こんにちは、ばしです。
お盆ですね。
この春に父が逝きましたので、今年は我が家は初盆です。だからというわけではないのですが、今回のお話は少しバックデートしたところからスタートします。
数日後に四十九日法要を控えた5月下旬のこと。
忌明け前なのですが、趣味の古靴蒐集活動は徐々に再開しておりました。再開の主戦場はネットです。ちょろちょろと荷物が届くのを横目に見ながら、ああ、そろそろ足で稼ぐ活動も再開の時期かな。などと思っておりました矢先のこと。
ちょこちょこお世話になっているオッドメントストアさん。
アメリカから届いたビン靴がちょろちょろとお店の棚に並び始めてるらしい。そんな噂を小耳にはさみ、早速足を運んでみました。
なんかね、出会いのときというのは、だいたいいつも予感がします。皆さんもそんな経験ありますか?私だけでしょうか。
ああ、今回は居るな。間違いない。思えば、翌6月は私の53回目の誕生日です。何か節目に相応しいやつが居そうです。
ああ、今回は要るな。間違いない。そんな予感に駆られ、念のためと財布に追加しといた2諭吉、きっちりいかれました。
こいつ。
旧旧チャーチ・サドルシューズ
なんといいましょうか。棚には他にいろんな靴が並んでいるのに、少し離れたところから眺めているのに、気になるやつがいる。目が合ったような気分になる。
あ、あれだ。
手に取る迄もなく「!」。となるわけです。
で、手に取ったら「!」。素敵です、きっとこのペアだな。
足を入れてみたら「!」。いい感じです、ジャストサイズ。
値札を見てみたら「!」。2諭吉です、値段もジャスト笑。
いやあ、今日はね、そんな予感がしたんですよね。この手の予感は外さない、外れない。なんかもう笑えます。
ワントーンのサドルシューズ。内側には手書き文字。
擦れて読みづらいです。モデル名やLASTは判読できませんが、サイズは「8 1/2 D」。UKのDウイズはUSのCくらいの印象です。旧いペアだからでしょうか、UK8.5の割には全長はそれほど長くはない。
全体的に細身なんだけれど、スクエア気味のトゥ。米国製と比べますとやや異なる雰囲気です。大変素敵なペアです。なのですが、活躍の時期は秋以降でしょうか。夏でも構わないでしょうが、なんといってもこの佇まいです。
シャツ1枚で上着無し、てわけには行かんかな。折角なんで休日に紺ブレやツイードジャケットなんかの足元に履きたいな。そんなこともありまして、メンテ作業を永らく後回しにしていたのでした。
で、気づけばお盆休み。あっという間に8月です。というか、ということは、あっという間に秋がやって来ます。ていうか、暦の上ではもうすでに秋です。いつでも登板できるよう、スタンバイせねば。
お盆休み初日の昨日。ようやくメンテいたしました。
いつも通り、まずは左から。
ステインリムーバー
汚れもクリームもほとんどありませんでした。
トゥ、小傷はありますが軽微です。
LEXOL
お手製ラベルのボトルに移し替えました。いい感じです。いつも通り、アッパー、次いで、コバ周りを歯ブラシにとって掻き出す。
お、すっきりしたかな。
デリケートクリームもどき
このところグリセリン保湿をマストにしてますが、今回は割愛です。そんな乾いてなさそうだし。
ただまあ、いつもよりたっぷりめで。特に、腰裏と履き口にたっぷりと。
リッチモイスチャー
とりあえずいつも通りで。
あ、写真が左に寄っとります。
TAPIR レダーオイル
とりあえずいつも通りで。
僅かではありますが、すっきり透明感がアップしたような。
ソールトニックほか
ソールも綺麗に。
おお、いい感じです。
ソールもこのくらい輝いてるのが好みです。
コロニル1909(ムショク)
さて、アッパーに戻りまして、とりあえずいつも通り、ニュートラルで。
たまにはワックスでも入れてみよう。
M.モウブレイトラディショナルワックス
随分以前にこんなの買ってたようで、使ってみました。
簡単に光ります。
お手軽で私向きかも。
さて、右も同様に仕上げてメンテ完了です。
【BEFORE】
【AFTER】
おお!たまにはワックスもいいもんですね。
【BEFORE】
【AFTER】
うん、引き締まりました。大変よろしい。
チャーチの年代判定
チャーチは、年代ごとにソックシートにある都市名の数が異なり、これによりおおよその年代判別が可能です。
今現在は五都市。
