Pollock’s / AG

こんにちは、
「アンノウン・ハンター」ばしです。

 

「あんの?運、あんた?」ではありません。

ですが、そう(運はあるか?)と訊かれたら、最近は間違いなく「イエス」な今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

私はといいますと、このところのリユースショップへの古靴漁り、持ち帰るか否かは別にしまして、出かける度にあるわあるわ、いろんな奴に出くわす今日この頃です。

ただ、以前は、安い値札のフローシャイムなど、アンノウンブランド扱いになっている王道ビンテージを見つけては喜んでましたが、最近はその手の「アンノウン扱い」のペアに出会う機会は少し減ったような気がします。
代わりに、どこのメイカーなのか、一見して判読不能な「真正アンノウン」に出くわすことが増えてきました。

こんなやつ、どこから出てくるんだとも思いますが、まあ、それはそれで、グッドです。で、ゲットです。安いし、その割にはクオリティも素晴らしいし、何よりも謎解きは楽しい。このところ、そんなペアが続いてます。

今回もそんな1足。

 

こいつ。

 

Pollock’s / AG

確か、夏前に見かけたときは3000円前後くらいだったような。
先日、税込み990円になってまして、不憫で持ち帰ってきました。

ブランドロゴ等の印字はなく、替わりにシールが貼られています。

右足。

「A/G®」って、何?
「MEN’S FINE SHOES」って笑。古い日本製のおっさん靴にしか見えません。

左足。

「Style・Fit・Quality」って笑。やはり昭和の頃の日本製か笑? ただ、
「Pollock’s」はショップ名っぽいですよね。
「CANONSBURG,PA.」とあります。
「PA」はペンシルバニアの略号だそう。ペンシルバニアのCANONSBURGという街にあるPollock’sというショップ、ということでしょう。

 

内側の印字はこんなです。

CELLULESE INNERSOLE
インナーソールがセルロース、加水分解するあれですかね。

SPLIT LEATHER QTR LINIG
スプリットレザークォターライニング=床革の腰裏、ということのようです。

VINYL BUCK LINING
腰裏以外のライナーが、ビニールと牡鹿、ということでいいのでしょうか。

「セルロース」に「ビニール」と、わざわざ書くくらいですから、この手の新素材が登場して間もなくで、まだ新鮮だった時代のもの、のように思えます。
つまり、古そう、です。ちなみに、黄色の文字表記は左右ともに全く同じです。ちなみに、黄色の印字の下の茶色がビニールっぽいです。

サイズに関しては・・・、あ、ありました。

かかと部分に黒い文字。「285」とあります。
これがサイズです。古い年代の靴でよく見かけるサイズ表記方法です。

「2」がウイズ。「1」がA、「2」がB、「3」がC、・・・、を表します。
「85」がサイズ。つまり、こいつのサイズは8.5のBウィズです。

他の数字はなんなんでしょうね。意味があるのか、ないのかすらわかりません。靴から読み取れる文字情報は以上です。

うーん、よう分からん。
キーワードはやはり、底のシールの文字たち、のようです。「POLLOCK’S」「SHOES」で画像検索してみましたところ、出てくるのは昔のアメリカの新聞記事ばかり。どれのどこをどう読めばよいのか、こりゃあしんどいなあ。と思いつつ、この靴の写真をインスタにアップしましたところ、同胞のビン靴ブロガー・IRONさんから確度の高い情報を頂きました。

どこの何者なのか?
IRONさんのお陰で見当はつきました。が、まあ、慌てない、慌てない。
謎解きはディナーのあとで。いや、メンテのあとにしましょう。

さくっといきましょう。
いつも通り、まずは左から。

 

ステインリムーバー

LEXOL

デリケートクリームもどき

TAPIR LEDER OIL

コロニル1909シュプリームクリームデラックス

いつも通りです。ツリー入れないとぺったんこですね。このみすぼらしさで雑多な靴コーナーに並んでいたら、そりゃ、私みたいな変人以外、手すら伸ばさないかも。

タン裏。アンライン(ライナーなし)です。パンチングの穴も、裏まできちんと貫通してます。甲部分も爪先まで同じ仕様です。こういうのは、夏向けのペア、なんですかね。この手の靴は初めてです。

とりあえず、右も同様にメンテしました。
ビフォーアフター。

 

