ボタン泥棒 for ネイビージャケット

こんにちは、ばしです。

 

雨の日曜日。

家内と娘は女二人で買い物に。私は、いつもなら玄関外で古靴メンテなのですが、冷たい雨の降る中で作業を行う気になれず、屋内でチクチクと針仕事を行っておりました。

遊び相手はこいつ。

 

MODEST GOVERN

ウールの国産ネイビージャケット。

2年前の秋にメルカリで購入した中古品なのですが、分厚くそれでいて柔らかなウールの質感がとても心地よい。ただし、試着なしに購入したサイズ48は思いのほか丈が長くて、「丸洗いして乾燥機で縮めた」のですが、そうしますと今度は袖が縮んで短くなり過ぎた。で、今度は針仕事、「自分で袖出し」を施しまして、試行錯誤の結果いい感じのサイズ感に落ち着いたお気に入りの一着であります。

 

(過去記事)

紺ブレを乾燥機で縮めてみた

自分で紺ブレを袖出し

 

その後2シーズンほど、ご機嫌に着用しておりましたが、前のシーズンの終わりころにトラブルが発生しました。

袖のボタンが1個外れて行方不明。

それも左右ともに、である。

素人が袖出ししましたので、ボタンの縫い留め方も悪かったのでしょうが、それ以前の問題として、このボタン、重すぎるんですよね。

フロントのボタンもこんな感じ。

ボタンが重すぎて垂れ下がってしまっている。このフロントボタンはプロが縫い付けた当初のままですので外れる心配はなさそうですが、それよりも何よりも、見た目にもあまりよろしくない。

ということで、この機会に全部取り替えることにしたのでした。手順は2ステップです。「ボタンの調達」と「交換作業」であります。

 

 

ステップ1:ボタンの調達

「テイラージャケット用のボタン」なんて、これまで購入したことなどありません。どこで買えばよいかと、とりあえずAMAZONで見てみると「フロント3個に袖8個のセット」なんてのが売ってるのですが、見た目に良さげなのは3千円~、といった感じ。

うーむ、その値段はどうか思うぞ。なんせジャケット本体が6500円でしたので、ボタンは新品とは言え高過ぎるな。ていうか、別に中古のジャケット用だし、ボタンも中古でも良いのではないか。それもまた僕らしくてよい。ということで、メルカリを漁るもちょうど良いものがない。

であるならばと、

セカストで漁ってみた。

ジャケットは結構沢山あるのですが、難点がふたつほど。その1。二つボタンのジャケットばかりで三つボタンがほとんどない。その2。値段が安いものでも税別9百円とさほどお安くはない。えーとですね、できれば5百円までが希望です。ということで、向かったのはたまに足を運ぶこちらのお店。

キングファミリー東大阪店。

近畿大学のキャンパス近くのこのお店は「服に人生を全うさせる」ことをミッションとされているそうで、買取は「1Kg100円」で「計り買い」して店内で販売、なもんで、店に並ぶ商品も激安です。いわゆる「リユースショップ」ではなく昔ながらの「リサイクルショップ」さんです。

なもんで、最近の若者向けのものなどはほぼ皆無なわけなのですが、ごく稀に掘り出し物のビンテージぽいものもあったりするので、時折近大生と思しき若者を見かけたりもします。

で、どのくらい安いかといいますと、

おお、1円なのね。この売り場を漁ろう。いや、「千円以上買った人だけが1円で買えるコーナー」のようです。うーむ、残念。後ろ髪を引かれながらメンズコーナーと向かいますと、

おお、なんかいろいろありそうです。かつ、

280円均一!!!
これです、こういうのを求めていた。早速に漁ってみるわけですが、うーむ、セカストと同様に二つボタンのジャケットばかりだな。と、思っていたら、

お、3つボタン発見。こいつはユナイテッドアローズさんのアンコンなやつなのですが、紺ブレにグレーのボタンってしっくりこないかも。スルー。

人気ブランド、との注釈付きのメンズビギ。
こいつは二つボタンなのですが、

なんと、フラワーホールに仕付け糸が付いたままです。ひょっとしたら未使用品なのかもしれない。そうであるならば、替えのボタンがポケットに入ったままかもしれない。

おっ!?

ビンゴです。ナイス推理な私であります。
これでえええやん、と、
レジ向かう途中のことです。

三つボタンなやつを発見。

おお、生地はスキャバルのようです。モノはきっと悪くないでしょう。ボタンも安物でないかも。さきほどのBIGIとこいつと、どちらにしよう。ええ、そうです、ご想像の通りボタンだけ頂戴する算段であります。とりあえず比べてみる。フロントボタンはこんな感じ。

色目はどちらも似た感じ。形状は若干違いますが、着用時には差異はほぼ感じられないはず。どちらでも構わん。

袖はこんな感じ。見た目はほぼ変わらない。数が異なる。片袖4個が望ましいわけなので個数から言えばBIGIとなるわけですが、

向かって右のBIGIは新品ぽいですし、誰か着るかもしれない。ですが、左のスキャバルは形も古臭いし皺だらけだし、恐らく誰も買わない。であるならば、「服に人生を全うさせる」というこちらのお店のミッションを尊重いたしまして、左の「スキャバル」のボタンを頂戴することにいたしました。ほんとは水牛のボタンなどを期待していたのですが、まあね、280円だし、贅沢は言いません。

