こんにちは、ばしです。
日曜日にロングウイングを6足メンテしました(前回記事)。
6足中の1足は、買ったときから何者か分からぬままです。というか、何者か確かめたくて購入したのですが、結局何者かわからぬまま、その後半年ほど放置してました。まあ、実際は詳しく調べてなかっただけなのですが。
何の変哲もないシボ革のロングウイング。修理痕もかなりあります。なのですが、それなりに古いものであることを示す特徴はふんだんにあります。
トゥから伸びるサイドのラインが踵付近で上へ巻き上がっています。1960s頃によく見かけるスタイルです。
タン裏はフエルト。1960sと限ったことではないのかもしれませんが、これも古いペアで見かける仕様です。で、さらにアップで近づきますと。。
ハウス型ユニオンスタンプ。これも1960s製であることを示しています。
内側の印字。3桁の数字は「3」がCウイズ、「80」が「US8.0インチ」、であることを示しています。8Cの古い表記法です。その後ろにも何か印字が続くのですが、リペアされていて読めません。
いずれにせよ、この3点より、1960sであることは間違いないであろうこのペア。購入してメンテして、一度か二度だけ履きました。で、おととい、久しぶりに履いてみました。
サイズ感はやはりやや小さめ。特に、ワイズも小さい。甲が低くて、羽根と羽根の間が開き気味になってしまいます。これ、ダメなんですよね、私。いけてません。シュッとして綺麗なスタイルではあるのですが、私の足にはフィットしない。なもんで、放置した状態になってしまっていたのでした。
やはりこいつ、今後も出番はあまりなさそうです。そういうやつには活躍の場を与えるためにも転がすのがベターです。で、転がすならその前に、こいつが何者であるかを明らかにしておきたい。
折角なんで、この機会にあらためて調べてみることにしました。
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アンノウンなペアが何者であるかを調べる上ですべきこと。
大体いつも以下の3点です。
【その1】ファクトリーナンバーを明らかにすること
【その2】内側の印字スタイルの似たペアを探すこと
【その3】ソックシートや外観の似たペアを探すこと
【その1】ファクトリーナンバー、読みやすくなればと、LEXOL投入してみました。
(BEFORE)
(AFTER)
相変わらず読めない、と、思っていたのですが、前よりも少し分かりやすくなったかも。とはいえ、まだまだはっきりしない。その場合、【その2】【その3】へと進むわけですが、似たものを探すと言ってもネットの砂漠で石ころを探すようなものです。
こういう場合、まずは可能性の高そうな範囲から着手して、その後成り行きで検索対象範囲を広げていくに限ります。
で、「可能性の高そうな範囲」というのは、今回のケースではやはりファクトリーナンバーです。
正確に判別はできないのですが、一桁目は「0」である確率が高そうです。二桁と三桁の数字は上半身しか判別できませんが、三桁の数字は「1」の可能性が高そうです。
「1-X-0」とのファクトリーナンバーとして思い浮かぶのは・・・。
「130」、WEYENBERGウエインバーグです。すでに手放したこのペア、ソックシートにはブランド名もくっきりでした。
Massagic。4行目にあるパテントナンバーはこいつ。
土踏まず部分のアーチサポートがWEYENBERGの特徴です。
で、今回のペア。
土踏まずには何もありません。
まあ、WEYENERGのすべてのペアにアーチサポートがついているわけではないのでしょうが、ついているものの方が多いように思います。なんてったって特許まで取ってる「売り」ですから。
ですが、他に手掛かりなない。ウエインバーグの1960s頃のロングウイングの個体を検索して、似たようなものが無いか探してみよう。と思ったら、そうそう、もう一つ手掛かりになりそうなのがありました。
踵腰裏の修理跡。上部がミシンで縫われています。隙間から覗いてみましたが、暗くて何も見えません。思い切って、やってみましょう。
まずは、ソックシート剥がしてみました。
次いで、修理で足された腰裏パーツを捲る。
剥がして、捲って・・・。
なんかだ、ドキドキしますね。
背徳、な感じ。
背徳。はいとく?
