ジャパン・ビンテージ「梅田MT」

こんにちは、ばしです。

 

当面は3000円くらいまでの靴しか買わないつもりの私。

国内での買い物が中心となるわけですが、そういいながらもこの円安な最中にebayをポチったりもしてます。ですが、そんな場合でも品代は20ドル前後の靴しか買わない。まあ、海外からの場合は「送料別で3000円まで」ということになってしまうのですが、ま、一応自分への約束は今のところ守ってます。

ただ、国内も海外も、「3000円以下のビンテージ靴」を探すのはなかなかに難しいです。特に、海外では靴は20ドルでも送料が35ドル、なんてことがほとんどですので、相当程度にお買い得な55ドルのモノでないとなかなか手は出せない。

となると、やはり国内となるわけですが、目新しいやつにそんなしょっちゅう出会えるはずもない。なもんで、敗者復活。夏前にスルーしたやつがまだ売れずにいたので、持ち帰ってきました。

こいつ。

 

 

レイジーマン by 梅田MT

レイジーマンです。思えば初レイジーマンです。

レイジーマンとは、サイドエラスティックでイミテーションの靴紐がついてるやつのことです。簡単にいうとスリッポンです。英国のチャーチル首相がジョージクレバリーのレイジーマンスタイルのビスポークシューズを履いていたことで有名になったらしい。

 

以前から欲しいと思いながらも手が出ないでいたレイジーマン。理由はシンプル、値段が高いから。欲しいと思うものは大体英国モノで、中古でも3~4万以上。誕生日や記念日に買うにしてもお高めです。

ですが、今回のは税込約2000円。や、安い。ただ、私には少し小さめそうなのでスルーしていたわけですが、あらためてジャパンビンテージを蒐集することにしましたので、安さもあり持ち帰ってきました。

そう、今回のレイジーマンは旧い日本製です。って、タイトル見れば分かりますね。あいすみません。

黒いソックシートの刻印。上から、

”Umeda”
”mt”
”Osaka”

とあります。大阪・梅田の靴店の手によるもののようです。店名など詳細は不明ですが、日本古靴資料館さんが詳細不明なこちらの靴店を便宜上「梅田MT」と呼ばれておられるので、私も倣ってそう呼ぶことにいたします。

 

そんな梅田MT。

まずはディテールご紹介。

爪先は一文字。サイドの切れ込みは4本です。

イミテーションの紐は革で紐穴は5つ。

バックシャン。

釣り込み穴あり。バックステイは日本製の古いやつでよく見かける感じです。

折角のグラマラスなヒールカップは、なんというか・・・、使用には支障はなさそうですが見た目には大変可哀そうなことになってます。

で、先ほどからちらちらと見えて気になる赤と黄色。

こんな感じ。

伸縮素材が赤と黄色でアッパーが黒。強そうなトリコロールです。かなりシェイプが効いた土踏まずの先にはお馴染みの多数の穴。ハンドソーンウエルティッドのようです。

タン裏サイドからチョロリと伸びた黒い髯。これはなんなのでしょう?仕上げのミスか?

と思ったら、左右どちらにも。いったいこれは何なんなのでしょう?初めて見ましたが、意味不明です。

ソールは真っ黒のヒドゥン仕上げのようです。

土踏まず部分に数字が。「33」?「38」?うーん、分からない。アッパー内側等には数字や文字の類はありません。何を意味しているのでしょう。

で、トップリフトは「FINE」。補修プレートがセメダインか何かで貼りつけられてます。まあ、これは良しとしましょう。ただ、

爪先の補強?補修?誰がやった?なぜこうなった?

うーん、これはいただけません。ですが、私が依頼したわけでもなし。文句言う立場にはありません。

私が思いますに、このペアの一番のチャームポイントはこれ!

とても凝った形状のソックシート。カッコイイです。ソックシートの前方の形状はバロック調(笑)。で、「Umeda」の文字のすぐ上には、イチョウ葉のような逆三角形の穴。で、文字と図柄が箔ではなく型押しなのが好みです。なんといいますか、クロムハーツとか、ロックな雰囲気です。

さて、そんな梅田MT。気に入らいない点もあります。

革質です。テラテラして安っぽく感じます。誂え靴と思われますので、革は安物ではないのでしょうが、見た目になんだかちゃっちい。

特に、甲のあたり。

薄くて柔らかそうなのにテラテラと光り過ぎてるのが気に入りません。アッパーは何の革なのでしょう? なんとなくの印象ですが、キャップトゥ部分がカーフで、他がキッドスキン、異素材のコンビなのではないか。

キッドスキンは薄くて柔らかいのは履きやすくて良いのでしょうが、その柔らかな見た目の雰囲気が、すぐ上のレースステイ部分と、すぐ下の真一文字のドレス感にあまりマッチしていないように思えてしまう。気にし過ぎでしょうか?

