蘇れジュビリーシューズ

こんにちは、ばしです。

 

「ご趣味は?」と訊かれたら何と答えるか。

「古靴漁り」なのか、
「古靴蒐集」なのか、
「古靴メンテ」なのか。

結論としては「どれも全部」なわけですが、一番最後の「古靴メンテ」が楽しい。その楽しみを味わいたいがゆえに「漁り」「蒐集」している、と言っても過言ではないかな。

いやホントに、ボロ靴が蘇るの様を見るのは嬉しいし楽しいです。それが自分の手で、となりますと尚更であります。なんだか自分が凄腕の靴メンテ職人になったように思えてくる。悪い気はしない。

久しぶりにまたそんな気分になりたくて、2年前に買って放置したままのボロ靴を引っ張り出してきました。先週末から昨日にかけて、相当程度にぼろいのをがっつりとメンテいたしましたのでご紹介です。

まずはさくっと、
2年前当時のおさらいから。

 

 

Jubilee Shoes

「ジュビリー」なる靴ブランドがあったそうな。

1940s-50sの頃のアメリカのロカビリースタイルを復刻させた日本の靴ブランドで、1990sまで代官山にショップがあったようです。そこのモノと思しきペアを拾って来たのが一昨年の七夕のこと(「謎のコンビキャップトゥ」参照)。

ソックシート。

トップリフト。

それぞれに「JUBILEE」とありますのでこいつはジュビリーなるやつなのだろう思っていたのですが、実はあまり自信がない、確証を持てずにおりました。なぜなら、巷で見かける中古のジュビリーのソールは私が入手したペアのそれとは趣が異なるから。2年前当時、メルカリに出品されていたジュビリーシューズのアウトソールはこんなのでした。

太いステッチの縫い目が爪先から土踏まず付近まで伸びて消えている。マッケイ、もしくはマッケイグッド(ブレイクラピド)製法と思われますが、大半のモノがこの仕様のようです。対しまして私が拾って来たペアのアウトソールはと言いますと、

オールレザーソールでグッドイヤーっぽい。細い溝に隠された縫い目は爪先からトップリフト部分まで途切れることなく繋がっている。縦どぶのヒデゥン仕様と思われます。アウトソールも堅く頑丈そうで、総じて、巷で流通しているものよりも上質かつ本格的な造りであると言えます。

造りだけ見れば別物に思われるこいつは本当に当時のジュビリーなのだろうか。そのように確証が持てないことも放置してきた理由の一つだったのですが、今回めでたく確証を得ました。最近あらてめてメルカリの出品物のアウトソールを見てみたところ、

おお、同じ仕様なやつがいる。それでいてソックシートにもちゃんと「JUBILEE」の文字が。ソックシ-トは異なる仕様なのですが、私の拾って来たペアもジュビリーということで間違いなさそうです。

 

 

☆★☆

 

 

てなことで、

氏素性がはっきりした以上、このまま捨て置くわけにはいかない。ということで、2年ぶりに引っ張り出してきました。

2年ぶりに箱の蓋を開けてみる。

相も変わらず汚い。

値札も出てきた。
ざっくり千円。
状態も値段も2年前と同じです。
当たり前か。

アッパーが薄汚れていることには慣れているのですが、靴の内側のきれいでないことにはいつも辟易といたします。今回は特にひどい。

修理痕です。

自分で修理したとお見受けしますが、お世辞にも上手くいってない。

こちらはソックシートも紛失している。何より、履き口付近は薄っすら剥がれているし全体的に粉っぽいというか、埃っぽい。流石にこの状態のペアに足を入れるのは気が引けます。

ということで、まずは靴の内側を、その後アッパーをキレイにしようと思う。

いつも通りまずは左足から。

踵腰裏にあてがわれてるのは革でしょうか。
簡単に剥がれそうです。

剥がしてみた。

ダメージは軽微ともいえる。このままでも問題ないのではないか。

次いで右足。

ソックシートも付いてます。

どちらも剥がしてみた。

右足のダメージは左よりもさらに軽微です。

おお、見た目にすっきりした。

腰裏のダメージをどうするかはまた後で考えることとしよう。
まずはいつもの手順でいきましょう。

 