「LONDON」「PARIS」「NEWYORK」「MILANO」「TOKYO」。
五都市に直営店があります。
その前は四都市。
「LONDON」「PARIS」「NEWYORK」「MILANO」。
2013年に東京(表参道)に旗艦店ができるまでの品です。
その前は三都市。
「LONDON」「PARIS」「NEWYORK」。
三都市表記は「旧チャーチ」とも呼ばれます。1980年代からプラダに買収される1999年前後までに製造されたペアです。買収以前と以降とで、LAST(木型)やバインダーカーフの製造方法などが異なります。
そして、
その前が2都市。
「LONDON」「PARIS」。
今回のペアです。1960年代後半から70年代の製造だそうです。まあ、二都市=概ね1970s、ということかと思います。ざっくり半世紀前です。
半世紀も前なのにこの輝き。道具としての機能も申し分なし。大切に履けば親子三代にわたって履けてしまいそう。まあ、三世代で足のサイズが同じとは限りませんが、それでもそんな風に考えますと、靴はやはり本格的なやつがいいなあ。
私がビンテージ靴の世界に嵌まったのは米国靴がきっかけなのですが、英国靴も結構持ってます。特に、流通量が多い所為もあるからでしょうか、チャーチの数が一番多い。今回で11足目です。
ですが、すでにかなりの数が旅立ちました。6足旅立ちましたので、手持ちのチャーチはこれで5足となりました。
旧旧チャーチは2足。
右のエキゾチックなチャーチ。アッパーはアザラシです。どちらもとも茶色です。茶ーチです。2足ともロゴがくっきりはっきり残ってます。
ともすれば旧チャーチの方がクオリティが高い、なんて話もあるようですが、この2足に限っては当てはまらなさそうです。
旧チャーチも2足。
都市名はなんとか判読できますが、二足ともソックシートのロゴはかなり擦れてます。向かって左、タンカラーのアドレードがマイファーストチャーチです。右の3穴のペアは何度か売りに出したものの売れず。マイサイズだし、転がすのをやめました。2足とも茶色だな。こちらも茶ーチ・・・。
残る1足は黒。
黒は黒ですが・・・、パテントレザー(エナメル)です。
でもって、
チャーチ名義ではありません。BB向けPEAL&CO名義のエナメルシューズ。
我が家に来てもうじき丸4年ですが、未だ出番ありません。まあね、これは子供たちの結婚式で履く用です。備えあれば憂いなしです。とは言うものの、少しばかり早く準備し過ぎたかな・・・。
ま、何はともあれ、記念撮影です。
おお、良いですね。人気のチャーチ。人気故よく転がります。結果転がし過ぎて、仕事で履けるのは4足だけになってしまいました。「チャーチWEEK」はできなくなりましたが、まあ、当面は値の張る靴は買わない約束です。靴は沢山ありますし、欲張らずに行きましょう。そもそも、私の手元にくるまで50年かかってます。ビン靴買うのに時を焦ってもしょうがない。
ところで、黒を仲間外れはよくないな。
一応ね、記念撮影です。
でもって、もう1枚。
はいチーズ。
サドルシューズで記念撮影。
左から順に、
Florsheim Imperial
今回の旧旧チャーチ
FootJoy Cordovan
FootJoy Sharkskin
他にも持ってましたが、転がしたり、売り出し中だったりして、自分で履く用は4足だけになっちゃいました。
今回のチャーチを除く3足はどれもアメリカ製です。だからでしょうか、同じサドルシューズでも雰囲気がやや異なりますね。
チャーチの方がコバが狭いです。トゥの形状も随分異なり、全体としての雰囲気も随分異なります。ちなみに、
左:UK8.5D
右:US8.5D
です。ホンマかいなって感じですがホントです。フットジョイはやや大きいので中敷き1枚足して履いてます。今回のはチャーチは細身なので、サイズ調整なしでいけそうです。不思議です。あ、そういえば、右のコードバンのもオッドメントさんで買ったんだったな。よっ、兄弟。
さて、再度、全景。
うーむ、いいですね、素敵です。
カジュアル感の強いサドルシューズなはずなのに、色も形も大変ドレッシーです。ジャケパンもいいのでしょうが、スーツの足元にもいいかも。
もう、いつ秋が来てもオーケーです。
もう、暑いの飽きたし、早くカモンプリーズ。
そんなお盆休み初日なのでありました。
(おしまい)