ジャパンビンテージ・ジョン

こんにちは、ばしです。

 

7月になってから結構忙しいです。

仕事もプライベートもやらねばならぬことが山積みなのですが、何から成すべきか。優先順位もついてない。よし、ここは一旦心を落ち着けよう。どのように?そうだな、靴でも磨きながら考えよう。

 

そんな日曜午後の遊び相手。

先日南河内を巡った際の釣果の1足です。

真っ黒の内羽根プレーントゥ。

ウエルトはケミカル素材ぽいですが360度のダブルウエルト。ソックシートにはカッコいい布タグが。

 

 

ジャパンビンテージ・ジョン

「John」とあります。
「John」?
「ORIGINAL John」?

左の鳥はなんだろう?
「ショッカー」とか「デストロン」とか、仮面ライダーに出てくる「悪の秘密結社」のマークでこんなのあったような。いずれにせよ、

「MEN’S SHOES MADE IN JAPAN」

とありますので、旧い日本製のペアかと思われます。

内側の印字。
「132」はこのスタイルの品番でしょうか。
「23 1/2」はサイズ表記。23.5センチ。

ですが、かなりスクエア気味のトゥです。
幅広ぽくもありますし、サイズ表記より優にワンサイズは大きいのではないかな。なんせ私の足は入りませんので、確認しようがないのですが、まあ、そんな感じ。

どんな靴屋なのか、靴店なのか。

「ジョン」「靴」

で検索したら、出てくるのは「ジョンロブ」ばかり。うーん、だいぶ違うかもね。

「ジョン」「オリジナル」

で検索したら、旧いUKぽい雰囲気のアパレルさんがヒット。靴の扱いもあるようですが、こちらでもない。

今まで見たことも聞いたこともない。
なんだけれど情報は何もヒットしない。
うーん、気になりますがしょうがない。

とりあえずわからぬまま前へ。

トップリフトにも「John」。
ブランドロゴ入りのオリジナルのトップリフト作るくらいですから、それなりに流通していたのでしょうか?

ベリーミントコンディション。
とてもかっちりと硬いレザーソールのサイズ表記は「3と1/2」。いや、23 1/2ですよね。「2」はどこに行った。コストダウンでしょうか。

小さめのお尻。

ステッチワークはとても丁寧です。

タンは内側で縫い留められています。

フットプリントはなし。
とはいえ、ソックシートにも爪先側にも網目のような跡があります。追加の中敷きを入れて履かれていたのかもしれない。そんなふうにサイズ調整しないといけない靴だから、出番が少なくてミントコンディションなのかも。

前方のライナーはファブリックかと思ったら、なんとレザーです。うーん、手抜きなしです。鹿か何か、すべすべで柔らかです。かなりハイクオリティな感じです。

なのですが、、、。

ピカピカに光ったトゥ。

ハイシャインが施されています。

大変綺麗に磨き上げられているのにすみません。我が家にきたビン靴には一旦すっぴんになってもらうことになってるんですよね。てなことで、儀式です。骨が折れそうですが、がっつりいきましょう。

いつも通りまずは左足から。

 

 

ステインリムーバー

えーと、すみません。
ハイシャインってどうやって落とせばよいですか?いやほんとになかなか落ちませんね。これはレノマットの出番ですね。と、その前に。

 

LEXOL

コバ回りをブラシでガシガシ。

まあ、そんな汚れてもいないのですが、ルーティンということで。

 

RenoMat リムーバー

歯ブラシで優しくガシガシと。

かなりマットになりました。

が、拭いてもふいてもウエスが黒くなります。一体全体、どのくらい塗り重ねられているでしょう?私、ハイシャインはやらない主義(スキル不足で出来ない)なもんで、このあたりのことには疎いんですよね。

とりあず20分ほど格闘いたしました。

十分なのか。やり過ぎてはいないか。
加減がどうなのか不安ですがこんなもんで。

 

 

デリケートクリームもどき

百均のヒト用クリームで保湿。
指にたっぷりとって塗り込みます。

あ、ほんのり指が黒くなります。
まだワックスが落ち切っていないのか。

まあ、しょうがない。このまま前へ進もう。

 

 

リッチモイスチャー

もっちりなるやつ投入。

なんともかんとも。

 

