こんにちは、ばしです。
前々から欲しいと思っていたペアがあります。
欲しいと思いながらも半ばあきらめていた。なぜなら相当にレアなエキゾチックレザーのペアだから。エキゾチックレザーの靴は何足か持ってますが、そいつは群を抜いてレア。
そうと聞けば尚更欲しい。とはいえ、ネットでも見かけるのは稀だし値段も高い。実際に実物を見て、触ったことは過去に一度だけ。
そんなやつが・・・、
なんと、500円+税。
「レ_シューズ」とあります。
「レ」です、「レ」。見慣れたやつです。そう、こいつ、セカストのレディスの雑多な靴コーナーに鎮座しておりました。
値札を剥がすと「7」の文字。
こいつ、「UK7」=25.5センチ相当のサイズ感です。ええ、メンズの靴がレディスのコーナーに紛れ込んでおりました。ちょこちょこあることですが、結構「当たり🎯」が多い、そんな印象です。
今回は大当たりです。
グレーのローファー。
あまり見たことのない革です。
見た目はブツブツして硬そうですが、触るとうっすらと起毛していてベルベットような柔らかな手触りです。こいつの正体は何かと、というと、
象革です。
そう、「ゾウ」「象」「エレファント」です。動物園にいるパオーンと鳴くアレです。象革は、数あるエキゾチックレザーのなかでも郡を抜いて強度の高い革なのだそう。まあね、図体もあんなでかいし、アフリカの過酷な天候の中で過ごすわけですから強度が高いのも頷けます。
皆さんもご存知の通り、
象の取引はワシントン条約により厳しく規制されています。「象牙」に関しては輸出入が全面禁止、「象革」についても同様に厳しく規制されているそうですが、その中で「アフリカゾウ」の輸出入だけが限られた数量のみ認められているのだそう。まあ、認められているといっても大変希少な皮革であることは間違いない。
そんなやつに大阪のリユースショップで出会えるなど、一体だれが想像したでしょう。象革なんでほとんどの人が見たことも触ったこともなくて、場合にはよっては革製品として流通していることすら知らない人も少なくなさそうです。結果として、どこの何者かよくワカラナイものとしての扱いになったのだと思われます。
余談ですが、「ゾウ」というニックネームのペアを一足持ってます。
グレーのアッパーに紐なしのハトメが小さな眼玉みたいで、こいつのことをゾウと呼んでおりましたが、今後は紛らわしいから違うあだ名に変えねばなりません。
さて、戻りまして、
今回のこいつ、いつ頃の年代のモノでしょう。
ソックシートを確認してみる。
PALVIS
とあります。日本製のようです。「V」の字だけが少し大きくてとがった先端が突き出ています。検索してみたところ、こんなのにヒットしました。
カシミヤ混のジャケット。アパレルメイカーなのでしょうか。ちなみに「V」だけが大きいロゴも同じに見えます。これかな、と思ったら、もう一件ヒット。
おおっ、これも同じロゴです。
で、こいつは香水のようです。そういえば昔聞いたことあるような気がする、と思ってたら、どうやらこの正体は今は亡き「カネボウ」のブランドの一つだったようです。
いや、「今は亡き」と書きましたが、厳密にはカネボウの消滅は2008年、で、それ以前の2004年、化粧品部門が「カネボウ化粧品」として分離独立し、その後2006年には花王グループに編入となり今も存続しているらしい。
ただ、現在のカネボウ化粧品のホームページを拝見しましたところこの「PALVIS」ブランドは消滅したようで今は存在しないみたいです。
このオードトアレの外箱には「鐘紡株式会社」とあります。「鐘紡」と漢字表記だったのは1971年から2001年までだったようなので、このブランドが存在したのもその間であったといえる。
「PALIVIS」ブランドについて調べてみてもなかなか情報が得られないのですが、アパレルにも手を広げたのか。あるいは、ブランドのキャンペーンなどの景品、という可能性も無くはない。
いずれにせよ派手に展開した様子を鑑みますと、恐らくバブル経済期、1980年後半~1990年初頭の頃の品ではないかと思われます。
当時の象革の扱いってどんなだったのでしょう?