以上、先週木曜日の仕事帰りのことでありました。

 

 

ステップ2:交換作業

さて、そんなことで準備も整いましたので、ボタンの移植作業であります。

280円のこのジャケット、いつ頃のものでしょうかね。上2つ留めるタイプの三つボタンスタイルですので、1990s頃の品でしょうかね。

H.MATSUMOTO氏が銀座にある「テーラーフクオカ」なるお店でが仕立たもののようです。マツモトさん、すんません、ボタンだけ頂戴いたします。

いざ。

チョキン。

チョキン。

取り外し完了。
こいつを紺ブレに装着していきます。

位置がずれるとまずいので、1個外したら縫い留め、また次の1個、との手順で進めます。

大きさは同じですね。問題なし。

ネイビーの糸で留めよう。

完了。

フロントボタン3つとも交換完了です。

袖は、実は曰くがありまして。袖を出した関係で、袖口から1つ目のボタンはステッチよりも袖側に装着したのでしたが、

交換後はボタンが3つになりますのでこんな感じに留めてみた。糸が縦に横に斜めにと不規則に走っております。加えて、ボタンホールの空き見せどおりではなく少しばかりズレておりますが、そこはそれ、僕の上着であることの目印です。ということにしておこう。

空き見せの被り方も左右で異なりますが、まあ、誰もそんな細かいところ見てないでしょう。たぶん。

てなことで、作業完了です。

 

【BEFORE】

【AFTER】

移植完了。

 

【BEFORE】

【AFTER】

重さのせいで3つがそれぞれ別の方向を向いていたのが、軽いものに替わりしっかりと縫い留められたことにより、うーむ、なんかすっきりしたような気がしないでもない。いや、そもそも当初はボタンの付いてる右身頃だけが左より下がってましたよね。ほんとに、めちゃ重かったんですよね。

どのくらいの重量だったかといいますと、

新旧のこの2種類のボタン。作業の途中で重さを測っていたのでした。

交換後のボタンが3個で3グラム=1個1グラムであるのに対し、

メタルボタンは1個で6グラム。なんと、6倍の重さです。いや、倍率云々以前の問題として、さすがに重すぎたのではなかろうか。そもそも紺ブレに付いてる金や銀のボタンって、金属だけど中が中空で軽いですよね。

こいつは春夏ものの紺ブレの予備のボタンなのですが、

3グラム。当初のメタルの半分の重さです。

やはりこいつらが重すぎたのでしょう。今後出番があるのかないのか知りませんが、とりあえず保管しておこう。で、ボタンだけ頂戴したマツモトさんのジャケットの残骸は、お役御免ということで処分させて頂きます。スキャバル死んでもボタンは生きる。今後も長らく使わせて頂きます。

思えば、クールビズ終了後1ヶ月ちょっと経ちますが、ボタンの不具合のせいでこいつだけまだ1度も出番がないままだったのでした。とりあえずこれにて修繕完了。袖口のボタンの位置がやや高いのが気になりますが、それを補って余りある襟のドレープの美しさ。これがこいつの本来のスタイルなのかもしれない。グッジョブ俺です。よし、ようやくこれで今シーズンもこいつに腕を通せます。

 

 

昨日早速登板させてみた。

月曜なんで足元は黒。グレーのパンツにネイビーのジャケットで週をスタートしてみる。

この日のネクタイはビンテージのピエールカルダン。1960-70s頃のポリエステル製を蒐集中ですが、最近また何本かゲットしてまして、その中からジャケットと同色のネイビーなやつを合わせてみた。

秋らしい朝の空もブルー。
なんだけど、ほんの少し肌寒い。

こんな朝には少し厚手で暖かな紺ブレがよいな。

と、再確認してみた次第です。で、暖かいだけでなくボタンが軽くなった分だけ着心地も軽く感じます。いやほんとに大げさではなく、メタルボタンのときは動くたびに右前身頃と袖口が気になることがあったのですが、さらに優しい着心地に進化したようです。

素敵なジャケットが1着増えた気分。
そんな日曜の午後でありましたとさ。

 

(おしまい)

2件のコメント

  1. こんにちは、ご無沙汰しています。

    全部のボタン付け替え、手間のかかる作業おつかれさまです。縮めたり袖出したりと、自分のモノにしてやった感ありますね!

    部品取りのためにリサイクルショップでアイテムを探す行為、僕も時々やってます(笑) キングファミリーなどの激安店は重宝しますよね。
    ただ、ボタンの形や生地の色目一つとっても全く同じ物は意外と見つからなかったりして、これだったら代わりに使えるだろうかなどと思案するのもまた楽しかったりします。

  2. おはようございます!
    わたしもよくボタン替えます。特に軍モノのデッドストックのコートとかカバーオールなんか。
    安いファストファッション系のものでも、ボタンを少し良いのに替えると見違えりますね。

    と言いましても、わたしはバシさんの様に自分ではやりませんが、もっぱら家内にお願いしております。

    ここは安くていいものがたくさんあります。わたしの御用達です。
    また、ご参考にでも。柏原の会社です。
    https://tsukasa-button.shop-pro.jp/

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