こんにちは、ばしです。
今月は「収支改善月間」です。
いやあ、ご存じの通り、先月1月は年始早々やらかしてしまいました。約4万円の買い越しです。まあ、自分の靴だけでなく父や息子の靴も買った結果、なのですが、それにしてもマイナス額は過去最高とでかかった(参考「ゆく靴くる靴(2022年1月)」)。
なので「収支改善月間」です。
売りに精を出そう。買って良いのは安い靴だけ。まあ、買わないのが一番なのでしょうが、我慢は良くない。禁断症状が出そうです。反動で高い靴とかヤケ買いしかねない。ということで、以前に設けていた「2000円以下は迷ったら買ってもいい」とのルールの範囲内で適度にガス抜きいたしましょう。
とにかく、今月は高い靴は買わない。買ってはいけない。昨年暮れから狙っている、「次はこいつ」と目をつけている英国ビンテージがあるのですが、そいつも月が変わるまで我慢です。3月まで売れずに残っていますように。そんなことを願いつつ、近所で拾ってきたお安いやつをメンテしました。
こいつ。
COLE HAAN サドルシューズ
年始から電車通勤に戻しました。会社からの帰り道、駅から自宅までの途中にあるセカストに毎日のように顔をだします。店員ではありませんが、商品の入れ替わりがあればすぐに気づく私です(←バカ)。おかげで、今月すでに1000円前後の安いのを2足拾ってきてます。
今回は高い方の1足。200円のクーポンを利用して1400円ほどでした。いやあ、安いっていいですね。ですが、ただ安いから拾ってきたわけではない。ちゃんと理由があります。
理由その1。
少し読みづらいですが「CRAFTED IN MAINE USA」との刻印です。
そう、ちゃんと米国製です。アメリカのビン靴蒐集家のDAVID氏のブログ記事によりますと、
Cole Haan – Founded in Chicago in 1927. Purchased by E.E. Taylor in 1957. Sold to George Denney in 1975. Purchased by Nike in 1988. Purchased by Apax Partners in 2012
とあります。フローシャイムと同じシカゴで生まれ、その後E.E.Taylor傘下となり、その後1975年にGeorge Denneyなる会社?人物?に買収された模様。
で、そのE.E.Taylorはといいますと、
E.E. Taylor Corp – Founded in New Bedford MA. Bought by George Denney in 1975 and moved to Freeport Maine.
こちらもコールハーンと同じ1975年にGeorge Denneyに買われ、Denney社があるメーン州フリーポートへ移転したようです。その後ともにナイキ傘下となるわけですから、恐らくコールハーンもフリーポートへ移転した可能性がたかそうですね。こいつはDenny社傘下時代、1975~1988年までの間に作られたペアっぽいですね。
コールハーンのペアは米・英・伊・製と様々あるようです。こいつはどこ製なのでしょう? ま、いずれにせよ、米国内で製造された米国靴です。ビンテージです(たぶん)。安いビン靴は持ち帰らねばならない、そんな責務が私にはあるのです(たぶん)。
さて、理由その2。
8.5Dです。US8Dの私には気持ち大きいですが、まあ、許容範囲です。「2000円以下は~」とのルール順守はもちろん、ちゃんと自分で履く用です。転がす用ではありません。
理由その3。
メルトンです。サドルシューズはツートンのものが多いですが、メルトンのものは見かけたことないな。レザーとの組み合わせ、黒とグレーの組み合わせはなかなかかっこいいかも。
このペアを見て、十代前半のころ、メルトンのグレーのハイカットのスニーカーを履いていたことを思い出しました。形は全く異なりますが、なんか妙に懐かしい。安さも手伝ってレジに直行した次第です。
さて、詳細はさておき、まずは儀式です。
アッパーの多くの面積は布です。繊維の間に積年の埃や汚れが溜まっていそうです。そんなやつは丸洗いの刑に処す。
ぬるま湯にドボン、と行きます。で、浸透したら石鹸で丸洗いです。
シャンプーで髪を洗うように指先でしっかりと。そして、たまには爪を立ててガシガシと。人生で初めて爪を立てて靴を洗いました。
しっかりと洗ったら、しっかりと濯ぐ。
メルトンの生地に入り込んだ石鹸成分がなかなか抜けない。濯いでも濯いでも、シャワーを浴びせたらまたも泡がアワアワと・・・。そんなことを繰り返すこと5分ちょっと。ようやく綺麗になったようです。
シューキーパー入れてバスタオルに包む。
このバスタオルは靴を丸洗いしたあと脱水機にかける用の古タオルです。
日立のビートウオッシュ。何年目だろう。結構長持ちしてます。靴を脱水しないといけないので、次も縦型が良いな。で、ぐるぐると高速回転で7分。
おお、良い感じです。キーパー外しました。布なんで、水のキレもいつもよりいいかも。
