こんにちは、ばしです。
今回は、3連休の奈良巡りで拾ってきたペア。
メンテも完了、お披露目です。
こいつ。
FLORSHEIM 30725
さすが古都・奈良です。古いモノがあります。
(過去記事「古都・奈良を巡る」)
おじいさんの生前整理か遺品整理なのかな。などと想像していたのですが、違いました。調べてみましたら、過去に「ヤフオク!」に出品されていた品でした笑。
「UK8.5」「27.5センチ相当」とのことで売り出されてましたが、いやいや、そんなでかくないし。落札したもののサイズが合わずセカストへ持ち込まれた、といったような経緯と推察されます。ということは、「US8.5」「26.5センチ相当」と、正しいサイズで売り出され落札されていたら、再度市場に出回ることはなかった可能性もあります。
おお、ラッキーです。様々な要素が絡み合った結果、私の足元へと辿り着いてくれたようです。ま、そんなこと言ったら全部のペアがそうなんですけどね。
ただ、2年半振りの奈良巡りのタイミングを計ったように出会えたのは、確かにラッキーだったといえるでしょう。
品番は「30725」。アルファベット2文字は「EH」。19X7年5月製です。ソックシートの下のスポンジがU字型ではありませんので、1977年5月製か、と思ったのですが、
見えますでしょうか?
ちょうど「UNION MADE」の刻印があるあたりにシールの糊の跡が。
擦って剥がしてみましたところ、写真には写るか写らない程度に薄く、「UNION MADE」の文字が。
見えますか、ね? うっすらと「UNION MADE」文字。おかしいな、そうであるなら1960sだな。先ほどのU字スポンジと矛盾するな。
と思ったら、U字スポンジ=1960s、ではなく、1960年代半ばまで、なんですね。久々の古いフローシャイムなもんで、もろもろ記憶がいい加減になっております。
こいつは「1967年5月製」。私の2つ年上なビンテージでした。最近古いビンテージに遭遇しがちな私です。ラッキーです。なのですが、、、
ありゃりゃ、ヒールが丸ごと交換されてしまってます。ああ、誰だ、こんなことしたのは。まあ、しゃあないです。ハーフラバーも装着済みですし、気兼ねなく履けそうです。
それなりに古いので、パリッとしてません。綺麗にしよう。
ツリーを入れてブラッシングしました。これだけでも結構見られるようになったかな。仕上がりが今から楽しみです。いつも通りの手順ですすめましょう。
ステインリムーバー
ワックス等の類は、、、どうだったかな。忘れてしまった笑。
まあ、普通な感じ(←ナンヤソレ)
LEXOL
コバ周りを歯ブラシで掻き出しました。
アッパーは布にとって。
おお、なんかこれだけで結構素敵さ加減が戻りつつあるような。
グリセリン保湿
前回記事のNUNN BUSHとともにメンテしました。
ミイラ男たち。これにて週末の作業は終了。
土曜の西の空。前回に引き続き二度目の登場です。
同日夜。
結構吸いました。まあ、十分でしょう。シューツリー入れて乾燥です。
TAPIR レダーオイル
火曜日夜、ナンブッシュ同様に途中でオイル入れました。このまま再度、週末までやすみなさい。
☆★☆★☆
さて、先週末。続きです。
なんとなく革質が改善したように思えます。
あ、爪先、ハーフラバーが一部剥がれてます。あとで接着剤でつけましょう。
ブートブラックリッチモイスチャー
再度、保湿。
とりあえず左足にだけ入れてみました。大変いい感じです。
コロニル1909(ブラウン)
補色しました。
うん、色艶ともにいい感じです。
午前中は東向きの玄関に陽が差します。写真が撮り辛かったり、夏は暑いので、だいたいいつも午後からの作業なのですが、この日は朝から。
なので、いつもとは一味違う仕上がりです。
あ、写真が、ね。
とはいえ、改善の程度は予想以上でした。
思ってたよりも革質は良さそうです。
ラッキー♬
てなことで、右足も同様の手順で仕上げてメンテ完了です。
どんっ!
おお、素敵です。
【BEFORE】
【AFTER】
パリッとしました。
【BEFORE】
【AFTER】
美しい色艶です。水分補給、油分補給、補色。すべてがいい感じで効果を発揮してくれたっぽいです。
お尻。まずまずいい感じです。ビン靴のグラマラスなお尻は大好物です。
ウイングチップですが、変わった意匠です。これまであまり見たことのないショートウイングのスタイル。で、
再掲。ブローキングの穴サイズがすべて大きい。これによって、なんとなく独特な雰囲気を醸してます。最初見たとき、米国靴ではなく東欧靴かと思ったんですよね。
エドワード・マイヤーと比べてみました。
トゥのメダリオンの形状も、サイズも、何もかも異なるのですが、この2足、どことなく雰囲気似てませんかね。
少し脱線しますが、
「Florsheim」はドイツ系の苗字のようです。
フローシャイムの中興の祖であるミルトン・フローシャイムは1868年7月27日生まれ。カナダのモントリオールでドイツ系の家庭に生まれ、その後家族ごとシカゴへ移住。父親が始めた靴店を引き継ぎ、シューメイカーとしてのフローシャイム社へと発展させることとなります。
このあたりの詳細は、しんのすけさんのブログ「Old Fashioned Men」の今年3月の記事「新聞で読むフローシャイムの歴史–その1」に丹念にその歴史が紐解かれています。詳しくはそちらをご覧ください。
で、当然のことながら、フローシャイム家はもともとドイツにいたんでしょうね。いつモントリオールへと移り住んだのかは知りませんが、何十年もカナダにいたわけではないのかも。ヨーロッパが革命期だった1850年前後以降、職を求めて海外へ移住したドイツ人も少なくなかったらしい。そんな移民の一家が、実はドイツにいた頃から靴関係の仕事だった、なんて可能性は・・・、まあ、あんまり高くはなさそうです。
ですが、「名残」程度の影響が残っていてもおかしくはない。フローシャイムといえば「アメリカビンテージ靴の雄」ですので、アメリカ以外の影を想像することはこれまでなかったのですが、そういう目で見てみたらそんな風に思える靴があっても不思議はないかな。と。
まあね、別になんでもいいんですけどね。
アメリカでもイギリスでもドイツでもイタリアでもフランスでもメキシコでも日本でも、何でも来い!な私です。
素敵でありさえすればそれでよい。
四の五の言わない私です。
(おしまい)
ばしさん
お疲れ様です。奈良に眠るレアなフローシャイム、うーん、不思議ですねえ。このモデル、v-cleatさんの1969カタログにも無い……。おっしゃる通り、アイレットなので、ヨーロッパテイスト。甲は薄めでアメリカン60年代ぽいなんとも言えない品のあるデザイン。良いですね。
拙ブログも取り上げていただきありがとうございます。
フローシャイムは、絶妙にヨーロッパテイストを取り入れてますよね。このあたり、いつも面白いなあと思います。ではでは失礼します。
しんのすけさん
お疲れ様です。そうなんですよね、v-cleatさんのカタログにもないんですよね。
なので、1977年かなとも思ったのですが、まあ、どっちでもいいかなとも。
フローシャイムにもいろんなタイプがあって面白いなとあらためて実感してます。
またなんか変わり種に出会いたいものです(←他力本願笑)。