で、カーフと思しきキャップトゥ部分は、そんなことお構いなしにハイシャインされたようです。なんといいますか、全体的に光り過ぎていて、アンバランスな印象です。光り過ぎていない方が、頑張り過ぎてない方がこの靴に似合うように思うのですが、どうしょう。

よし、やってみましょう。大人しく鈍く光らせてみよう。

 

メンテです。いつも通りまずは左から。

 

 

ステインリムーバー

おお、久々のワックスべったりです。何度も何度も拭きとりました。

キャップトゥ部分、斑にスカスカ。これって、厚塗りして永らく放置したことが原因のように思えたりするのですが、どうなんでしょう。

外側もこんな感じ。いやはや。

 

LEXOL

コバ周りは歯ブラシで。アッパーは布にとって。

スカスカ。

 

デリケートクリームもどき

保湿。

期待はできそうな。気がする。

 

リッチモイスチャー

ルーチンなんで。

見た目には変化なし。

 

TAPIR レダーオイル

油分補給&保革。

爪先が気になる。

やはり、黒を入れないわけには行かなそうです。ただ、あまり光らせたくない。

 

サフィールクレム

今回はギラギラと光り過ぎないクリームで。指で塗り込んで、しばし乾燥。

さて、キャップトゥ部分どうなるやら。

こうなりました。

光り過ぎてないのはいいのですが、

キャップトゥの斑さは頂けません。しょうがない、爪先だけ黒のワックス入れましょう。

 

コルドヌリアングレース(黒)

コルドヌリを塗り塗り。

爪先の斑は改善されたかな。光り方はこのくらいで十分です。

右も同様の手順でメンテ完了。

 

【BEFORE】

【AFTER】

うーん、すっきりはしたけど、なんだかな。

 

【BEFORE】

【AFTER】

うーん・・・。

 

 

まあ、悪くはないんですが、普通です。

キャップトゥの光り具合はこのくらいが好みです。ハイシャインされてたワックスが除去されて、革のきめ細かさも目に見えて嬉しい。

羽根周り、変にピカピカしてないのが好みですが、なんかねえ。

踵はごめんなさい、綺麗でないままです。

ツリー抜いてみました。

悪くはないと思うのですが、なんかオッサンくさい。あ、オッサンなんですけどね。

「イマドキ」か「レトロ」か、違いは、トゥの形状によるところが大きいんですかね。こないだ拾ってきたジャパン・ビンテージ「塩野」ほどではありませんが、どちらもスクエアなトゥの形状です。どちらもオッサンぽいです。

で、この2足、見た目には似たようなサイズ感なのですが、

履けなくもないかも。あ、いや、靴下履いて、は、辛そうです。今回の梅田MTの方がタイトです。素足で履いて相当にピタピタ。

そんなタイトなのに、羽根はしっかりぴっちりと閉じてます。当たり前です。サイドエラスティックです。イミテーションです。内羽根がぴっちり閉じるのが好みの私。レイジーマンは私向きなペアなのかもしれない。

 

とはいえ、

やはりまだ少し光り過ぎかな。光る革紐が悪目立ちしているような。最後に羽根周りにだけ再度ステインリムーバー投入、グロス感を消しました。

おお、いいです、この感じです。

で、この角度がいいです。爪先もスクエア過ぎず。キャップトゥも光り過ぎず。甲からレースステイ周りの光ってない感はこのくらいの感じを目指していたのです。

ビンテージのレイジーマン、で、一句。

 

“ レイジーマン 時が流れて レイじーさん ”

 

いやあ、やっと言えた。
実は、句は随分前に詠んでたんですよね。
なのにレイジーマンなかなか手に入らなくて。

ただ、あらためて詠んでみますと、
「時が流れて」よりも「歳を重ねて」、
の方が良かったような。

まあ、どっちもいいです。
ようやくお披露目できました。
今回のペア、それだけでも価値あり。

時が流れて、オッサンもちっちゃな歓びを見出すのが上手くなりました。
あ、そここそは「歳を重ねて」、の方が良かったかな。
まあ、どっちでもいいです。

 

 

(おしまい)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。