今ほどには規制は厳しくなかったのでしょうか?いずれにせよ、おお、kaneboよ。PALVISよ。よくぞ靴にまで手を出してくれたな。おかげで素敵なやつをゲットできました。
早速にメンテしたいところですが、象革のメンテナンス方法なんてほぼ誰もワカラナイ。「ブラッシングして防水スプレー」といった情報のみ得られましたので、アッパーはそのように手入れしよう。
アッパーはそんな感じで。で、爪先なら今すぐにでも手当できます。
コバインク塗っとこう。
ソールも磨いといた。
すっきりしました。
このペア、サイズ表記は「7」でしたが、素足だといい塩梅のサイズ感なのです。薄手の靴下履いても行けるのですが、仕事では履きませんし、形もローファーですので、夏場の休日に素足で履くことにしよう。
で、ご覧の通り、コインンローファーではあるのですが、ややヴァンプの浅め(甲の面積がやや小さく履き口が広め)なスタイルとなってます。バブル期頃のスリッポンにこの手のスタイルのものを見かけます。コールハーンのローファーなんかでもこの手の浅いやつを見かけます。でローファーだけでなくウイングチップなんかでもこんな感じ。
おそらく同じ年代のアランフラッサー名義のペア。シェトランドフォックスすなわち当時のリーガルのペアです。すでに転がして手元にありませんが、当時はこんな感じのペアが少なくなかった。この点からも年代は同じころと考えて差し支えなさそうです。
ちなみに、今回のがどの程度浅いのか。
手持ちのコインローファーと比べてみた。
Florsheim vs PALVIS
銀座フタバヤ vs PALVIS
Johnston & Murphy vs PALVIS
BARBICHE vs PALVIS
Martinique vs PALVIS
RENDO vs PALVIS
どうでしょう?
個々のサイズが異なりますので一概には比較できないのですが、こうやって並べただけでも全長に占める割合として「浅め」であることは見て取れます。
ちなみに私、ヴァンプの浅い靴は苦手です。
まあ、浅さの程度でいえばこれ以上浅いと辛いのですが、何とか履けるぎりぎりのラインです。
折角手に入れた象革のペアです。スタイル的に履きづらい、なんてことにならずに済んで良かった。
ああ、夏が待ち遠しいゾウ。
(おしまい)
希少な像革のコインローファーGETおめでとうございます!
クロコダイル、アザラシ、オーストリッチと羨ましくブログ拝見させていただいています。
私もエキゾチックレザーの革靴を履いてみたくて、リサイクルショップで注視しているのですがなかなか出会えていません…。笑
これからもばしさんの投稿楽しみにしております。
コメント失礼いたしました♪
とるえーんさん
こんばんは。ありがとうございます、ようやくゲットできました!
残るはトカゲとヘビなわけですが、トカゲはまだしもヘビはどんなふうに履けば良いかかなり悩みそうです。けどまあ、ヘビ革は縁起物でもあるらしいので、1足くらいは持っていたいですね。狙ってみます笑
こんにちは
いやぁ存在感がすごいです、象革。この見た目でうっすらと起毛しているのか‥見た目からは想像できないですね。
それとカネボウが靴を作ってたのも驚きです。希少なエキゾチックレザーを財布や小物ではなくて靴に使う。日本が勢いあった時代の産物といったところでしょうか。
三十郎さん
こんばんは。ほんとに、バブルの頃の日本の勢いってほんと凄かったんですね。
今ではありえない。で、だからこそあの時代のモノに惹かれるんですよね。
今まさにセカストにそんなやつらが流入してる感じ。
次はどんな出会いがあるのか楽しみです。
象革履いて漁りに行きます笑