 

LEXOL

汚れ落とし。

あまり落ちていない。

内側も歯ブラシにとって掻き出し、ボロ布で綺麗に拭う。

少しだけきれいになった。
サイズ表記は「9」です。
US9。私には少しでかい。
要・追加の中敷きのやつです。

 

RenoMat リムーバー

強力リムーバーで白を白く。

まずまず。

歯ブラシで皺の隙間もごしごしと。

 

 

デリケートクリームもどき

百均のヒト用クリームで保湿。

あまり変化はない。

ですが、白い部分、それなりに浸みこむみたいです。

 

 

TAPIR レダーオイル

油分補給、なんだけれど、頑固な汚れも落ちる。

だいぶすっきりしてきました。

 

マスタングペースト

顔料系アッパーもそれなりに浸みこむようなので、今回もまたマスタングペーストをしっかりと塗り込んでみる。

おお、ギラギラしてきた。

皺部分には入念に。
とりあえず右足も同じ手順でマスタングペーストまで。

うん、薄汚れた感じはすっかりなくなったかな。

革の地色が見えています。皺の酷い箇所は顔料が剥がれてしまっています。あとで補色しよう。

その前に、マスタングペーストをじっくりと浸透させましょう。油分補給&保革です。作業はここまで。続きは翌週に。あわてることはない。

僕も近所の「八尾グランドホテル」のサウナ&天然温泉でじっくり、ゆっくり、のんびりです。ここまで、4月19日(土)の出来事であります。

 

 



 

 

さて、1週間後の昨日土曜日。

どうでしょう。浸透したでしょうか。

表面に油が残ってますがギラギラ感はなくなりました。

こちらは趣が異なるな。

踵。履き口付近は浸透した模様。これまでの経験から言いますと、浸透してないところはダメージが少ない箇所、ということのようです。

屈曲部分。曲げ伸ばしが激しい箇所は表面の顔料も剥げれているのですが、この部分はすぐに浸透するので一晩おきに塗り込んでました。油分補給による保革はもうこれで十分でしょう。

LEXOLで表面に残ったマスタングペーストをしっかりと拭き取ったら順次仕上げ作業に突入です。

さて、さくっと仕上げていきましょう。
いや、さくっと行きたいところなのですが、この後も結構な手順です。

 

◆追加の汚れ落とし
◆ひび割れ箇所の補色
◆コバの手入れ
◆ソックシート作成

以上の4ステップであります。
駆け足でご紹介。

 

◆追加の汚れ落とし

パーフォレーションに詰まった埃。元は白かったみたいです。目詰まりがあまりに酷くて気になります。できる範囲で綺麗にしてみた。

綿棒で穴にRenoMatリムーバーを垂らす。

マイナスドライバーをクルクルしてみたけどうまく行かない。

綿棒をぐいっと押し込んでクルクルしてみた。

綿棒の軸と穴の大きさが同じくらいのようです。

うーむ。落ち切らない。ですが、もうこの辺で。

踵の穴は? 
いや、見えんからそのままでいいや。
そんなことより次の酷いやつに着手。

 

 

◆ひび割れ箇所の補色

このひび割れから見える地色。

白いアッパーはやはり白い方が良い。

そんなときはアクリル絵の具です。先日リーガルのサドルシューズのメンテナンスの際にも使用しました。今回もこいつの登板です。

 

白いアクリル絵の具をDAISOのヒト用クリームで伸ばし、ほんの少しだけ茶色を加える。

真っ白でない方が良かろうとの考えです。

このひび割れ部分をうっすらと誤魔化したい。

綿棒を筆代わりに押し込むように塗り込む。

どうでしょう。

左右ともに塗り込んでみた。

どうでしょう。

どうかしら。

茶を少しだけ入れたので白が目を向いたみたいになってないと思う。まあ、塗り込みたいのはひび割れ部分です。それ以外は除去したってかまわんわけで。とりあえずこのまま小一時間ほど乾燥させてから仕上げていこう。