いや、もう履かないけど。
えいっ。
おお、色々出てきました。
欲を言えば、ここにもファクトリーナンバーがあれば、、、と思ったのですが、ありません。まあ、そりゃそうですね、何個もあるわけない。ですが、追加情報としてはありがたいです。
隠れていた部分の上段は「19712・・・」でしょうか。下段は「2869-4」。どんな意味や規則性かは知りませんが、似たような表記スタイルのペアがあれば、同一ファクトリーのものである可能性が高いと言えそうです。
とりあえず手持ちの材料は以上です。
似たようなやつがいないか、早速ネットサーフィンです。
手始めに「WEYENBERG」「1960」で検索するも、ヒットしたペアの中には手掛かりはなし。検索キーワードを「1950」にしても、「ロングウイング」を追加しても同様に手掛かりなし。
うーん、困った。どうしよう。
こういうときの対処法は決まっています。私にとってのビンテージシューズの博物館・百科事典であり、図鑑的存在でもある「SUPER8SHOES」さんのサイトを参照させて頂くに限ります。これまでも何度お世話になったことか。
今回も、S8Sさんの扱いのペアで似たようなものが無いか。ウエインバーグのロングウイングを片っ端から確認しましたところ、早速に似たようなペアにヒットです。すみません、画像幾つか拝借することをお許しください。
踵付近で巻き上がるヒールカップ。ストームウエルトも270度です。
私のペア。そっれぽい角度で撮影してみました。やはり、似てます。
メダリオン。
あ、やっぱり一緒です。ですが、S8Sさんの茶のペア、中はこんなです。
アーチサポートつき。やはりWEYENBEREGといえばこれですものね。ですが
サイズ表記の下に「A7」とあります。
私のは「F4」、ですが、おんなじスタイルです。おお、近い。他のロングウイングも拝見しましたところ、こんなのが。
おんなじ黒です。が、巻き上がらず、ウエルトも360度で、メダリオンのデザインも異なります。こいつも1960sのペアだそう。こいつがその証。
インソック中央にハウス型ユニオンスタンプです。
おお、位置も同じ辺りです。。前方のライナーも同じく布仕様、ですが、切り返しの位置は若干異なります。で、ソックシート。
端が丸みを帯びたギザギザなのも似ています。
角度が違いますが、素材感も色目も似ています。
最後におまけでもう1足。
黒。メダリオンも同じ。
踵付近のサイドビューです。270度ストームウエルト、で、巻き上がってます。
もう、これ、同じファクトリーといってよいですかね。
ウエルトにノッチが入っていたり、サイズ表記が数字3桁だったり、ソックシートのロゴがWEYEBERGでないなどの違いはありますが、9割以上の確率でWEYEBERG製ではないかと推察いたします。
このロゴはショップのロゴなんでしょうね。結局わからず終いです。
ですが、なんとまあ、あっさりと見当がついたもんです。
検索を始めて僅か20分。
今回もSUPER8SHOESさんの手にかかり、イチコロ、一撃でした。
てなことで、ミッション・コンプリートです。
小さめサイズは転がす定めです。雑にリペアされていることもあり、購入価格は数千円でした。同じ値段で転がしてみよう。リペアされているとはいえ、アッパーもソールもとてもしっかりしています。誰かに履いてもらいましょう。
しかし、ほんとにあっさりと判明してしました。いつもはもう少し手古摺るんですけどね。手古摺ったときのアンノウンだったペア、以下、ご参考まで。
「アンノウン・キャップトゥの正体」
「アンノウン・Uチップの正体」
「アンノウン・シングルモンクの正体」
「Pollock’s / AG」
「謎の赤いサイドレース」
「黒いロングウイングの謎」
「拾ってきたMade in England(その4)」
過去記事ですが、よろしければ暇つぶしにどうぞ。
それでは皆さん、素敵な週末をお過ごしください。
(おしまい)