踵部分の形が整うようシューツリーをイン。うん、みすぼらしかったのが本来の形に整いました。よし、浴室乾燥で温風かけてしっかりと乾燥です。
☆★☆★☆★☆
1週間後。
しっかり乾燥しました。
見た目はそんな変わりませんが、かなり清潔にはなったかと思います。
中まですっきりです。ライナーはオールレザー。で、あれれ、爪先の方まで縫い目があります。グッドイヤーではない? ブレイクラピッド、その上で、ラバーを貼り付け、なのでしょうか。よくわからない。補修のあとなのかな。まあ、どれでも構わないんですけどね。
さて、仕上げてゆきましょう。
まずはアッパー。羽根と踵部分のみです。簡単にさくっと。
デリケートクリームもどき
TAPIRレダーオイル
サフィールクレム
うん、ま、すっきりしました。
ついで、ソール。このペア、それなりに履きこまれてたようです。
踵部分。
相当に削れた部分を足して、その上から薄いラバーが貼られています。
まあ、どのくらい履きこまれたのかは分かりません。踵の減りはかなりであったようですが、体重の重い人が歩くのと軽い人が歩くのでは、同じ距離でも摩耗の程度は相当に異なるのではないか。
ソール以外の状態から推察しますと、どちらかと言えばウエイトのある人が履いていたのはないか。靴の内部の状態からはそんな風に思えなくもない。
サイドビュー。
す、隙間が。。。
わっ、ばがっと口が開きました汗。この黄色、セメダインですね。前の持ち主の時点で接着補修されていたようです。
よし、私も。接着しよう。
黄色はやめて、透明なやつにしました。
左の内側と右の外側が口を開けております。
たっぷり塗り込む。
5~15分、乾かしてから貼り合わせろとのこと。休日の朝の陽射しと冬の寒風に晒すこと10分。
カナヅチで叩いて圧着させろとのこと。ただ、旨く叩けない。結局足を入れて足踏み、その後、手で押さえつけて貼り合わせました。
左の内側はグッドです。
右の外側はあまりきれいではないな。まあ、だれもそんなジロジロ見ないでしょう。
靴下履かせて圧力かけた状態で1時間ほど放置です。
一時間後。糊がはみ出て若干白っぽくなった箇所は黒のクリームで補色しました。うん、まあ、いい感じではないでしょうか。
よし、最後の仕上げです。
毛玉カッターです。
ビン靴メンテに毛玉カッターを使う人類最初の人間に俺はなる!そんなことを思いながら、ジョリジョリと。まずは左から。
おおー、どう変わったのかよくわからない。
【BEFORE】
【AFTER】
おっ。近くて見ればモケモケがすっきりしてます。まあ、だれもそんなジロジロ見ないのですが、まあ、自己満足。左もジョリジョリと。
うん、まあ、いいんじゃないでしょうか。爪先側のアッパー、ソールの境目あたりが少しまだ黒ずんでます。汚れが落ち切っていなかったようです。まあ、今回はこのままで。そのうちまた丸洗いしましょう。
さて、
持ち帰った際についていたネイビーの靴紐。色目のコントラストは嫌いではなかったのですが、何分古そうだったので処分しました。
代わりに準備したのがこいつ。
黒の革紐です。なのですが。
あちゃ。太すぎて鳩目を通りませぬ。
紐の色、悩んでたんですよね。アッパーと同じグレーにしようか。革紐なら目立ちそうだから黒が良いな。革紐にするつもりだったので、他の紐準備してません。結局、手持ちの黒の普通の丸紐で間に合わせました。
さて、これにてメンテ完了いたしました。
うん、まずまずではないでしょうか。
ビフォーアフター。
【BEFORE】
【AFTER】
やはりツリー入ってるだけで美しく見えます。
【BEFORE】
【AFTER】
ま、それなりに引き締まったでしょうか。
履いてみました。
靴紐は黒でも問題ないでしょう。ただ、なんか違和感が。。。なんか間抜けなんですよね。何でだろう。ただ、履き心地はグッドです。土踏まずあたりの箇所が結構盛り上がっています。そのせいでなかなかにフィット感が良い。
サドルシューズは結構好きなスタイルです。今回のペアで5足目です。
記念撮影。
上から、
Hush Puppies
FOOTJOY CORDOVAN
今回のCOLE HAAN
FOOTJOY シャークスキン
Taylor Made by E.E.Taylor
おお、なかなか壮観です。
で、先ほどの違和感の正体が分かりました。
お気づきでしょうか?
そう、今回のコールハーン以外の4足はすべて外鳩目なんですよね。なぜこいつだけ裏鳩目なのか。まあ、そういう意味ではなぜサドルシューズに外鳩目が多いんでしょうね。何か理由があるのでしょうか。そのうち調べてみよう。
ところで、ネットで米国製サドルシューズを色々眺めていて気付いたのですが、Walk-Overのサドルシューズって、ほとんどが裏鳩目なんですよね。全体的なスタイルも似てますし、こいつはWalk-Over製なのかもしれません。
さて、これで5足です。あと2足買ってサドルシューズウイークでもしましょうかね。いや、でも仕事では履きづらそうだな。とりあえず当面は5足のままでいきましょう。
当面は、ね・・・。
(おしまい)