 

・・・1時間後。

乾きました。

割れ目以外のアクリル絵の具を除去しよう。クリーナーを使うと割れ目部分まで除去されてしまいそうなので、ニュートラルのワックスを縫って馴染ませ誤魔化そう。

 

KIWI パレードグロス(ニュートラル)

布にとってワックスを軽く塗り込むように擦る。

とれた。

右足もくるくる。

おお、いい感じ。

うーむ。

いい感じではなかろうか。
馴染んだように思える。
よし、いつものクリームで仕上げ。

 

コロニル1909(ムショク)

すっきりしたかな。

うん、アッパーはオーケー。

 

 

◆コバの手入れ

次いでコバ回り。整えよう。

サンドペーパーをかける。

このあとスプーンで圧をかけ、

パレードグロスで仕上げ。

今回はコバインクをいれるのはやめといた。

 

◆ソックシート作成

内側はあまりきれいでないのでフルソックでシートを貼っておくことにします。父が仕事を引退する際に革を少しだけもらってきておいた。もうだいぶつかっちゃったけどこの中から、

皮革的、もとい、比較的近しい色目のこいつにしよう。

厚紙で型紙を作り、

切り出す。同じもの2枚作らぬよう注意です。

入れてみる。まあ、良いのではないか。貼ろう。

ダイアボンドを塗布して中にIN。ゴム糊は接着面のどちらにも塗布するのが良いのですが、今回はこちらの面のみで。この上から足を入れて踏みつけますので通常よりしっかり貼りつくでしょう。

シューツリーで圧をかけ15分ほど放置したら、

 

いよいよ最後の仕上げです。

靴紐を通そう。

元からついていたのはこれ。茶の色目が合っていない。いや、それ以前に、この白茶のツートンに合わせるべきは茶ではなく白ではないか。といいますのは、

こんなの持ってます。

zazaさんから引き継いだFrench Shriner & Urner。詳しくは近々ご紹介をと思いますがそれはさておき、こいつには茶ではなく白い紐が通されている。ですよね、そっちの方がきっと似合う。

ということで、

生成りの80センチ紐を調達しておいた。こいつを通したら1週間にわたるメンテナンスもいよいよ完了です。

 

【BEFORE】

【AFTER】

おお、白が眩しい。

 

【BEFORE】

【AFTER】

やはり靴紐は白で正解です。

 

【BEFORE】

【AFTER】

うん。及第点ではなかろうか。

コバもいい感じです。

中もまあまあ綺麗にはなった。
腰裏の小さな穴はとりあえずこのままで。
問題ないのではないかと思う。

とりあえずフレンチシュライナーと記念撮影しといた。

7穴はすごい迫力です。

とてもクラシックな佇まいで気に入った。
足を入れてみる。

おお、とても美しい。

サイズ表記は【UK8.5=US9.0】。

私にはでかいだろうと中敷き準備してましたがさほどでもない。中敷き入れたら素足でちょうど。靴下履いた状態だと中敷き入れたら窮屈すぎる。まあ、靴下履いて中敷きなしだと爪先周りにはそれなりのゆとりがあるわけですが、内羽根の7穴ということもあり甲周りががっちりホールドされて程よいサイズ感に感じられます。汚くてこれまで一度も足を入れたことなかったわけですが、想像していたほど大きくない。この夏は中敷きを入れて素足で履いてみようと思う。

左爪先外側にキズがあります。
まあ、私の靴である証拠としてこのままにしとこう。

まあ、そもそもあまり目立ちませんし。

うん、いいですね。

瀕死の状態から蘇ったのではなかろうか。
グッジョブ俺。

さて、服装は何に合わせたらいいのでしょう。
ブルーデニムかチノパンでしょうか。

まあ、好きにすれば良い。

 

(おしまい)

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