五百円で買った中古の革靴を綺麗に整えて履いてみた件

こんにちは、ばしです。

 

今からちょうど1ヶ月ほど前。

クルマ通勤した仕事帰り。たまに覗くBOOKOFF SUPER BAZAAR 25号八尾永畑店にて。レディスの雑多な靴コーナーにメンズの靴が一足ぽつんと佇んでいた。

見かけるのは2度目の黒いウイングチップ。確か1月か2月に来たときは50%オフではなかったような記憶が。こりゃきっと売れないな、と思っていたらやはりこの有り様です。

見たところダメージはない。造りもしっかりしてるっぽいし、何よりまだまだ履けます。このままでは不憫。靴人生を全うさせてやろうと持ち帰ってきたのでした。今回の目的は、

五百円(厳密には税込み440円)のペアでも素敵なやつがあって今も立派に活躍するということを広く知らしめたい

というもので、①メンテして、②サイズ調整して履き下ろしてみた、というものです。まあ、ぶっちゃけいつもと何も変わらないわけですが笑、まずはどこの何者か、外観などさくっと確認です。

黒い内羽根のウイングチップ。ソックシートは黒で、グレーのライニングは猪豚系のレザーっぽいです。

7911 26

の白い文字。【7911】は何の意味でしょう。【79年11月製】という意味なら面白いな。あるいは【91年7月製】もしくは【91年1月製】とか。まあ、違うでしょうけど。モデルナンバーかシリアルナンバーでしょう。【26】はサイズ表記かと。センチ表示だから日本製だな。

Heraklres
== MADE IN JAPAN ==

とあります。やはり日本製です。「Herakles」というのがブランド名でしょう。ヘラクレスなんて靴ブランドは聞いたことないですが、雰囲気的には1980-90s頃のように思える。

グレーのライニングは爪先まで。中敷きにはフットプリント。縫い目は見えませんのでマッケイではない。製法はグッドイヤーかセメントのいずれかと思われる。

お尻。かっちりしているけれどグラマラスではない。さほど高級なものではないと思われます。けれども、

ソールはオールレザー。

サイズは26センチ。エンブレムの下に「TRADITIONAL」の文字。いかにもバブル期前後の日本製っぽいディテールです。

ソールの縁に縫い目がない。

細く切れ目が走っています。縦ドブのヒデゥン仕上げなのでしょうか?

コバには縫い目。目付も切ってあるようなのでおそらくグッドイヤーかと思うのですが、この手のぺアでたまに「なんちゃってグッドイヤーで実はセメント製法」なんてのがあるので紛らわしい。ですが、

踵はしっかりと積み上げられている。

ヒールには真鍮の釘が打たれている。

アウトソールはシングルですがとてもしっかりとしていて、叩くと「コンコン」と乾いた音がします。高級品ではないけれどグッドイヤーのしっかりした靴、なのではなかろうか。確証は持てませんが、その前提で作業を進めていこう。

今回は「初めて中古靴を購入する若者」の読者を想定して、いつもより説明を多く加えながら進めていきます。では、ひとつめのテーマ。メンテです。

 

いつも通りまずは左足から。

 

LEXOL

汚れ落とし。

コバ回りは歯ブラシにレクソルを垂らして細かなほこりをしっかりと搔き出す。最後にボロ布で拭って、最後に別のブラシでブラッシングすればキレイになります。ちなみに、シューキーパーは持ってなければ買った方が良いです。適度に力も入れやすいし、皺が伸びた状態で作業しやすい。新品でもせいぜい2~3千円で、3~40年も使えます。

 

RenoMat リムーバー

強力リムーバーで汚れ落とし。

黒いワックスやクリームは塗り込まれていませんでした。私はいつも汚れ落としに2工程ですが、そこらで売ってるクリーナーで1ステップでも良いかも。

ただし、「汚れ落とし」専用が良い。「艶や潤いも与える」モノもあるけれど、工程分けた方が良いかも。なぜって、その方が通っぽい笑。

 

デリケートクリームもどき

百均のヒト用クリームで保湿。空調の効いた店内で永らく過ごしてますので、それなりに乾燥してしまっている恐れがあります。乾燥した状態で使用すると、履き口が裂けたりするおそれがあるので、中古靴は履く前に保湿するのが望ましい。

内側のレザーライニングにもしっかりと。見える範囲は指で塗り込む。手の届かない奥はブラシで。クリームは必ずしも高級でなくとも構わない。安物のヒト用で代用可能です。

 