 

TAPIR レダーオイル

油分補給&保革&余分な汚れの除去。

まあ、いつも通りな感じではあります。
さて、オイル入れたので少しだけ浸透させよう。
その間に、

ソールもきれいにしました。
年代特定できませんが、この手の旧いジャパンビンテージの革底ってとても硬いんですよね。なんというか、密度がすごく高くて、叩いたらコンコンと高い音がします。材料が現代とは違うんですかね。

さて、仕上げ。

 

 

コロニル1909(ムショク)

いつもの万能クリームで仕上げ。

ハイシャインではなくなりました。

ですが、爪先以外はとてもいい艶感です。
全体的にそれなりにワックスが塗り込まれていたのですが、綺麗に落とせてすっきりした感じ。

素敵な艶感に丁寧なステッチが映えます。

さて、右も同じ手順でメンテしました。

レノマットでのワックス除去、右は左よりも軽めにしときました。

右のトゥ。

左のトゥ。

左、少しやり過ぎたかな。あるいは、元からこんななのかな。なんともかんとも分かりませんが、どのくらいまでやっていいのか。

先月、厚化粧なJ&Mのメイクを落とした際は、茶のアッパーに黒いワックスが塗られていたので落ち具合は目視で確認できたのですが(過去記事)、今回は黒いアッパーに黒のワックスです。どの程度除去できているのか、まるで見当がつかないんですよね。

いずれにせよ、
左右で雰囲気がやや異なります。
不本意ですが調整です。

 

 

コロニル1909(黒)

ワックスではなくクリームで補色。

まあ、マシにはなったかな。
陽はだいぶ翳ってきたけど、暑いし、蚊に食われるし、こんなもんで、メンテ完了です。

 

【BEFORE】

【AFTER】

鏡面ではないけど、十分光ってます。

 

【BEFORE】

【AFTER】

アッパーの肌理はかなり細かく上質かと思います。

 

【BEFORE】

【AFTER】

右と左ですが、綺麗になりました。出し抜い糸が一部隠れてます。「縦どぶヒドゥン」でしょうか。いずれにせよ、大変丁寧な技かと思います。

踵周りにも相当にワックス入ってましたが、すっきりしたと思います。

オリジナルの靴紐もかなりいい雰囲気です。

コロンとしたトゥと荒い目の靴紐とが全体のバランスにうまく調和しています(←何言ってるか自分でもワカラナイ汗)。

「ジョンムーア」とか、「旧いトリッカーズ」のペアみたいなスタイルです。

大変素敵なスタイルで、大変丁寧に作られたジャパンビンテージ、ということで拾ってきましたが、

私には小さいし娘には大きい。

こいつの今後の扱いは定かではありませんが、今回こいつをメンテナンスしていてひとつ判ったことが。それは、

スポーツカーに高性能のブレーキが必要であるように、ハイシャインには適切なワックス除去のスキルが必要なんですね。

ハイシャインをしない、出来ない私には、ワックス除去の加減が分かりません。どこまでやれば適度なのか、それで十分なのか、まだなのか。

まあ、後工程でクリームを塗ってますと、指先からなんとなく感じるところもなくもないのですが、都度都度後戻りもできないし、やり過ぎたら不可逆だし。

 

実は私、ダイエット目的で始めた禁酒が1年を越えました。ダイエットはうまく進んでいないのですが、禁酒はもうすっかり定着して、特段酒が懐かしいとも欲しいとも思わなくなりました。

で、思うわけです。

きっとワックスも同じではないかな。なければないなりになんとかなる。今まで通り、ムショクのコロニルでええやん。一人くらい、ワックス使わない靴フリークがいても構わんですよね。なあんて思っていたら、気づいてしまいました。

ビン靴フリークな私ですが、

 

ハイシャインのスキルは不要でも
除去するスキルは必要かもしれない

 

え? 
なんで?

前に進むのは得意ですが、
いまいちブレーキの利きづらい私です。

そもそもそれやったの私じゃないし出来ないし。
なのに何故それを私に求めるのか。

おお、なんと、
こんな理不尽なことがあってよいのか?

しかしまあ、そんなことのひとつやふたつ、
生きてりゃ普通にありますわな。

 

それが人生というものです。

 

(おしまい)

 

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