こんにちは、ばしです。
今回は続編です。前回の記事
をまだお読みで無い方は、本記事は単体でも完結する内容ではあるのですが、折角なのでできればそちらからお目通し頂ければ幸いです。
さて、
じゃらじゃらした甲飾りをぶった斬って表情を一変させたモレスキー。
これが、
こうなった!
うん、まずまず良いのではないでしょうか。見た目にはウイングチップ・スリッポンです。このスタイルは好きです。ほかにも何足か持ってます。まあね、そういう意味では似たようなスタイルの靴を複数足持ってる、そんなケースだらけなわけですが、まあ、気にしない気にしない。
さっそく履き下そうかと思ったのですが、
少しばかりでかい。
サイズ表記はUK7なのですが爪先細めでややロングノーズ気味なのか、幸いにも全長はちょうど良い感じ。なのですが、問題は幅、というか履き口です。前の持ち主が幅広?足首付近がでかい?そんな足の方だったと思われます。
足を入れてみたところ、素足(左足)だと無駄に隙間があってぷかぷかします。厚手の靴下(右足)を履いてちょうどよい感じ。なので、写真より少し薄手の仕事用の靴下だと調整が必要そうです。中敷き、という手もありますが、それだとジャストな爪先周りが必要以上にタイトになってしまう。
ということで、伸びた革を縮めることにしました。
まずは丸洗い。
風呂場でお湯に浸ける。
30分、しっかりと中まで染み込めっ。
脱水機でぐるぐる。
あらためて、やはり履き口でかいですな。
カタチを整え、
シューツリーを入れて、デリケートクリームもどきを事前投入したら、
いざ!オイルヒーターで乾かして縮めるっ!!
革は熱で多少は縮む。
以前何度かやったことがあります。
ドライヤーで縮めてみたり、
オイルヒーターで縮めてみたり。
過去記事①「ドライヤーで革靴を縮ませてみた」
過去記事②「オイルヒーターで革靴を縮めてみた」
今回はオイルヒーターでやってみたわけですが、
そうそう、こいつ、
オイルヒーターで履き口を縮めたステファン・シュナイダーです。ほんとに、たまたま偶然なのですが、作業当日である日曜日の足下がこいつでした。「一旦伸びたものは縮めてもまた伸びやすい」なんて思ってましたが、確かに僅かに伸びたようですが思ったほどではない。それなりに効果はある。何もしないよりはずっと良い。
今回もきっと効果あるはず。と期待して待つこと24時間。
☆★☆
翌・今週月曜日の夜。
おお。なんかいい感じかも。
比較してみよう。
【BEFORE】
【AFTER】
大体同じ角度ですが、どうでしょう?
同じ右足、アフターは反転させてます。
うん、結構縮んだかもしれない。いい感じかもしれない。履き口の幅は明らかに細くなっている。これならサイズもちょうどではないか。早く履いて試したい。よし、さくっと仕上げていきましょう。
デリケートクリームもどき
かなりカラカラになったかも。
なので、内側だけたっぷりと保湿。
アッパーはほかのクリームで対応します。
コロニル1909(ムショク)
全体にコロニル。
まあ、可もなく不可もなく。
ビーズワックス(黒)
トゥはこのまま何もせずともそれなりに光りそうなんで、光りづらそうな甲部分にだけビーズワックス。
どうっでしょう?
あまり変化なし。
コロニル1909(ムショク)
ワックスの上からさらにコロニル。
もう少し黒が欲しい。
コロニル1909(黒)
これで最後。
どうでしょう?
さっきよりは黒くなったような。
右足も同じ手順でメンテ完了です。
どうだっ。
うん、まあまあではないか。
【BEFORE】
【AFTER】
すっきり!!
ぶった斬った跡が美しくない。
まあ、とりあえずこのままで。追加措置はあとで考えよう。
【BEFORE】
【AFTER】
甲の革、表面に毛穴が見えます。
スムーズレザーとペッカリーのコンビ、でしょうか。猪豚系の革は柔らかいから、甲に使用するというのは理に適っていそうです。履き心地は良さげ、柔らかそうな印象ですが、どうでしょう?