【BEFORE】

【AFTER】

黒い丸紐も新品の茶の平紐に替えました。
茶色の靴にはやはり茶色の紐じゃなきゃ嫌なんです。で、できれば平紐。
自分では随分素敵になったと思うのですが、どうでしょう。

 

【BEFORE】

【AFTER】

低く構えたスタイルは、まさにアメリカンビンテージです。
アッパーに傷やクラックはなし、グッドコンディションです。

カラス仕上げのレザーソールも、へたりは一切ありません。
トップリフトは網模様の釘穴あり仕様。フローシャイムならこれだけで1960s確定、なのですが、こいつはどうなんでしょう? まあ、全体の雰囲気から見て、1960-70s頃のペアと思って差し支えなさそうです。

さて、メンテ終わりましたので謎解きタイムです。
このあと、説明長くなります。よろしくお付き合いください。
まずはシューメイカー、先に明確にしておきましょう。
今回のこのペアは、ここのようです。

 

 

AMERICAN GENTLEMAN

「AG」です。いわれてみれば、確かに。
IRONさんから教えて頂いた新聞記事にその旨が書いてありました。

この記事は、1964年1月3日(金)の「The Daily Notes from Canonsburg, Pennsylvania」の1面の記事です(元記事こちら)。冒頭に、

”D.S.Pollock Shoe Store….is 55 years-old and started in business Jan.1, 1909.”

とあります。POLLOCK STOREが55周年を迎えたことを祝う記事のようです。
ストックした顧客情報は9000ファイルにも及ぶ、地域に根差した靴店との様子。記事中央の赤線部分とその前後にありますとおり、同店は、AMERICAN GENTLEMAN以外にBostonianにも靴の製造を委託していたようです。ちなみに、その後ろにある「Vitality」「Foot-Flair」等は、調べてみましたところ、どうやら当時のレディスの靴メイカーのようです。

「POLLOCK」「CANONSBURG」「AMERICANGENTLEMAN」の3WORDSが出揃いました。IRONさん、ありがとうございました!これにて一件落着!

・・・なのですが、調べてくうちに直接関係はなさそうなんですが、アナザー・ポロックの存在等にぶち当たってしまいまして、関係性の有無等を調べているうちに、ブログに書くのが遅くなった次第です。

 

 

D.S.POLLOCKとLOU POLLOCK

えー、すみません、ここから下は長文かつ、まとまってませんすみません。
かつ、謎解きはいったん完了してますので、本論とは関係ありません。
さらに、読後に「だからなんなのよ」と思われるかもしれません。
すみません、先に謝っておきます。

 

で、検索してましてわかったことは、同じ時代に「POLLOCK’S STORE」という靴屋がほかにもあったようです。LOU POLLOCKさんの靴屋。こんならしい。

Lou Pollock
and Pollock’s Shoes,
Asheville, NC

Lou Pollock started his business in Asheville in 1910 with $60 in his pocket. In 1920, he opened a shoe store on Patton Avenue, later joined by his brother Ben. He went on to open stores In Florida and South Carolina, and in 1928 he became the principal investor in Cinderella Slipper Salons.

Giving Back

Each year, Lou Pollock gave away hundreds of pairs of shoes to Asheville children who could not afford them. He also memorably hosted an annual Christmas party for the city’s poor. Pollock was president of the Mount Sinai Jewish Cemetery, renamed Lou Pollock Memorial Park in his honor.

「NC」=ノースカロライナ州のアッシュビルの靴屋です。原文は同州のDuke Universityの関連のサイト(こちら)から引用させて頂きました。同じような内容の記事をアッシュビルの図書館のサイトでも見つけました(こちら)。

創業者のルー・ポロックさんは、この地区で名の通った方のようです。1910年にアッシュビルで事業を始め、1920年に靴屋をオープン。その後、兄が合流してフロリダ含む2店舗を出店、都合3店舗のチェーン店?だったらしい。
また、彼はクリスマスには貧しい子供たちに何百足もの靴をプレゼント(おお、いいですね。クリスマスに靴って、靴下の中に靴入れるのか?逆じゃね笑)した篤志家で、アッシュビルには彼の名前を冠した公園まであるのだそう。

 

