こんにちは、ばしです。
夏といえば素足、素足といえばローファーです。
まあ、みんながみんなそうというわけではないのでしょうが、私の場合、ローファー履くときは基本的に素足なことがほとんどです。仕事では紐靴しか履きませんので、自ずとローファーの活躍の場は夏の休日限定となります。なもんで、数もそんな沢山は要らない。
そんなローファー。
過ぎ行く夏を惜しむかのように、久々に1足、届きました。
こいつ。
Florsheim 30030
フローシャイムが欲しかったわけではなく、明るい茶色が欲しかったわけでもない。春先から黒でドレッシーなタッセルローファーを探していたのですが、なかなかいいのに巡り合えずにいたところ、7月頃にこいつに遭遇。このくらい明るい茶色のローファーは持ってません。夏にいいかも。ということで方針変更、購入しました。なんでやねん汗。
レギュラーライン。アンラインド。ラバーのトップリフトにもフローシャイムのロゴと文字。初めてみる仕様です。
サイズは7.5D。普段は8Dの私ですが、素足で履くこともあってローファーはいつも7.5です。品番は30030。調べても詳しい情報は得られず。アルファベットはCB。「C」が製造月、「B」が製造年を表します。1971年か81年か91年の3月、です。はは、製造年が特定できません。
81年くらいのように思うのですが、アッパーは分厚いしソールもかなり頑丈で、レギュラーラインの割にはかなり丁寧かつしっかりとしたつくりです。71年なのかも。なんて思ったら、見慣れぬ「FLEXIBLE FIBER MIDSOLE」の文字。手掛かりになりそうと調べてみましたところ、ビンゴ!です。
古着屋ガレージセールさんの過去のブログ記事(こちら)にありました。
これ(=FLEXIBLE FIBER MIDSOLE)はフローシャイムの革靴には1970年代後半ぐらいから入る記載の文字です。それ以前はレザーのインソールを使用していたりしますのでこの記載はありません。
おおっ、流石我が師匠&みんなの師匠、青山店長です。一発で氷解です!
おおっ、そうかい、ひょうかい。1980年後半頃からはフローシャイムも製造は米国内からインドへ移ってゆきますので、このペアは1981年3月製、ですね。にしてはなんかクオリティ高く感じるんですけど。このあたり、ビンテージが一筋縄ではいかないところですかね。
さて、サイズはどうでしょう。普段なら届いてすぐにいきなり足を入れることはありません。裂けたりすることがあるから。ですが、こいつはそんな乾燥もしておらず革もしなやかです。マイサイズの7.5D、一応、足を入れてみました。
いや、入れようとするのですが、、、靴ベラ使ってもかなりつっかえて履きづらい。
ようやく履けました。履けなくもなさそうですが、かなりパツパツです。タッセルの付け根あたりの両サイドが狭く、足入れ時につっかえるようです。おかしいな、7.5Dのローファーはジャストサイズなはずなのに。。。
このまま引き下がれません。伸ばすことにしました。
マスタングペースト(馬油)を塗り込んで柔らかくしてからストレッチャーか大き目シューツリーで伸ばす。以前買った馬油の残りがどこかにあったはずなのですが、あれれ、見当たりません。どうしよう。水にドボンと浸けて丸洗いしてもいいのですが、乾くまで時間もかかるし、そもそも乾きも汚れもそれほどありません。手持ちのメンテグッズをいろいろ試しがてらやってみました。
じゃーん。
初登場のグッズ。100均で買った200円のローション。
「しっかりもちもち高保湿ミルクローション」「心華やぐ天然製油の香り」。
なんだかよさげで、随分前に買ったまま放置してました。あ、もちろん靴メンテ用としてです。水分入れて油分入れて、伸ばす。
「ダマスクバラ花油、オレンジ果皮油、クスノキ樹皮油、ニオイテンジクアオイ油、ヒマワリ趣旨油、ローマカミツレ花油、アルテミシアパレンス花/葉/茎油、・・・」。
割合は分かりませんが、「油」も種類豊富にそれなりに入っているみたいです。そりゃそうです、通常100円の商品の中で200円、倍です!インペリアルグレードです!
