アイリッシュリネンと消しゴム(中古のリーガルその35)

こんにちは、ばしです。

 

3月はリーガルを沢山拾ってきました。

久々9ヶ月ぶりくらいに買ったリーガルのペアたち。特に意識して漁ったわけではないのですが、衣替えシーズンだからなんだか知りませんが、兎にも角にも安いやつとの出会いが多かった。

安いといえば、

その昔はリユースショップのパトロール時に「二千円以下は迷ったら持ち帰る」というマイルールがありました。で、当時もあれやこれやと喜々として拾っていたわけですが、最近は少しばかり成長しまして結構慎重です。

迷ったら、買ったり、買わなかったり、ケースバイケースです。マイサイズでないものは確実に転がせそうなもの以外は買わない。ですが、それは二千円の場合で、五百円ということになりますとまた話は違ってくるわけです。

今回は先月4足目のリーガル、かつ、2足目のワンコインリーガルのご紹介です。

 

 

リーガル コンビキャップトゥ

春らしい色目のキャップトゥ。トゥと踵はレザー、ほかはキャンバス地のコンビ。素敵ではあるが個性的ともいえる。

羽根~踵の履き口までの縁にもレザーのパイピングが施されています。

内側にシール発見。

よくある文言、プラス、MADE IN JAPAN。

トゥにシミあり。アッパーもやや汚れてくすんでます。ただ、見た目とは異なり使用の程度は少なさそうです。雨にでも降られたんでしょうかね。汚れやすいし汚れが目立ちやすいし、天候注意なやつですな。

踵はコンビ靴に相応しい少し変わった意匠です。靴の中に縫い目が見えますので、マッケイ製法のようです。で、なんか紙切れが入ってるな。

値札です。税別500円。や、安い。

これなら私でなくとも靴好きなら皆持ち帰るでしょう。けどまあ、元から500円ではないよね、きっと。最初はもっと高値だったんでしょうね。

素敵な靴に見合った値付けをしても、いくら靴単体として素敵であっても、コーディネートの主役が靴そのものになるようなタイプのものは敬遠されがちではないかな。また、そこまで個性的ではなくとも、履きこなしづらい、何に合わせたらよいか悩むような靴も同様になかなか売れないでしょう。

で、売れないでいると値がだんだんと下がっていく。結果としての500円、今回のペアもそんなやつな気がする。まあ、個人的にはありがたいですけどね。素敵なやつがタダみたいな値段で手に入るわけですし。

 

そんな値札の左側。

最近のリーガルさんのロゴです。「LIMITED EDITION」とあります。限定モデルのようですが、何がどう限定なんでしょうね。調べてみましたところ、ヒットしました。

 

リーガルには、限られた店舗でしか販売しない「リミテッド(生産数限定)」の靴があります。それらの商品は特別バージョンなので、一回限りの生産で終了します。限定生産となるのには理由があります。本当に貴重で手に入りづらい革を使って作られていたり、こだわりの素材を作っている他社とのコラボレーションだったり。少なくとも普通に市中に出回っている靴とは、ひと味もふた味も違うのです。

 

リーガルシューズ岡崎店さんのホームページより引用させて頂きました。なるほど、店も素材も生産もリミテッドなやつなんですね。今回は特に、素材に凝った限定生産、ということのようです。

今回の主役。

IRISH LINEN
Herdmans
the Irish linen spinners

このペアは、ハードマンズという会社のアイリッシュリネンを使用したモデルなのだそうです。「ハードマンズのアイリッシュリネン」と言われましてもチンプンカンプンなわけですが、調べてみたら色々ヒットいたしました。こちらから引用させて頂きます。

 

