こんにちは、ばしです。
今年はあんまり買ってません。
ええ、古靴の話です。小休止中なう。昨年買い過ぎ増え過ぎました。メンテもまだすべて終わってません。なので小休止。なのですが、リユースショップのパトロールは欠かさない。で、小休止中なのですがたまに拾ってきたりしてます。
持ち帰るか捨て置くかの基準は何かというと、
「価格(安い)」
「製造(不明)」
「状態(酷い)」
「心情(不憫)」
がキーワードです。まず価格。できれば千円未満が良い。なんせ小休止中の身です。お遊び程度で済ませたい。懐が痛むのはNG。で、往々にしてそんなやつはブランド不詳でアンノウン扱いだったり、そもそもオンボロだったりする。結果、とても不憫な気持ちになるわけです。
ですが、見かけに惑わされてはいけません。単に無名なだけで造りは本格的なこともあるし、見た目の状態は酷いけれど単に手入れされてないだけでそれが真の姿でない場合も少なくない。見た目の状態や値札に惑わされることなく本当の姿を見通すことは古靴漁りの醍醐味のひとつでもあります。
今回は「安くて」「アンノウンで」「ぼろくて」「不憫」な、四拍子揃ったやつであります。
どんなやつか、さっそくご紹介。
これなんですけどね。
もうね、めちゃぼろいです。
どう履けばこのようになるのであろう。
アッパーが割れています。
表面だけかな。
ヒビは浅くはないが深くもない。
爪先は銀面が削れてます。
いやはや、しかしまあ、酷い状態なわけですが、いやー、ある意味凄いね。よくもまあここまで履き倒したものです。履きつぶして役目を終えたように思える靴を買い取りに持ち込む精神も凄いわけですが、そんなのに値札をつけて販売しようという商魂の逞しさ。それもまた凄い。
税別900円。
いや、あのさ、安いからと言って、まさか本当に売れるとでも思ったのでしょうか。アッパーのみならずアウトソールも見た目に酷くって、いくら安いからってこんなの買う人まずいませんよ。世の中そんな甘くはありません。いてもよっぽどの変人くらいです。
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こんにちは、変人84号です。
「84」の意味は・・・、
あ、言わんでも分かりますね。
そんな私の目に留まったのがこれ。
ラバーのトップリフト。
すっかりすり減っておりますが、
「CAT」と読めます。
およ。こいつ、CAT’S PAWではなかろうか。
間違いない。
元はこれです。COZY VINTAGEさんのWEBショップから写真を拝借いたしました。米国ビン靴の踵でしばしば見かけるこのトップリフトが装着されている。ということは、
こいつ、ぼろいけれども米国ビンテージなローファーなのではなかろうか。
ライニングを確認してみたら案の定、「8D」の文字が。US8Dのようです。他にも文字がありますが何を意味するかはよくワカラナイ。こいつ、何者だろうと思ったら、ソックシートにうっすらと文字の残骸が。
Diplomats
と読めます。シューメイカーの名前なのでしょうか。あるいはショップか何かでファクトリーはまた別とか? 折角おんぼろな奴を拾ってきましたのですぐにでもメンテに取り掛かりたいところですが、先にこいつが何者なのか、明らかにしておこうと思います。
まずはググってみましたが、参考になる情報にはヒットせず。であるならば、似たようなペアがないか探してみようとebayを調べてみたところ、ビンゴです。
ありました。
同じロゴです。
状態のよいタッセルローファーが出品されておりました。
アウトソールには「MADE IN U.S.A」の文字。
やはり米国製のようです。
甲部分、モカ縫いの内側にステッチが走ってます。
私のも同じ仕様です。
こいつ、やはり米国製のローファーのよう。
さらにebayを調べてみますと、何と色違いのペアに遭遇。
こいつはバーガンディ。
色以外はまったく同じ仕様と思われる。
ロゴもソックシートも同じっぽい。
あ、いや、
ロゴはプリントされている。
私のは元は箔押しか何かだったような。
加えて、土踏まずあたりのパンチング穴の仕様も微妙に異なります。そして何より、一番大きな違いとしまして、私のには「丸アール」がありません。私のペアの方が年代的に旧い、ということのようです。よし。大きな手掛かりであるこの「丸アール」をもとに、このペアが何者かを探ってみよう。
そんなときはJUSTIA というアメリカの法律系ウエブサイトが有用です。訴訟や判例などの情報検索サイトですが、特許関係の情報も網羅しているらしい。以前にこちらでロブリーの「MIRA-GRIP」なるソールについて検索してみたことがあります。
今回は「Diplomats」で検索してみましたところ、ビンゴです。
ロゴを発見。
小さくて読みづらいですが、赤線部分、
1992年12月11日出願
1994年07月05日登録
とあります。丸アールつきなのはこのロゴが意匠登録された1994年以降ということらしい。では、それ以前の状況はどうであったかというと、
First Use Anywhere Dateとあります。
このロゴが最初に使用されたのは
1975年08月01日
だそうな。丸アールなしのものは1975年以降1994年以前の製造、ということらしい。いやはや、年代幅広すぎますね。真ん中をとりますと、おおむね1980sということかしら。まあ、ざっくりそんなもんでしょう。ほかに何か情報はないかとスクロールしてみたところ・・・
出ました!ビンゴです!
アップにしてみる。
「Mason Shoe Manufacturing Co.」
とあります。この「Diplomats」なるブランドはメイソンが持つブランドのひとつらしい。MASON(メイソン)は1904年にアメリカ・ウィスコンシン州にて設立されたシューメーカーです。2003年までアメリカでの生産を続けていたそうで、今も会社自体は現存しているらしい。
労働者向けのブーツが始まりということもありワークシューズメーカー的な扱いをされることが多いMASONですが、「Executive Imperials」なるドレスラインも展開してました。以前1足持ってましたが悪くなかったな(過去記事「MASONの靴(from CHIPPEWA FALLS」参照)。
さて、あらためて今回のローファー。
おお。いいですね。
久々のMASONのペアです。そう聞くとより素敵に見えてしまいます。捨て置かず持ち帰って来てホントに良かった。この不憫なビンテージ・ローファー、復活させよう。3週がかりでメンテナンスいたしましたのでその様子などご紹介です。
いつも通り、まずは左足から。
LEXOL
いつものクリーナーでまずは汚れ落としから。
歯ブラシで全面ガシガシとやってみた。
RenoMat リムーバー
強力なやつ、投入。
右足も同じステップで。ここで思いますことは、アッパーの酷いキズはさておき、シューツリーいれただけで見た目には凄い復活しました。これは期待できます。ツリー抜いてもこの形が維持できるようリシェイプしよう。
丸洗い
リシェイプ、となれば丸洗いです。
まあ実際は「洗う」というよりは、
ぬるま湯にドボンと浸けて革の中までしっかり浸透させたうえでシューツリーを入れた状態で乾かす。そうすることで形が整うことが多い。
1時間後。汚れ?が染み出てます。しっかりと革の内側まで浸透したことでしょう。
ぼろタオルで水分をしっかりと拭い、ソックシートを引き剥がした。
内側。あまり美しくはない。
ここをどうするかはまた後で考えよう。
とりあえずシューツリーを入れ、全体的に湿った状態でマスタングペーストを入れてみた。まずはこのまま丸1日放置してみる。
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翌月曜日夜。
おお、なんか形がとても整っているように思える。
ホースオイルはすっかり浸透しました。
うーむ。これはいいね。
復活できそうな気がする。
追いオイルしといた。
このまま週末まで寝かせよう。
そしていよいよ仕上げて履き下ろしです。
(後編につづく)







