実は、調べる中で私は先にこちらの記事にぶち当たりまして、手詰まっていたのでした。また、こんなロゴを見つけたことで混乱に拍車がかかりました。

有料画像のサイトのでが、靴屋のポロックのロゴらしい。かっこいいです。方や、今回の靴、D.S.Pollock’sのロゴはあらためてこんなです。

筆記体のロゴで、「s」から「P」へ続くラインが一緒です。似てると思いませんか?似てますよね!?
ただ、D.S.Pollock Storeはペンシルベニアです。有料画像のロゴのサイトには「in the South」との説明が。「南部」ですから、ペンシルベニアではなく、ノースカロライナ、Lou Pollockさんのお店のロゴかもしれない。

 

そもそも、アメリカの地理の土地勘がありませんので混乱します。
地図にプロットしてみました。

あれ、ASH「E」VILLEのスペルが違ってますね。あとで修正します。で、こんな位置関係だそう。赤と青の間、地図ではすぐっぽいですが、その距離は500マイル。約800キロです。東京から出発して、大阪を越えて広島までの距離ですから、まあ、結構あります。

で、地図上の黄色の星。
赤と青の両方からほぼ等距離にあるのが、AMERICAN GENTLEMANブランドを要したシューメイカー・Craddock Terry Shoe Co (founded in Lynchburg VA in 1888. Bankrupt in 1987)のあったバージニア州・リンチバーグです。

 

で、ここで唐突ですが、また、追加の新聞記事を発見しました。

タイトルは「Greencastle Herald,Greencastle, Putnam County, 13 September 1928」。1928年9月の新聞記事です(元記事こちら)。

赤枠部分。
車と列車の衝突事故があり、7人の方がお亡くなりになられたようです。

右に記事のアップ、左にテキストのスクショです。
亡くなった方の中にD.S.Pllockの名前が。

“The dead were:
D. S. POLLOCK, 59, of Lilbourn,・・・・”

とあります。リルボーンという街は、アッシュビルから東へ800キロほど、ミズーリ州の街のようです。地図に追加してみましょう。

遠いといえば遠いですが・・・、関係あるのか、ないのか。「同じ名前の異なる人物」、と考えるには偶然過ぎるような気がするのですが、どうなんでしょう。

先ほどの1964年に55周年の新聞記事写真のD.S.POLLOCKさん。
仮にこの時75歳とすると20歳で商売を始めた計算になります。
で、1928年に59歳で亡くなったPOLLOCKさんが存命だとすると1964年時点で95歳。年齢的に親子くらいの年齢です。ジュニア、とか?
仮にそうだとして、距離的にはリルボーンはD.S.POLLOCKのCANONSBURGよりもLOU POLLOCKのASHEVILLEの方が近いんですよね。D.S.さんとLOUさんは親戚関係とかだったりするのでしょうか? 

あらためて、それぞれのスタートは、

D.S.Pollockが1909年にCANONSBURGで靴店をオープン。
LouPollockは1910年にASHEVILLEで商売を始め1920年に靴店をオープン。

でした。

ひょっとしたら、彼らは兄弟か従兄弟で、ミズリー州を同時期に出て別の街に向かい、どちらも別の場所で靴屋を営んだ、なんていうことはないでしょうか?
一方は北部で、高級靴を扱う地元の紳士淑女のためのこだわりの靴店。
もう一方は、子供靴も広く扱い、南へと店舗を広げたファミリー向けの靴チェーン。
互いに、品揃えも、客層も、地域もかぶらない。かぶらせない。
そして、時は過ぎ・・・。

なあんて、仮説を立てて、調べてみましたが、結局わからずじまい、すみません。仮説というよりは、一部ファンタジー、創作めいてきてしまいました。朝ドラの原作とか書けそう笑。

 

ただ、事実として、同じ時期に、近しい場所で、似たようなロゴを持った「Pollock」なる靴屋が2つあって、創業から100年たった今でもその名がそれぞれ残っている、ということかと思います。

いやあ、素晴らしいですね、そんな仕事したいなあ。

 

 

そんなこんなで、990円の靴を買ってから半月。
まだ履き下ろしてませんが、十二分に楽しませてもらいました笑。
いやはや、やはりビン靴は色んな面でコストパフォーマンス高いですね。

もう少し粘りたかったのですが、この辺が限界、潮時かと。
気が向いたときにコツコツと継続して調べてみようかと思います。

ちょっと疲れたけど、なかなかにやめられません。
私の妄想・暴走に最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
また何かわかりましたらご報告いたします。

 

おしまい。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です