ハードマンズリネン

世界中から高級リネンの代名詞として高い評価を得ているHerdmans Linen(ハードマンズリネン)。【リネン=麻】というイメージがありますが、このハードマンズリネンは麻袋や麻縄の素材となるヘンプ(大麻)やラミー(苧麻) ではなく、亜麻科のフラックスと継承された伝統あるアイリッシュリネンの紡績技術によって作られた生地です。この生地の特徴は吸湿・速乾・通気性に優れ、高温多湿な日本の夏に最適な素材であり、上質なリネン生地がもつ特有のネップや節などの風合は製品に何とも言えない色気を作り出します。麻(リネン)素材はどうしてもカジュアル味が強いものになりがちですが、独特の光沢感により通常の麻(リネン)にはない上品な清涼感ある大人の色気を打ち出せる仕上がりになっています。

 

とのこと。

 

なるほど。

このアッパーが「アイリッシュリネン」なわけですね。リネンなんて馴染みが無いんで、こいつのどこがどんなふうに素晴らしいのか理解に乏しい私ですが、今回のリーガルはその筋の有名どころとのコラボな一足、ということのようです。

しかし、そんな高品質を極めたハードマンズ社も大量生産型の市場への変化に対応できず、今から20年前、2004年にその歴史を閉じたとのことです。さらに悲しいことに、ハードマンズ社が建てた北アイルランドのサイオンミルにあった工場も不幸なことに2015年10月に火災に遭ってしまったとのこと。

おおっ、まさに「今は亡き」、だな。

と思ったら、ハードマンズのリネンは現在も製造されているそうです。ハードマンズ家のライセンスを受け、その技術を移転して中国で紡績を再開しているらしい。紡績機そのものはどこにでも手に入るものだそうですが、高品質なアイリッシュリネンの生産上の最大の課題は、「品質の高いフラックス原料を調達するノウハウ」とそれを使って「細番手の良質な糸を作るノウハウ」なんだそうです。ハードマンズCHINAではハードマンズ家のノウハウを使った糸が紡績されているらしい。

このリネンはいつ頃のものなのでしょう? 

2004年以前?以降? REGALさんのロゴは2002年以降のものですので、いずれにせよそんな古いものではないでしょう。靴のリリース年が分かれば話は早いのですが、ネットを調べてみてもなかなかヒットしません。リーガルさんに訊けばわかるのでしょうかね。まあ、それも含めて気長に調べてみよう。

 

 

さて、そんな限定生産の今回のリーガル。

ソールは人工の素材っぽいですが、しなやかで履きやすそうです。

で、幸いなことにサイズ25.5とジャストマイサイズです。これはもう履かんわけには行かない。ていうか、表はリネンですがライナーはレザーなんですね。

よおく見たら爪先側の白いのもレザーのようです。それも豚系ではなく鹿っぽい雰囲気。おお、外がリネンで内がオールレザーライナー。こりゃまさにリミテッドエディションに相応しい仕様です。転がすつもりで拾ってきましたので、どんな服に合わせたらよいかわかりませんが、まあ、メンテしながら、愛でながら考えよう。

 

ということで、儀式です。

とはいっても、キャンバス地のアッパーのケアなんてしたことないです。リネンだと特に何か留意すべきこともあるような気もしなくはない。

いつもなら「ドボン」と丸洗いするところですが、薄い色目のペアは扱い辛い。特に、シミ汚れやレザー部分の茶色がなんかがベージュのリネン全体に広がったりしたら元も子もないです。

もしそうなれば、濃い色に染め替えるくらいしか手立てはないわけですが、そういうケースって往々にしてうまく行かない。で、後戻りできなくなって、そのまま処分、なんてことにもなりかねない。てなわけで、今回は今できる最低限のケアに留めておこう。

 

こいつの出番です。

消しゴムでアッパーをクリーンナップです。

落ちるかどうか分かりませんが、

まあ、やらんよりはましではないか。

どうでしょう?

