ユーズドの靴ばかり眺めては弄って、ですので、未使用なペアはとても新鮮です。で、それがビンテージだということなしです。
トゥには小さなスチール。旧い日本製の誂え靴の爪先でたまにお目にかかるやつです。削れは全くなし。何か文字らしいものが書いてあるようですが読めません。
トップリフトも当然未使用。
ダイイチコウギョウさんの「First」というブランドのトップリフトのようです。第一だからファースト。それを人は安直という。年代は不明ですが、釘穴ありのゴムヒール。フローシャイムなら1960sと見立てるところですが、こいつはそれほど旧くはなさそうです。
そんなやつが税別900円でしたので、これはとりあえず持ち帰ろう、となります。ですが、安かろう悪かろうではない。むしろよくできたペアです。今回はメンテはなし。ディテールなどご紹介です。
まずは全景。
茶の4穴PTBです。サービスシューズっぽくてカッコいいです。
ソックシートには金の刺繍でワシのマーク。「EAGLE」というブランドのようです。旧い日本製にありがちなデザインではある。
バックシャン。
ベリーベリーグラマラスなお尻です。お尻の形が美しい靴は総じて素晴らしい、と考えてまず間違いないです。
積み上げのヒールや爪先に白いのが浮いてます。乾燥の所為でしょうか。まあ、そのうち保湿・油分補給などしてやろうと思います。
次いで、サイドビュー。
土踏まずあたりが結構絞り込まれている風に見える。
かなりスパルタンな雰囲気がカッコいい。
で、レザーのライニングにも布タグが見えます。
マスダ靴店
電07442②0725
とのこと。個人経営の誂えの靴屋さんの手によるペアのようです。この手の日本製のペアを見ることが最近めっきり減ったように思える。そろそろ枯渇し始めてるのかもしれないな。まあ、そんなやつだから保護してきたわけですが。
市外局番が「07442」って、どこでしょうね?
近畿圏であることは間違いなさそう。調べてみたところ、「07442」は奈良県の橿原市や桜井市で使われていた番号のようです。平成9年6月に実施された電話番号の変更により今は「0744」となっているそうな。
つまりこのペア、奈良県にあったマスダ靴店さんで平成9年=1997年以前に製造されたモノのようです。このペア、宝塚方面のセカストで拾ってきたやつなんですよね。奈良の靴屋で誂えたものがどういう経緯で未使用のまま兵庫のリユースショップの棚に並んだのか。短編小説1本書ける程度のヒストリーがありそうです。
ちなみに「マスダ靴店」で検索しても同店はヒットしなかったのですが、橿原市に「増田下駄工房」という下駄屋さんが今もあるそうです。ひょっとしたら親戚とか、かもしれない。そうでないかもしれない。
戻りまして、マスダ靴店の靴の話。
サイズはかなり小さめ。24-24.5センチくらいでしょうか。
私には逆立ちしても履けません。まあ、出来ないわけですが、逆立ち。なもんで、このまま転がすつもりだったのですが、そのうち軽くメンテだけしておきましょう。見た目以上に乾いてて裂けたりしたら大変です。
靴の内側はといいますと、ライニングは爪先側もレザーです。鹿革っぽいな。で、ソックシートには縫い目が見えます。マッケイ製法です。
アウトソールに縫い目はありませんが、内側に縫い目が隠されているのが見て取れます。こいつ、マッケイのヒドゥン仕上げです。昔の日本製の誂え靴でよく見かける仕様です。
拙ブログでは米国ビン靴や日本のリーガルや廣川製靴などグッドイヤーの本格靴を獲りあげることが多いですが、マッケイ製法もかなりのシェアだったんでしょうね。
MADRASマドラスにMARELLIマレリーにMATSUBAマツバなど、マッケイの高級靴も日本には多い。で、気づいたのですが、マッケイ製法に長けた靴屋の名前がどれもマッケイの「マ」で始まる。こんな偶然があっていいのだろうか。ちなみに、今回のペアは「マスダ靴店」。またもや「マ」です。
ま、偶然でしょうね。
(おしまい)