こんにちは、ばしです。
このところ毎日PTBばかり履いている。
本日で足掛け4週間26日26足、毎日日替わりの足元です。で、そのこととは因果関係はないかと思うのですが、今月12月にゲットした1足目も2足目もPTB、Plain toe blucher=外羽根のプレーントゥでありました。
なもんで、今回もまた前回に引き続きPTBの話題で行かせて頂きます。なんせPTB-WEEKs中なもんで、早々に履き下ろさねばと先週末にメンテして今週水曜に登板させたのでありました。
今月2足目のPTBはこんなやつ。
赤茶の3穴のPTB。
メルカリで遭遇したのは確か11月初め頃だったかと。写真は掲載されていたものです。「SOLD」とあります。ええ、私が買いました。どんなペアかと言いますと、出品者さん曰く、
恐らくですがアメリカ製の
バーガンディレザーのビンテージシューズ
ブランド不明ですが、革質もよく良い作りです
とのこと。ええ、そうですね。おっしゃる通りとても良さげなビンテージな雰囲気です。革質は写真では何とも判断しかねるものの、分厚そうな印象で期待大であります。アンノウンということで価格は確か4500円。最終的にはお値引きを頂いて4000円と格安で購入させて頂いたのですが、当初はどこの何者かわからず、出会ってからひと月くらいの間は買うか買うまいか悩んでおりました。
ソックシートはこんな感じ。
微かにでもロゴが残っていればよいのですが、擦り切れているのかつんつるりん。ですが、うーむ、ただ、このソックシートの端の形状はどこかで見たことあるようなないような。気のせいか。ちなみにこいつ、ラバーソールなのですが、アウトソールにも文字は一切ありません。シューメイカー判別の上での文字の類、唯一の手掛かりはこれ。
うーむ。うーむ。
どこかで見たことがあるような気がするぞ。どこだったっけか。思い出せないのか、そんな気がするだけで見たことないのか。気になる、気になる、気になる・・・、そんなこんなでひと月ほど経過したある日のこと。ふと思いついた。
あいつの印字スタイルに似てるかも。
どうでしょう?
これはすでに手放したWRIGHT Arch Preserver Shoesのラインニングの写真なのですが、「8 1/2C」の書体がなんとなく似てるような。その後ろには6桁の数字+アルファベット1文字。その横に少しスペースが空いて1桁の数字。2段目は3桁と4桁で1桁異なるものの数字のみ。レイアウトは異なりますが雰囲気はかなり近い。
これは昨年久々に手に入れた黒のライト。
2段目の数字が3桁と4桁との違いは先ほどのペアと同様なのですが、サイズ表記の下あたりのレイアウトは今回のPTBに近い。これってwright?ではない?
実は、wrightの靴の判別は結構簡単です。
ソックシート中央のマウンド。独特な履き心地をもたらすこの菱形の盛り上がりが「バンプ」と呼ばれるwrightの靴の最大の特徴です。
今回のこいつ。
出品情報にはソックシート内側の写真はない。こいつがwrightの靴であればソックシートの中央に同様の「バンプ」があるはずです。尋ねてみようか。もしなかったら?買わない?それって男らしくないよね。
何より、質問してる間にほかの人に買われたら元も子もない。コメントや質問は他の検討中の方の積極的な購買行為への誘因になりかねない。なもんで、こいつがwrightである可能性を独自にもう少し探してみようとネットサーフィンしてたら、遂にこんなのに巡り合えってしまった。
日本における米国ビン靴のメッカ、
SUPER8SHOESさんのWEBサイトよりスクショ拝借いたしました。ブランド検索で「wright」を選択、上から順次1足ずつ見て行ったらこいつに遭遇した次第(S8Sさんの当該ペアのページこちら)。
こ、これは、間違いないのではないか?
上がS8Sさんの9 1/2Cで、
下がメルカリの8 1/2C。
おお、ソックシートの端の形状も同じです。
羽根のステッチも紐の種類もほぼ同じに思える。写真では写ってませんが、メルカリのこのペアの内側、暗い影のその奥に「バンプ」がこんもりと盛り上がっているに違いない。いやはや、1か月かけて調べた甲斐がありました。グッジョブ俺。で流石のS8Sさんです。毎度のことながらとても頼りになります。
そんな1年ぶりのwrightのニューフェイス。マイサイズのwrightに出会ったらゲットしようと常々考えている私にとりましてこれは相当にお買い得な買い物だな。などと呟きながらぽちってみる。で、早速に届いた。
お披露目。
素敵なペアです。分厚く柔らかな革質のアッパーは想像していたよりも艶やかです。
アウトソールはS8Sさんのペアと同様にラバーソール。結構厚みがあります。レザーのダブルソールくらいの厚さです。「wrightでラバーソール」というのはあまり見かけませんが、ないことはない。以前持ってた小さめのライトのペアはガムソールみたいなやつだったな(参考過去記事:「Breather Wright」)。
踵はドッグテール。小ぶりですが綺麗なヒールカップです。踵がやや方減りしてます。シューグーで足すか。それは履き心地を確認してからにしよう。万一サイズが合わない場合はまた転がすかもしれんし。
さて、
そんなこんなでいよいよです。
wrightである証左をご覧頂こう。
どんっ。
あれれ?
おかしいな。
左足、紐を外して確認しよう。
あれれ?
ワッツハップン。
どういうことでしょう。
天地ひっくり返したら出てくるとか。
薄茶のフエルトのタン裏。
その下には・・・、
バンプがない。バンプがない。バンプがない。
まっ平ら、であります。おかしいな、いやいや、そんなはずはない。バンプは、バンプはどこに行った? もう一度確認です。
やはり、ない。
透明なバンプ、とかか? 観えないものを観ようとして望遠鏡でも覗き込みたい気分でありますが、この至近距離です、望遠鏡は必要ないみたい。ないものは、ない。
うーむ。
いやあ、どういうことなんでしょうね。wrightといえばバンプです。ソックシート中央にマウンドのないwrightなんて見たことも聞いたこともありません。ということは、こいつは「wrightではない」、のか???
色目も羽根のステッチも、コバの角が斜めに削られている点ほか、仕様はすべてSUPER8SHOESさんのwrightと瓜二つなんですけどね。つまり、現時点でこいつは、wrightかもしれんし、そうでもないかもしれん、名無しの権兵衛であります。
けどまあ、
いいや。今はそれで良い。
アッパーもライニングも履き口もノーダメージです。革質もグッド、申し分ない。雰囲気だけでいえば1960-70sの品のように思える。
wrightと判別はできかねますが、むしろその方が良かったかも。なぜなら、もしこいつがwrightとわかれば4千円なんて値段では手に入らなかっただろう。アンノウンでも素晴らしいモノは素晴らしいわけで、そんなのが安く手に入った。その上、こいつが何者であるのか、謎解きの愉しみもあります。
何より、この色目の3穴PTBは持ってません。
上質なそうな奴が手に入って大変嬉しいな。折しも時はPTB-WEEKSの真っただ中。早速に履き下ろそうと思う。見上げれば曇り空ではありますが、雨は降らないらしい。よし、儀式だ。雨乞いではない。メンテです。
いつも通りまずは左足から。
(次回につづく)
