いや、まあ、それなりに気合の入った商品なのでしょう。
うっすら半透明。もっとトロッと粘度が高めを想像してましたが、どちらかといえば水分がやや多めの印象です。
アッパーの内外両方から、たっぷりと塗り込みます。特に伸ばしたい範囲は入念に。
これ以上浸透せず、浮き出すくらいまでたっぷり塗り込みました。
4分の1くらい投入。
ののち、大き目ツリーを投入。
・・・の、はずが、入りません。別のツリーに変更です。
押し込みました。
かなりテンションかけてるつもり、ですが、うまくいくでしょうか。
右も同様に、押し込むっ。
右のほうがテンションかかってそうです。
ひえぇ~~、と、声を上げてる風です。拷問のようです。
このまま乾燥させてもいいのですが、油分追加してみました。
クリストフポーニーレザークリーム。TAPIRでも良かったのですが、しっかり塗り込めるよう液体でなく固形のこちらで。
「布にとって塗り込む」とあったのですが、指にとって直接塗り込んでみました。
甘いメンソレータム、といった香りがとてもかぐわしい。
コバにもクリス塗布(←コレ、マイブーム)。
完了!このまま一晩寝かせます。
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翌日曜日15時。
色が薄くなりました。馴染んだか。それより、気づきました?
ツリーが前日のと変わってます。
昨日どうやっても入らなかったツリー。突っ込んだら割とすんなり入りました。少しサイズが大きくなった、ということかと思います。さて、仕上げです。
コバ周り。昨日何もしてなくて、埃溜まったままです。LEXOLを歯ブラシでがしがしやって、仕上げはコロニル1909シュプリームクリーデラックスムショク(←ナガイ)いれてブラッシングです。とりあえず左足。
おお、コバ周りはやはり重要ですね。右も同じようにメンテです。
ビフォーアフター。
【BEFORE】
【AFTER】
まあ、見た目はそんな変わらん。
【BEFORE】
【AFTER】
ソール。ピカピカにしたった。
あんまり意識してなかったのですが、なかなかにミントコンディションのペアのようです。数度履き程度、なのかもしれない。
あらためてディテール確認です。
ヒールトップ。
初見のトップリフトです。いつ頃から登場するのでしょう?9割以上残ってます。ラッキー。
どおりで、フットプリントもうっすら僅かです。爪先の先端以外はアンラインド。こんなフローシャイム、あんまり見たことないですね。
踵付近で切り返し。と思ったら、内側はステッチのみです。踵部分だけ革を二枚重ねしているようです。
それもあってか、非常にグラマラスです。スリッポンでこんなグラマラスなお尻、あんまり見たことないかも。ローファーと思って舐めてたら、本格仕様でびっくりです。
普通にモカシンでよかったんですけどね。こんな風に本格グッドイヤーだから、サイズも想像していたよりもタイトだったのかもしれません。で、このソールと出し縫いとヒールカップのラインを見て思うわけです。ほんとに1981年製なのかいな?まあ、そうなんでしょうけど。
夏はお気軽に素足にローファー。素足で、緩~く履ければよかったのにね。伸びてなおタイトです。どうあっても履きこなさないわけにはいかない。大層な話になってきたな。
まあ、それもこれも、ミントコンディションな所為ですかね。ソール中央のロゴも2割程度残ってます。
とりあえず足、突っ込んだった。
履いてしまえばややタイトな程度。なのですが、履くのにひと苦労なんですよね。ちゃんとマスタングペースト買えばいいのにね。まあね、いろいろありますよ。贅沢は言いません。
おおー、ビン靴よ、よしよし・・・。
なんて、いつも無条件に愛でると思うなよ。こいつ、ビンテージといえば聞こえが良いですが、見ての通り、なんか少しばかり田舎ぽいんですよね。はっきり言ってスマートではない。生成りのステッチの所為でしょうかね。ステッチ、出し縫い糸以外はアッパーともども茶のクリーム入れたい衝動に駆られます。この気持ち、分かって頂けますでしょうか。
いい靴=必ずしもカッコいい靴ではない、ですね。
さてさて、どうしましょうかね。このまま履くか、ステッチに色を入れるか、かつ、全体的にダークブラウンやネイビー入れて濃くするとか。
貴重なビンテージはオリジナルのままがいいのでしょうかね。まあ、履きならしながらのんびり考えることとしましょう。あ、そんなのんびりもしていられません。
素足な夏が過ぎてゆく・・・。
(おしまい)