どうなんだろう。

わからん。

 

反対も。

右足の汚れ。

ここも消しゴムです。縦横斜めにぐるぐる円を描くなど、様々な角度から消しゴム攻撃です。

??
ほとんど変わらないような。
いや、気持ち程度きれいになったような。

トゥも消しゴムで。黒っぽい削りカスが出てるうちは汚れが除去されている最中、ということなのではないかと思われます。

その後、削りカスが黒から白に変わったら「もう十分」との合図、ではないかと思うのですがどうでしょう。

消しゴム4分の1個分ほど投入しました。
ちりめんじゃこ、完成。

消しゴムの出番はこれにて終了。最後に、ナチュラルな感じのレザーのトゥにだけコロニル1909(ムショク)を入れたらメンテ完了です。

 

 

【BEFORE】

【AFTER】

あまり変化はないのかな。

 

【BEFORE】

【AFTER】

ほんの少しだけ小綺麗になったように思えるし、全く何も変わらないようにも思える。

 

【BEFORE】

【AFTER】

リネンのキャンバス地部分、少しだけですが色目が明るくなったように思えるのは気のせいか、陽の光の変化の所為か、はたまた希望的観測か。トゥのシミもほんの少し程度が軽減したようにも思えますが・・・。

もうこれ以上は無理です。薄い色目のペアの汚れ落としは素人には荷が重いです。真っ白ならベビーパウダーを振りかけるという手もありますが、こいつは白ではない。これ以上のケアがこいつに必要になった時はプロにお任せするのが無難、というか、それしかなさそうですね。

 

よし、完了。
足入れです。

見た目、大丈夫ですかね。それほど薄汚れた感じはないし、そもそも元からそんな酷い汚れだったわけでもないし、とりあえずこのままで行きましょう。サイズ感もまずまず問題なし。素足なら薄手の中敷き1枚足してもいいかも。まあ、このままでも問題ないかも。

キャンバス地のツートンは派手かとも思ったのですが、まあ、そんなコーディネートなんかが気になるのも最初の内だけです。メンテして写真撮ってあれこれ眺めているうちに目にはすっかり馴染んできました。当初は派手に思えた異素材ツートンも今や見慣れた常連さん、みたいな。

ただ、だからこそこの手の、単体で主張し過ぎるやつは危険です。普通の靴のノリで何も考えずに履いたら、自分はそう思わなくとも周囲から見れば変な、あるいは目を引き過ぎる組み合わせになっちゃうこともしばしばです。気をつけねば。

たまたまですが、

この日のように同系色のノパンがいいのかもしれない。靴だけ浮いた感じもしないし、ドレス過ぎずカジュアル過ぎずで納まりも良さそうです。ブルーデニムデニムに合わせようかと思ってたけどそれだと目立ちすぎて、「あ、またあの靴履いてる」なんて風になりそう。まあそれも悪くないんでしょうが、優しい色目と雰囲気に溶け込んだ、肩の力が抜けた感じの方がオヤジにはいい塩梅ではないかな。何より、気軽で気楽なのが好みです。

シューツリーも同系色にしてみた。
うーん、いいね、絵になりますね。
シューツリー、関係ないけど。

 

(おしまい)

 

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2件のコメント

  1.   ばしさん

    お疲れ様です。洒落者の逸品ですね。これは、レベル高しでばしさん向けではないでしょうか。

    しかし、ハードマンズのアイリッシュリネン、細番手なのですね! 一見、太番手のごわっとしてるのかと思いました。この意匠、戦前のパナマハットにリネンスーツにあわせるんでしょうか…。

    今回も楽しませていただきました。ではでは失礼します。

    1. しんのすけさん

      お疲れ様です。そうなんです、ぱっと見ごわっとしてる風なのですが、意外と細な糸のようです。で、おっしゃる通り、「パナマハットにリネンスーツ」ってのがイメージされるのですが・・・、今どきその恰好だと逆に「どうしたの??」となっちゃいますよね。あの手の恰好は銀幕のスターとかでないと気障すぎて笑われそうです。ま、そもそもどちらも持ってませんが、靴だけあるという笑。

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