TAPIR レダーオイル

油分補給&頑固な汚れを追加で落とす。
ここでは後者がメインの目的となる。

乾燥には水分と油分です。水分はすぐに蒸発するけれど油分は乾くまで時間がかかる。潤いがより長期に持続する、ということかと思ってます。

 

マスタングペースト

あらためて油分補給、それも念入りにがっつりと。ぎとぎとになった。この後、右足も同じ手順でマスタングペーストまで。

右足(向かって左)もギトギトに。と、思ったら、

右足の作業時間約10分ほどの間に左足はこんなにも浸透しました。この後左右ともサイドのマスタングペーストで追いオイル。以前は百均の馬油クリーム(ヒト用)で代用していたときもあったな。近々、久しぶりに買ってみよう。

とりあえずこのまま放置して油分を浸透させよう。
ここまでGW前の4/26(日)の作業でした。

 





 

2週間後の5/10(日)。

すっかり浸透した。白いのは浸透しきらなかった余分オイルが固まったものです。

踵付近は浸透しなままです。屈曲部などダメージがちな箇所ほど早く浸透していきます。踵のこの部分は屈曲による消耗がないのでぎらついたままになりがちです。

さて、作業再開。

 

LEXOL

サイドのレクソル。余分なオイルクリームをしっかり除去します。細かな部分は歯ブラシで掻き出す。

こんな感じでガシガシやってみた。

すっきり。

 

コロニル1909(ムショク)

万能クリームで仕上げ。

指にとって塗り込んでボロ布でしっかりと磨く。これ一つあれば大丈夫なくらいの万能クリームですので買っといて損はないかと。

 

 

コバにヤスリがけ

コバ回りを整える。

サンドペーパーをかけて、スプーンを何度もこすりつけて滑らかに整える。

右足も同様の手順で進め、あらかじめ洗濯しておいた靴紐を通し直したらメンテナンス完了です。

 

【BEFORE】

【AFTER】

スッキリ艶やかになった。

 

【BEFORE】

【AFTER】

コバも綺麗に整いました。

アッパーが綺麗でもコバや出し縫いの縫い目が綺麗でないと折角の手入れも台無しです。「芸能人は歯が命」というCMが昔あったけど、革靴はコバ回りが命だと思う。

 

メンテはこれにて完了。

次は、サイズ調整です。

人差し指が余裕で入る。甲が相当に高いです。

日本人の足は「幅広甲高」などと言われますが、昔の靴は「甲高」なものが多いように感じています。「幅広」は、さほど多くはなく、また極端に広いものもさほど多くないような気がする。

それに比べて最近の「2E」とか「3E」は「甲高ではなく幅が広い(広過ぎる)」ものが少なくないと思うのですがどうなのでしょう。そもそも、そんなに幅広な人がどれくらいいるのだろう。いなくはないけれど、それをスタンダードにするほど多くはないように思うのですがどうなんでしょうね。

自分の足幅よりも広すぎる靴は履いているととても疲れます。中敷きで調整しようにも限度があります。その点、甲が高いのはまだ調整しやすい。外羽根の場合は靴紐を締めあげれば済むし、内羽根は中敷きで底上げすればよい。まあ、それも極端に高過ぎる場合はその限りではないのですが、そのようなモノはそもそもサイズが大き過ぎて自分向けではない、ということと思う。

ということで、2つめのテーマ。

 

 

サイズ調整

今回のように薄いシングルソールの中古靴はよほどジャストフィットしない限り履き心地は悪いです。ダブルソールと比べてシングルソールはそもそもクッション性も沈み込みの程度も少なくて硬い履き心地になります。

前の人の足型=フットプリントの凹凸がフィットしないと、違和感はあるし疲れるし、履く気も薄れる。その点、クッション性の中敷きを追加することで、そういった懸念が一掃されます。中古靴を買う場合は、中敷き追加を前提に最初からハーフサイズアップを狙う、というのもありかと思います。

中敷きは安いモノか高価なものまで様々ありますが、百均のが手っ取り早くて良い。右のように真っ平のものと左のように縁が巻き上がっているものの2タイプあります。どちらでも好みでと思いますが、個人的には左の巻き上がったタイプ「カップインソール」と呼ばれているものがフィット感が良くておススメです。私自身黒いタイプの中敷きを追加してサイズ調整を行うことが多いのですが、