火曜日に早速履き下ろしてみた。
おお、良い感じにタイトになりました。
仕事用の靴下履いてジャストです。
グッジョブです。
なんだけれども、ぶっち斬った切り口が少々目立ちますね。黒のクリームをたっぷりと塗り込んだのですが、それだけでは駄目のようです。
この距離まで離れたらわかりづらい。
切り口を黒い糸で縫って塞いだ方が見栄えが良くなるでしょうか。それもあり、で、他の手立ても含め暫く考えてみよう。
で、先週末に仕上げたのには訳があります。
今週は「ウイングチップ・スリッポンWEEK」なのであります。ほかにもこの手の靴はありますが、茶・黒・茶・黒・茶と今週はこの5足で行ってみる予定です。
並べたら施術の痕も余計に分かりづらい。
右隣の赤茶はSTUART McGuire。
一昨日水曜が出番だったこいつも同様にストラップをぶった斬ったリメイク品なのですが、改めてどうですかね。切り口、目立ちますかね。
まあ、ほとんど分からんでしょう。
当面はこのままでいいや。
こいつ、
それなりに見栄えが良くなればすぐに転がすつもりだったのですが、サイズもいい感じで思いのほか気に入りました。切り口の追加施術も含め、もうしばらく手元に置いておこうと思います。
「250円」なんて値札はなかなかないでしょうが、皆さんのお爺さんの履かなくなった靴にも、今回みたいにぱっと見には年配者向けのデザインの靴があるかも。そのままでは履けない。なんだけれど、ちょっと待て。手を加えたらイマドキな感じになるモノがあるのではないか。
安物にそこまで手を入れる必要はないでしょうが、旧い品の中には手のかかった良い品が紛れていることもある。爺さんが大切に履いていたそんなやつは、リメイクしたりサイズ調整したりしてもう少し活躍させる。
そうすればきっと爺さんも喜ぶ。だけでなく、地球にもやさしいし、靴にも優しい。そんな取り組みも悪くないのではないか。いやまあ、熱を加えるのは少し乱暴ではある。優しくはないかもね。けどまあ、特にここ数日はめっきり寒さも厳しくなってきたことだし、
靴もたまには温まりたいかもしれん。
(おしまい)
こんにちは
おお、温浴効果で結構縮むんですね。レザーソールだから全体的に縮められるのだろうか?ラバーソールでも多少は効果あるのかな?
この手のちょっと昔のイタリー製スリッポンは私の近所のリユースショップでも時々見かけます。しかも大抵格安で。
奇遇なことにこのブログの前編が投稿された日に、私もモレスキーのビットローファーを990円で拾ってきました。このブログを読んでいなかったらスルーしてたかも(笑)
モレスキー、思った以上にいい靴です、やった!
三十郎さん
こんにちは。それなりに縮むのですが、ソールはほとんど変化はなくて、主にアッパーが縮みます。「伸びた分が縮む」とのことで、ソールは伸びてないからそのまま、アッパーは明らかに伸びていて、
その分元に戻る余地がある、ということなのではないかと思っております。
で、ビットローファー、良いですね。ちょっと昔のイタ靴って、デザイン的にそのままでは履けないものと履けるものとが混在している印象です。モレスキーやBALLYあたりは品質も一定レベル以上ですし、安いやつは結構お買い得かなと、そんな風に感じる次第です。笑。
こんばんは!
ソフトなレザーだと、縮みますね!
リーガルのガラスレザーの様な硬めのレザーだときっと無理ですね(-_-)
切口は、クラフト社の『コバコート』を塗って、硬い木の棒(革包丁の持ち手部分)とかで擦れば綺麗に仕上がりますよ。
断面用の仕上げ剤で、ボサッとした断面が引き締まります。