ころころTROJAN

こんにちは、ばしです。

 

夏休みがあっという間に過ぎてゆきました。

まあね、お盆休みはいつもそんなもんです。今年も5日間だけでしたので、墓参りに行ったり、親戚んちに行ったりで7割方予定は埋まる。残りでレジャーなり買い物なり、なわけですが、今年は最終日に台風が直撃ということで、特に何をするわけでもなく。

これまでの経験では、「墓参りの帰り道にセカストに寄ると素敵な出会いが多い」のですが、今年は暑さを避けるため早朝から出掛け、お店の営業開始時刻には自宅に戻ってました。なもんで、帰路にあるお店のパトロールもなし。代わりと言ってはなんですが、帰宅したら海外から1足届いてました。

そうそう、こいつ。

ブルガリアから届いた東欧靴。メンテまだです。終わったらそのうちご紹介します。で、セカスト巡りの代わりと言ってはなんですが、メルカリ他をネットサーフィンするも、是が非でも、という出会いはなし。まあ、そんな時もありますわな。で、そのまた代わりと言ってはなんですが、お盆の最中に1足旅立たせました。

 

こいつ。

 

 

 

TROJAN トロージャン

おお、凄いキレイです。

ええ、未使用品を雑多な靴コーナーから救出してきました。久々に「転がす専用」として7月に拾ってきたのでした。後述するように左トゥにシミがあったのですが、未使用品につき汚れ等はなし。軽く保湿・油分補給等を行って出品いたしました。

これだけキレイだし、ソッコーで売れるかと思ってたのに意外にも3週間もかかってしまいました。理由は「百貨店オリジナルブランドのペア」だからでしょうかね。そう、「トロージャン」とは、大丸百貨店のPB(プライベートブランド)なのです。

調べてみましたところ、ブランドのスタートは1959年と結構な歴史です。スーツは誂えるのが一般的だった当時、日本の百貨店として初めて、誰もが着やすい既製スーツをつくったのが<トロージャン>なのだそう。

ロサンゼルスから紳士服店のオーナーを招聘し、日本人の体型に合うシルエットやY体・A体などのサイズ展開など、さまざまな日本初を“発明”したのだそうです(こちらの記事を参照させて頂きました)。

ブランド生誕60年を超えて今も現役のブランドではあるものの、「今のシニア世代にドンピシャであったプライベートブランド」との印象です。アラフィフの私から見てそうなわけですから、若い人にとっては「何ソレ?」といった感じなのではないかな。

とは言え、百貨店が長きに亘り産み育てたブランドですので、モノは一定の品質以上であることは間違いないでしょう。

 

サイズは私には大きめな「26 1/2EEE」。その下に「MADE IN JAPAN」。丁寧でしっかりした造りです。「シール」というのはあまり頂けませんが、まあ、日本製であることは間違いなさそうな感じです。あくまでも「感じ」ですが。だからシールは良くないんですよね笑。

底の縫い目はこんな感じ。
しっかり丁寧な印象です。

目付の付近に糸が見えません。本来糸があるべき付近に細い線が走ってます。恐らくこの縦線=切れ目の中に隠されている、みたい。

形はシングルモンク。
モカ縫いのせいもあってカジュアルな雰囲気ですが、コバが薄いこともあってかドレッシーというか、上品な雰囲気です。

金色のバックルが艶消し加工なのも上品さに一役買っているのではないか。左トゥのシミはオイルやクリーム入れても隠せず終いですが、まあ、ご愛敬ということで。

履き口はシングルステッチ。
パーツの継ぎ目はダブル。

「TR」は「TROJAN(向け)」ということでしょうね。「904234」はなんだろう。90年4月23日、とかだと面白いのにな。どこのファクトリーなのでしょう。

よくあるシール。

バックシャン。

釣り込み穴。その上部はステッチが三連に。コバ周りの造作もあいまってかっちりした印象です。

オールレザーライナー。

前半分は異素材です。イノブタ系のように見えます。タン裏はまた別素材。手触りは柔らかく思いのほか上質です。何の革なのかは分からない。

 

持ち帰った時点から綺麗な状態ではありましたが、空調の効いた店内で過ごして乾燥気味かも。

上がメンテ前。
下がメンテ後。

白っぽさがなくなったような。

ステインリムーバー
デリクリもどき
TAPIRレダーオイル
コロニル1909(ニュートラル)

の、いつもの手順です。

触った印象としては、アッパーは肌理細かでそれなりに上質でした。分厚くはないけれど腰・ハリはしっかりとあって、茶のクリーム入れて育てたら色々と表情を変えながらしっかりと答えてくれそうな感じ。

 

で、

こいつ見ててふと思ったのですが、

ワインの「ブラインドテイスト」みたいなことを革靴でやったらどうなるんでしょうね。ヒドゥンチャネルとかツォップナートみたいな手がかかってることが一目で分かるものを除いて、一般的なグッドイヤー製法の靴をブランド名を目隠しして国内外問わず色々と比べて見る。

それで、革の質や造作の優劣や違いが分かるなんてのは、靴屋か靴職人か修理職人か、あるいはよほどの靴好きで精通した人くらいかな、なんて思ったりする次第です。特に値段に関しては、海外モノは円安に高い関税に昨今の値上げなどを考慮すると素人にはもう何が何だか、といった感じです。

今回のペアも、

「TROJAN」の黒い布のタグを例えば、
「a.testoni」に貼り替えたとしたらどうだろう。

片やグッドイヤー製法、片やボロネーゼ製法、でも、そんなこと構わず、誰もそうと気づかないのではないかな。で、取引価格も平気で倍とかになったりして。

ブランド名やロゴというのは、時に品質を保証する記号である一方で、個々の品質を問わずメーカー名で評価を固定してしまう作用もありますね。名のない(分からない)靴を弄ってたりしてますと、素人に毛の生えた私でさえそんな風に思えてきます。

 

結局このペアは5000円で旅立っていきました。元値がいくらか分かりませんが、ま、いい買い物して頂いたのではないですかね。マイサイズなら自分で履いてたのにな。そう思えるペアでした。ま、僅かながらも儲けは出たし、OKとしましょう。

ただ、悲しいかな、年代がいつ頃のモノか、結局分からず終いです。ビン靴フリークとしましては、それはそれで困る。もし、大丸百貨店の靴担当とかでこの記事ご覧の方がおられたら、年代とか、ファクトリーとか、当時の価格とか、分かる範囲でご教示頂けたら嬉しいです。で、どうせならついでにこいつについても分かるとさらに嬉しいな。

 

類は友を呼ぶ。

こっち方がだいぶ古いことは分かるのですが、

一体いつ頃のものなのでしょう?

1980s?
1970s?
あるいはもっと古い?

これもなかなかに素敵なやつなんです。
小さくて履けないんですけどね。
近々詳細アップします。

なんだかトロージャン上げみたくなってますが、
別に大丸さんの回し者とかではありません。

 

(おしまい)

 

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