今回はあえて真っ平らなやつにしてみた。
理由は、

元からついてるこいつを継続利用したいから。追加の中敷きに貼り合わせますので、ベースは平らな方が良い。

さて作業です。

厚紙で型紙をつくり、先程の百均の中敷きを同じサイズに切る。

今回は甲がかなり高いので、薄手のレザーの中敷きとの多重構造で厚みを出します。色はミドリをチョイス。理由は、家にあったストックの中でちょうどよい厚みのがこのミドリしかなかったから。

この3枚を張り合わせる。
と、その前に、

元の中敷きにアイロンがけ。

シャキッとしました。

元の中敷きの裏側、【917】の数字が。

おお、冒頭のライニングの印字と照らしますと、ひょっとしたら【91年7月製】なのかもしれない。まあ、年代としては当たらずも遠からず、といったところではないかな。

さて、早速貼っていきましょう。ボンドで貼ります。ボンドとあるけれどゴム糊系のやつです。百均の中敷きをサイズ調整してカットオフした残りの部分を刷毛(はけ)代わりにしてみた。思いのほか使いやすい。

3枚しっかり貼り合わせて、

INしてみる。

覗きこめば奥が緑色。見えないところにこそオシャレ魂が宿るのです。たぶん。

足を入れてみたところ、甲の高さはいい塩梅なのですが、爪先がややタイトな印象です。まあね、中敷きは履いてるうちに沈み込みますので、当初はタイトめくらいがちょうど良い。ただ、私の場合、靴の数が多いため出番は年に数度程度といつ沈み込むかワカラナイのですが、まあ、とりあえずこれで行ってみよう。

 

昨日履き下ろしてみました。

気になっていた爪先のサイズ感。歩いているとほとんど気になりませんでした。甲の高さは紐をめいっぱい締めてもまだほんの少し余裕がありますが、「緩い」というほどではない。

いつもの如くジャケパンスタイル。外羽根でも何ら問題ないわけですが、やはり内羽根の方がドレス感は上がりますね。ネクタイが古風なプリント柄の場合は特に内羽根がしっくりくるよな。

見た目は1980sのボストニアンぽいかな。

要は、「高級品ではない」雰囲気。なのですが、あれやこれや手を掛けますとそれなりのモノに見えてきますし、履く前から愛着も湧いてきます。高級品ではないわけですが、少なくともは当時でも安物の部類ではなかったのではない、そんな風に思われる。

1980s-90s頃のバブル期前後の日本製のプロダクツは、無名のモノでも一定以上の品質なことが多い。コストをかけてもモノが売れに売れてペイできた時代でもあり、しっかりとした品質のモノが多かった。

少し前からファッションでは「Y2K」なる言葉があるそうな。1990s後半から2000s初頭あたりのファッショントレンドのことを指すようで、巡り巡って最近また取り入れられたりしているようです。

やるほど、「ファッショントレンド」としてはそうなのでしょうが、その一昔前、1980後半から1990s前半のモノは品質面でさらに素晴らしいものが多いですよ。それもおそらく圧倒的に。

そして、革靴に関してはその傾向はより強いように思えます。加えて、本格靴には流行り廃りのトレンドはあっても、スタイルそのものには大きな変化はあまりない。

当時のおじさんおばさんはそのようなものを大切に扱って長持ちさせてきた。そして今、リユースショップの拡大とともにそのような靴が下駄箱の奥や倉庫から出てきて店頭に並んでいます。

おお、こりゃ逃す手はないな。そのように恩恵に与かって来た私としては、若い人の中で、そのような昔の革靴を楽しむような人が増えると良いなと思う。それはひいては新品靴の売れ行きにも好影響をもたらすことにも繋がるでしょうし、靴業界的にはそのように仕向けないといけない面もあるのではないかな。

 

さて、毎度のごとく長文になりましたが、そんなわけで、

こいつはまたマーケットに戻そう。

手入れは済んだし、サイズも表記通りになったし、新しい中敷きの所為で履き心地も多少は改善したと思いますので、近々セカストかトレファクにでも持ち込む予定です。誰か若い人に履いてもらえたら嬉しいな。

おお、これぞ正に古靴のキャッチアンドリリースです。儲けは無くて構わない。そもそもの購入額が440円ですのでタダでも知れてます。そんなことより、早く持ち込まねばなりません。

 

なぜなら、

同様に不憫なやつをキャッチしてしまいました。現在鋭意メンテ中です。こいつも整ったらリリースです。そう、次が控えているのです。

やることだらけの私なのであります。

 

(おしまい)

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